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魅惑のあんこもち

「おもち」というストレートなものから、「もち子」という名前風、「よもぎもち」や「きなこもち」といった味のバリエーション、「みたらし団子」といった派生系まで。各種投稿におけるペンネームが「もち」に関する単語であった場合、その多くは女性である、という話を聞いたことがある。世の女性たちが、いかにもちを愛しているかの実証の一つだろう。

その話に、実感を持ってうなずく。なぜなら、わたしも「もちラバー」(という言葉があるのかは知りませんが)の一人だからだ。


うちの実家では年末になると、従姉妹の家と合同での餅つきを行う。いまや4世代が参加するそれは、臼と杵を使ったイベント的なものではなく、電動もちつき機2台をフル稼働させた、製造特化型のガチ行事。

つきたての餅を米袋に入れて平らに延し、固まったら均等にカットして冷凍し、翌年いつでも餅が食べられるようにしておく。それとは別に、一部はあんこを包んで「あんこもち」にする。

あ・ん・こ・も・ち。この魅惑の5文字がわたしの大大大好物なのでございます。


先ほど自らを「もちラバー」とか自称しておいてあれですが、あんこもちの根幹とも言えるのが、何と言っても「あんこ」でしょう。現在、そのあんこ作りを担当しているのはわたしの父なのだが、長年それは祖母の役割だった。

黒糖を使って作る祖母のあんこは、なめらかで、甘すぎず、かつコクがある。働き者の祖母がそのまま表れたような、細やかに手間をかけられた味がして、本当に絶品だった。

あんこもちを作る際、あんこがはみ出したり皮が破けたりした場合にはその場で処理出来るというルールがあったのだが、(ズル)賢いわたしは、それを逆手にとって失敗した体裁で食べまくっていたことも、懐かしく思い出される。

ただ、祖母はもう95歳で年齢的に一人であんこと作るのが難しくなってしまった。父のあんこも美味しいのだが、かつてのあの味とは何か違う気がして、味わえないのがいまはとてもさみしい。


あんこもち。おばあちゃんのあんこもち......。

コンビニで買って食べると甘すぎる。赤福も美味しいけど、なかなか食べられないし何かが違う。ずっと理想のあんこもちを追い求め、あんこもちジプシーのわたしが、理想に近いものとして出会えた、唯一の商品、いや作品がある! 


それが、日暮里にある「羽二重団子」だ!!! 

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※団子もめちゃくちゃうまいのだが、あんこもちだけを入れた「しずくあん」という商品がありそれが最高。画像はWebサイトから借用しました。

羽二重団子は、江戸明治期からある老舗で、かの夏目漱石や正岡子規の文学作品にも登場したりする名店of名店です!


実は先日、敬老の日のお祝いでおばあちゃんの元気な姿が送られてきており、不届き者の孫は、祖母の顔からおいしそうなあんこもちを連想してしまった末、本日どうしても耐えきれなくなり、往復で1時間以上かかる距離を、日暮里まで買いに走った。というのが、ことの顛末なのでした。

ということで、もし気になる方は、ぜひ行ってみてください。おいしいよ。


そして! 探究の道に終わりはないので、都内近郊のおいしい「あんこもち」情報をお持ちの方がいれば、そちらもぜひ教えてくれると大変うれしいです。



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