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#155 日本の未来のために、どうにかしない 【#未来のためにできること】 コンテスト応募作品

オランダの大学で研究員をしている。日本にいた頃は、研究とは縁のない会社員だった。時に遅くまで残業して、「どうにか業務を回し」、月間の売り上げ目標を達成した日には、同僚と帰り道の「チョイ飲みセット」980円が幸せだった。
 経営幹部から降りてくる理不尽な要求を、まるでゲーム「マリオブラザーズ」のマリオとルイージが障害物を乗り越えていくようにこなしていた。日本の未来のためには、これをやめる必要がある。

みんなで協力して、無理難題を「どうにかして」しまうと、労働環境は決して変わらない。社長は必ずしも悪くない。「どうにかなっている」=「問題はない」と見えるからだ。日本の長時間労働とG7中最低の労働生産性の根源はこの「どうにかする」にあると考える。その結果、自由になる時間とお金が少ないことは、確実に日本の幸福度を下げている。

労働生産性=業務効率×商材の付加価値性なので、社員が効率よく働いている会社でも労働生産性が低いのは、日本企業の商材に低付加価値のものが多いからと考えられる。欧州の現状を見て、この負のスパイラルから抜け出す一つの特効薬は、「どうにかしない」ことだと考える。「文化が違う」と言っている余裕はない。

会社の要求が「無理難題」の場合は、「どうにかする」のはやめよう。部署全員で協力して「無理です」と説明し、精一杯頑張った上で全員で一緒に定時に帰ろう。業務が滞り、会社の業績は悪化するだろうが、それでいい。
 すると、「人を増やす」「待遇を改善する」などの方法を取らざるを得ない。そして今度は会社が、「条件を整えたから、キビキビ働いてほしい」と言っていい。サボっているとクビになるので、定時まで集中して働こう。このスパイラルを回すことで、業務能率を上げ、賃金上昇につなげ、商材の付加価値≒価格を上げても大丈夫な経済基盤を作ろう。

今日も遅くまで頑張って、上司の無理難題に応えたみなさん(過去の自分も含めて)、長い目で見れば、その努力は日本を幸せにはしない。日本人は「みんな」と違うことを恐れる。であるならば、全員で協力して「どうにか」せず、仕事が終わっていなくても全員で定時に帰ろう。
 そんな社員の試みを雑誌に取材してもらって記事にして、世間にアピールすれば、会社の評価が上がる世の中になってきた。日本の「未来のためにできること」はすぐ目の前にある。
(2024年8月23日)

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