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ハムスターに感化される売れない芸人の話 10.里親

名乗り出てくれていた方に、
里親になっていただいた。
生後23日目、5匹のうち3匹とお別れした。
里親様、どうかうちの子の幸せな暮らしを祈っております。

どうもホワイトフェイスのロボロフスキーは珍しい種らしく、とても喜んでくれていた。
親心だろうか、悲しくも嬉しくもあった。


里親とは、他人の子供を里子として預かり、
養育する親のことである。
里親になっていただく方が、
親ハムスターから子を預かるという形だ。
受け取ったあの方は親になった。
考えてみると、僕は親とは呼ばれない。

飼い主とは文字通りその動物を飼う人である。
親ではない。
僕は里親になっていただく人を探す、
仲介業者か何かだろうか。
里親に引き渡す僕は、親ではない。

親子とは、別に血縁関係だけを指すことはない。
実親がいて、結婚相手の親も義理の親になるし、里親、名付け親、親玉、親分、世の中には様々な親がいる。
それは呼ばれるものだろうか、
呼ばせるものだろうか。

僕はそういえば名付け親にもならなかった。
ほとんど同じハムスターが5匹だ、
見分けもつかず、里親に好きなように呼んでもらうのが良いと思ってた。
僕は親と呼ばれる資格を一つも持っていない。


別に産んでくれって頼んだわけではない。
親子喧嘩をした人は一度くらい使ったことある台詞ではないだろうか。
こんなに悲しい言葉はない。
親だけは、あなたの親になりたいと思った。
親と呼ばれるということは、
そうなることを選んだ。
あなたを選んだのだ。


親とは呼ばれない僕が、もう一度だけ。
里親様、どうかうちの子の幸せな暮らしを祈っております。

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