行政/政府とは? 行政学授業メモ③

※地方自治+行政学の個人的な授業メモです。誤りなどあればご指摘いただければ幸いです※

<行政とは?>
(関係性の中の政府)
政府とはなにか?を考えるときには政府間関係論=IGR をふまえなくて検討する必要がある
→縦の関係(中央政府-地方政府) 横(地方政府間)
・現在はGovernmentからgovernanceへ、という流れ
※国から民間へ、というイメージも含むがそれだけではない→産官学金
 
(サービスの提供者としての政府)
①公共財:非競合性(だれかが消費しても他の人の消費に影響しない)+非排除性(利用できるひとを制限できない 本質的にオープン)のあるものは民間が管理することが難しい
例=道路、水、治安、公園…
→こういった公共財の管理をするのが政府である、という考え方
※例
駐輪場のない駅の、駅前で放置自転車が問題になった。各自が自分の利益のために行為した結果、みんなが「望まない結果」ような現象を「集合行為問題」という。
→駐輪場を設置して、放置自転車の管理をするのがよいが、そのコストや管理は誰がやるか?
→社会に承認された正統で法的な権力=政府にその管理をゆだねることでみんなが満足できる社会を実現できる
 
②大規模な社会基盤整備:明治期の近代産業の促進、電気事業や鉄道事業など大規模な財政基盤とネットワークが必要になる。企業よりも信用の高い政府が担う必要がある場合がある。
→自然独占になりやすい市場であり、そこへ国有化など政府が介入する意義がある
→不採算地域でも行うべき事業がありうる。それを政府が提供する意義がある

③再分配 →税金という形で徴収し、それを原資として貧しい人に財やサービスの現物給付という形で行う
 
 
(権力、三権分立の文脈での政府/行政)
三権分立の文脈のなかでも解釈する必要がある
現在は、国民と直接むすびついているのは国会=立法府であるが、
昨今のように行政が肥大化してくると、行政府の権力が特に強くなってくる
そのため、立法府と司法府は、行政府を強くコントロールしないといけなくなる
→「法律による行政」という側面 (cf 行政法学)
また行政組織は本人-代理人関係の連鎖である=国民→議会→内閣(首相)→大臣→官僚 とそれぞれが代理人に委任している
 
(政治と行政の関係//政治主導の行政?)
政治と行政の関係
・行政官は国民から遠い:実施、中立、専門、異質 
・政治家は国民から近い:決定、党派、大衆、同質 
 
アバーバックによる「政治家と官僚は徐々に融合していくのでは?」という指摘
※以下それぞれ政治家/官僚の順に機能を記載
イメージI:政策の立案/政策の実施 政治行政分断論(近代になるにしたがって、行政国家/福祉国家となり、これは批判されている)
イメージII:有権者への応答/中立性+専門性
イメージIII:拡散した利益の集約/組織化された利益の調整 →アバーバックはこれが現状であると指摘。
イメージIV:混合
日本ではIIIのようになっていて、「政治的官僚」「官僚主導+自民党長期政権」といわれていたが、「政治主導」がいわれるようになりIIへ回帰しようとした。民主党鳩山内閣でもっともその傾向が強かったが、過度に官僚の政策形成への関与が制限され、結果的に意思疎通に支障をきたし、第2次安倍政権以降事務次官連絡会議を開催するなど補正が加えられた。
 
・フランス/ドイツは高級官僚は、政治家と融合しており、高級官僚の政治任用も活発で、官僚の政治活動も認められている
・日本は、自民党の長期政権の結果、政治家と官僚の密接な関係性ができ、官僚が与党の政策スタッフの役割を成している側面がある。必ずしも与党の勢力(派閥など)と政府、官僚とは一致せず、その間に各政策に対して利害をもつ「族議員」が浸透し影響力をふるおうとした。政府(首相)はそれに対抗して、マスメディアを通じた世論の誘導や、審議会/委員会による専門家の任命で族議員に対して対抗している
・イギリス:政治家が行政機関の上級職に多数任命され、政治家が行政機関へ浸透している。その結果、逆に役割分担の意識が強く、行政官は中立性・専門性の意識が強い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?