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ミクロの決死圏【中国語】星际飞船(劉慈欣《三体II 黒暗森林》 )

. . . , 比较现实的目标应该是建造星际飞船,使人类的一小部分能够向外太空逃亡,以避免人类文明的彻底灭绝。(p.29)

……いくらかでも現実的に思える対策は、星間宇宙船を作り、人類のほんの一部でも外宇宙に逃して、地球の文明が完全に失われてしまうのを防ぐことであるに違いない。

劉慈欣《三体II 黒暗森林》 (2008)

説明不要の中華SF小説『三体』第2巻より、宇宙人の襲来に備えての人類側の対策のひとつ「逃亡主義」について説明される場面。

しばらく前から「学際」という言葉をよく耳にするようになって、「国際」からの連想や流用なのかと思っていたら、中国には「星际」という言葉もあることを、この小説で初めて知った。 

日本語でいうと「星际飞船」は「恒星間宇宙船」のことだろう。

「際」と「間」に意味や用法の上でどのような違いがあるのかはよくわからないが、日中での漢字の使い方の違いの例として興味深い。

他にも似た例がないか、グーグル翻訳で探してみた。

大陸間弾道弾→洲际弹道导弹
いきなり当たりを引いてしまった。しかも「洲」って大陸のことだったのか。なおかつ「だんどうだん」じゃなくて「だんどうどうだん」なのか。より精密そうだ。

二国間協議→双边磋商
「辺」が出てきた。「方」でもないのか。「間」も「際」も使わないのか。

歯間ブラシ→牙间刷
そうそう、「歯」は「牙」なのだった。すっかり忘れていたが、日本人には意外な中国語あるあるだ。

「股間」→「两腿之间」
っていうか、「股間」って日本語だったのか。そっちに驚いた。でも考えてみると「股」って両足の間のことだから、「股間」ってヘンな言葉だ。

眉間→眉间
これはさすがに同じか。

というわけで、2つのものの間を示すときは「間」で、2つのものの間を物や情報が移動したり行き来したりするときは「際」を使うのではないか。

もし『ミクロの決死圏』みたいにミクロになった人間が特殊潜航艇に乗って、歯の間や眉間を移動するフィクションがあるとしたら、「牙际潜艇」とか「眉际潜艇」といった言葉が生まれることになるのかもしれない。

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