Kindle化希望本第1位【読書感想文】筒井康隆『虚人たち』
二度目の挫折。
たぶん筒井康隆は、私にとってもっとも挫折率の高い作家だ。
タイトルや梗概を見て「おもしろそう」と思って手に取り、最後まで読めなかった比率が異常に高い。
読み終えて、かつ満足したのは、『文学部唯野教授』と『残像に口紅を』くらいだ。たぶん手に取った作品数は、軽く二桁を超える。
まさに死屍累々である。
何かに似ていると思ったら、クリストファー・ノーランに似ている。
私にとって、ジャンルもスタイルも人種も異なるこの押しも押されぬ2人のクリエイターは、挫折率の二大巨頭だ。「似て非なる」ならぬ、「非て似なる」だ。
そして筒井の華麗なる挫折率に、また新たな1ページが加えられた。
『虚人たち』は、『ユリシーズ』『失われた時を求めて』に比肩する文学作品だと思う。
感心はするものの、残念ながら、前衛的な文学作品の常として、おもしろくない。
せめて外国語で書かれていたら、外国語の勉強になるので、読み進められたのではないかと思うが、日本人が日本語で読んでこそ意味のある文体と内容なので、日本人に生まれてこの作品に見えたことを寿ぐべきであるにも関わらず、そのありがたみを維持して読み続けるのはむつかしい。
本当に申し訳ないし、罰当たりだとも思うが、おもしろくないのだ。
クリストファー・ノーランにしたらもらい事故だが、『ダークナイト・トリロジー』と同じくらい、おもしろくない。
私には読み通せそうにない。
Audibleは多分需要がないだろうし、朗読する人も大変だろう(注1)が、せめてKindle版が出てくれたら。読み上げ機能でなら、読破できると思うのだが。
現在、私的Kindle化希望本第1位である。
注1. しかし例えばランタイム30時間弱のFinnegans Wake はAudible 版が存在する。不可能ではないはずだ。
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