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キャリアの悩み④さあ、ポエムの時間だ。

私の長かったようで短かったイギリスでの修士生活が終わろうとしている。

タイトルの写真はバルセロナへの一人旅で撮ったものだ。本来行く気もない旅行だったが、こんなにも楽しい以外の意味があるとは思っていなかった。だが、その話はまた後でにしよう。私は修論計画をあと三日以内に書き上げねばならないのだ。だから本当はこんなこれを書いている暇があるならゴリゴリ進めろ、と言いたいところだ。

しかし、思ったことや考えたことはすぐに忘れてしまうのが私。私の脳内RAMは非常に少ない。最近話題のMac Proの1.5TBが実に羨ましい。いやというか普通に8GBでいいから欲しい。体感では256MBしかないのだが。

修論は都市開発の交通管理について取り扱っている。それに取り組んでいると本当に突然、自分の中で人生観というか、世界観に一区切りつくような、ストンと落ちる感覚の理解を得た。だから忘れないように書くのである。別に今までだってそうだったのだが、今回は特に個人的な信条の話になる。

私は学部生の時から社会や正義というものにやけに関心があった。

その時は理由が分からなかったが、社会問題について考え、正しさについて考えることが非常に有意義に感じられたのだ。

一部はそれを意識高い系と呼んだ。また一部はそれを偉いと褒めた。

ただ、自分の中には違和感があった。

これらのことを考え、何かのインパクトを与えようとする自分のエネルギー源にはそのような利他的な信念は全くなかった。むしろ完全に利己的な、満足感を得ていたのである。

一時は「こういうことを考え、目指す自分自身」に酔うことができるからなのかしれないと疑ったが、自分との対話をしてもそれは明確に違った。

多少不謹慎だが言ってしまえば社会問題が好きなのだ。正義についての議論を交わすことが好きなのだ。趣味と同じである。そこにそれ以上の理由は見つけられなかった。

「あなたのやりたいことはなんですか」。なんと幸せな問いであることか。これを問いかけてもらえず、また自分に問いかける機会も時間も発想もない人は世の中にごまんといる。日本人であれば誰もがこの問いかけを自分にしたことがあるだろう。自己実現を目指す第一歩の問い。人は自己実現を求めてあれやこれやと苦悩するのだ。自己実現とは自分が何者であるか、何が大切なのかを繰り返し問うたその先にある。(そして実は答えは本当に近く、簡単なところにあることが多いのだと思う。自己実現とはそのことに気がつくまでのプロセスなのかもしれない。)

私も例に漏れず問いかけ続けた。こちらに来て新たな価値観や世界観に触れる度により一層問いは膨れ上がり、答えが見つかる兆しがなかった。別に今も何か納得のいく真理がわかったわけではない。ただ、一つ自分の考えの中に仕切りというか、理解があったのである。

思えば私はそれを無意識に学部の論文のテーマにしていた。
テーマは社会進化。社会学の古典、コントとスペンサーの社会進化理論をまとめただけの、論文とも言えないただのエッセイだ。しかし、ここに、私のエネルギー源があった。

私は「人類」が好きなのである。この文面、我ながら引くが自分の中で納得感はある。私は人類というよく分からない生き物がとても好きなのである。そしてさらに言えば、その生き物が形成する、(社会学における最も狭義の)社会とやらに強い関心がある。その理由は「分からない」からだ。

そう、人間とそれが形成する社会の可能性は無限大で未知数だ。変化だ。

私がやりたいこと、それは社会貢献でも貧困救済でもない。

社会進化。そのためならこの命を燃やせる。

大学生の時に正義に拘っていたのは、その進化の方向性を自分の中で定めたかったからだろう。

これは言葉や言語で信念に落とし込めるものはないのだろう。社会進化なんて言葉は学部生の時から注目していた。それがなぜ今こうも自分の中に納得がいく落とし込みができるかというと、その時にはなかった考え方や価値観、世界観に変化し「感じる」ことができるようになったからだろう。人が原動力としての信念にできるのは「理解」できたものではなく「感じる」ことができたものなのだと思う。


とは言うものの、では「やりたいことは社会進化です」で納得のいく第三者はいまい。必ず社会進化って何?と疑問を持つはずである。

そこで私は文字の起こして説明しようと思う。散々悩んでいたキャリアの選択肢から得た理解である。ここまではどう演繹的に私の信念である「社会進化」を導いたかを語ったわけだが、ここからは帰納的に「社会進化」を導いた解釈を述べよう。これは国際開発に止まらず、昨今繰り返し叫ばれる副業、起業、フリーランス、インフルエンサー、プログラマー、投資、資産運用など個人の生き方にも通ずるものだ。

(次の記事に回すことにします)


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