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アーマーを持つ虫

2020年のNature Communicationsによるとハキリアリの一種(Acromyrmex echinatior)がマグネシウムを含む炭酸塩鉱物(つまりドロマイトだろうか)からなる「装甲」を有してることがわかったらしい。

ハキリアリといえば葉っぱを噛み切って敷き詰め、育った菌類を食べて子供を育てるような「農業」を行うアリとして知られているが、外骨格上に鉱物を備えていることは面白い。

だいたい虫といえばタンニングと呼ばれる外骨格のクチクラ(いわゆるキューティクル)の硬化を行って、表皮の硬さを作り上げている。これは硬い顎などで顕著に現れ、色素沈着を伴うことから、昆虫の黒い部分はタンニングによる硬化が起きているところである。ただし鉱物を使って硬化を図る例はこのアリでしか見つかっていない。

貝類などの軟体動物や微生物(有孔虫など)は炭酸カルシウムの殻を持つし、スケーリーフットのような硫化物の装甲を持つものもいる。鉱物、という点では人間だって骨や歯はリン酸カルシウムからなり、胆石や結石を作ってしまうし、魚も耳石を持つ。一方で鉱物を作る昆虫はただの一つも知られていなかった。少なくとも私は知らない。

他の昆虫も持つものがあるのか?どうやって結晶化させているのか?貝類であれば天然条件で炭酸カルシウム(アラゴナイト)が勝手に沈澱することはなく、有機物(タンパク質)の働きを使って結晶化を促進している。そういう能動的な働きをわざわざ行って装甲を作り上げているのだろうか。

興味をそそる。

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