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山小屋物語(仮) 日記編2007




7月10日
登。山小屋のバイトが昨年と一変していて誰が誰だか全くわからない。東洋館から走ったら高山病で頭が痛い。

7月13日
とある従業員の閉ざした心を開くべく、HP(本音プロジェクト)決行。
夜、MP3と爪切りを間違えた話をして、笑いすぎて怒られる。

7月16日
海の日は山だってめちゃ混みます。
しかし今日、台風4号が発生して、お客さんが0人。スバルラインが通行止めなんです。たった今このでかい富士山にいるのは、たぶん山小屋の従業員だけ。いつもだったら二万人登っていくのに。外には人っ子一人いない。

7月18日
一木造の像が荘から届く。かなりコワい。お茶の時間、目が会うとすごくコワい。

7月19日
パパとシェリーと愛だの恋だのについて語る。

7月25日
白雲荘にフランス空軍100人襲来。小屋にもU.S.アーミーが40人で来て全員で焼印をねだる。ゲイシャ・フジヤマ。

7月26日
新厨房からふと外を見るとヘリコプターが遭難者を探している。師匠が「寝袋がヘリからぶら下がってたらだめだったってことずら」とつぶやく。

7月28日
山頂でガス爆発。社長だけが怪我。不死身なので明日も営業するらしい。ガスの元栓は締めませう。

AEDの使い方を、富士吉田消防署の人に教わる。使い方は単純なのに凄くあせる。

7月30日
雷。富士山では雷は横に落ちます。そんな雷鳴轟く日に登山すると、隠れるところがないので命にかかわります。よって山小屋は人の命には代えられないということで小屋を開放して登山者を雨宿りさせます。
だから。
そんなお昼時、いろりに水を汲みに行くと囲炉裏端にぐうるりとヤンキー高校生が陣取っています。こわやこわや。水が汲めない。


7月31日
後輩のハリーが生まれた日。4時に起きて皆で御来光を見る。東を向いて立っている舘は御来光のナイススポット。
たまたまその場に居合わせた50名ほどの登山者と一緒に。「とっても綺麗な御来光が見られましたね!今日は小屋の厨房のハリーの誕生日でもあります。みなさんも一緒に万歳三唱しましょう!」ばんざーい・ばんざーい・ばんざーい。


ブルドーザーが道から滑り落ちる。その事件を聞いた時、一瞬真っ青になったけど、運転手さんは軽い怪我ですんだらしい。山には神様がいるのです。富士山の場合はコノハナサクヤヒメという美人さんです。

8月1日
下山。
パイレーツオブカリビアンの、ジャック・スパロウと瓜二つな登山ガイドがおりまして。私が下山中に、登山中の彼に出くわし、「ジャック・スパロウだ!」と叫んだ所、大きな目をぎょろりと回して、バンダナの上の帽子をくいっとさせ「きょう下山しちゃうんですか~!?」と茶目っ気たっぷりに言ってくれた。

ありがとう、
ふじさん。



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