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筋トレのコツ16:あまり知られていない「アイソキネティック」のメリット

この記事では筋トレを続けていく上で重要になるコツの中でも、『アイソキネティック』の特徴についてまとめています。

尚、「アイソキネティック」とは、簡単言えば「筋肉の収縮の仕方」の一つです。その特徴を理解する事でトレーニングを効率化させましょう。


「アイソキネティック」とは?

アイソキネティックとは、簡単に言えば「筋肉の収縮スピードが常に一定な収縮」の事を言います。つまり機械のように、ひたすら同じスピードで収縮を繰り返すのが、この「アイソキネティック・コントラクション(等速性収縮)」です。

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ただし「意識的な同じスピードでの収縮」の場合、厳密にはアイソキネティックとはなりません。何故なら人間は機械ではないので、意識的に同じスピードで動かしているつもりでも、実際には誤差が生じているからです。また例え同じ動作の繰り返しでも、時には大きなミスをしてしまう事もありますから、それはアイソキネティックとは言えません。

更に、筋肉は収縮を繰り返す事で疲労していきます。つまり運動を始めたばかりの頃と、しばらく続けた後では、同じ収縮スピードで筋肉を収縮できるとは限りません。いずれ疲れて思うように体を動かせなくなったり、疲労に耐えられなくなって、途中で運動を止めてしまうかもしれません。やはりそれではアイソキネティックにはならないのです。

よって、常に一定の速度で収縮する「真の意味でのアイソキネティック」を起こさせるためには、基本的には「常に一定の速度で動く専用のトレーニング機器」が必要になります。例えばボートを漕ぐような動きをするローイングマシンや、ペダルを漕ぐバイクのようなマシンが知られています。


交互に「異なる種類の収縮」を繰り返す事ができる

スクワット

例えばここに一定の速度で自動的に上下動するバーベルがあるとします。まぁ実際にバーベルが宙に浮いていたら、それはもうただの怪奇現象なので、これはあくまで分かりやすくするためのイメージです(笑)

その上下動するバーベルを手で掴んで、首の後ろへ乗せ、まずは「そのバーベルを常に上に持ち上げる」ように「スクワット」をしてみます。

すると、バーベルはそのように常に一定の速度で動いていますから、バーベルが下へ移動する時には、そのバーベルに抵抗するように力を入れる事になります。つまり大腿四頭筋(太ももの前にある筋肉)では「エキセントリック」が起こります。逆にバーベルが上へ移動する時には、それをそのまま持ち上げようとしますから、大腿四頭筋で「コンセントリック」が起こります。

つまりバーベルが同じ速度で上下に移動していて、そのバーベルを常に持ち上げようとする場合、大腿四頭筋に対して「エキセントリック」と「コンセントリック」が交互に起こり、それが常に一定のスピードで繰り返される事になります。

また今度は、そのバーベルを「常に下へ引き下げる」ようにしてスクワットをしてみます。すると、バーベルが下へ移動する時には、ハムストリングス(太ももの裏側にある筋肉)で「コンセントリック」が起こり、バーベルが上へ移動する時には、ハムストリングスで「エキセントリック」が起こります。

この場合、ハムストリングスでコンセントリックとエキセントリックが交互に起こる訳です。つまりバーベルの上下動に合わせて「力を入れる方向を逆にする」だけで、裏側の筋肉を鍛える事ができるのです。

この他、速度自体はそのように一定ですが、バーベルを速く持ち上げようとするほど、要求される筋力は大きくなります。つまりバーベルに対して抵抗する自分の力加減によって、筋肉へ与えるストレスの大きさも自在に変える事ができます。これらがアイソキネティックの特徴です。


交互に「表側と裏側の筋肉」で「同じ種類の収縮」を繰り返す事もできる

前述と同じように、一定の速度で上下動するバーベルを例にして考えてみます。

まずはバーベルが下へ移動する時には下へ引くようにし、バーベルが上へ移動する際には、逆に上へ持ち上げるようにして、スクワットをしてみます。つまりバーベルの上下動に合わせて、力を入れる方向をスイッチするという事です。

すると、どういう事が起こるのかというと、バーベルが下へ移動する時には、ハムストリングスで「コンセントリック」が起こり、バーベルが上へ移動する際には、大腿四頭筋で同じように「コンセントリック」が起こります。

つまり「ハムストリングスと大腿四頭筋を交互に鍛える事ができる」上に、「エキセントリックを起こさず、常に一定の速度でコンセントリックだけを起こさせる」事ができます。

また今度は、バーベルが下へ移動する時には上へ持ち上げようとし、バーベルが上へ移動する時には、逆に下へ引くようにしてスクワットをしてみます。

すると、バーベルが下へ移動する時には、大腿四頭筋で「エキセントリック」が起こり、バーベルが上へ移動する時にはハムストリングスで、やはり同じように「エキセントリック」が起こります。

つまり「大腿四頭筋とハムストリングスを交互に鍛える事ができる」上に、「コンセントリックを起こさず、常に一定の速度でエキセントリックだけを起こさせる」事ができるのです。これらもアイソキネティックの特徴になります。


リズムやスピードを体で覚える事ができる

前述の例では、どんなにバーベルを速く動かそうとしても、上下動する元々のスピード以上のスピードは出す事ができません。またバーベルが上下動する際のリズムも常に一定であり、どれだけ抵抗しても変わる事はありません。

つまりそのようなトレーニングを行っていれば、次第に「バーベルが上下動するスピードやリズムを覚える」事ができます。これはアイソキネティックにしかない大きな特徴です。

例えばですが、バーベルが、例えば1秒間隔で上下動し、合計5分間動き続ける場合、その「1秒」という時間、「60秒(1分)」という時間、「5分」という時間を、「(意識的にではなく機械的に)体で覚える」事ができます。

特にこの「秒」を覚える事による効果は、例えば複数人で行うスポーツで、同時に同じ動作を行う必要のある場合、役に立つ事があります。例えばボート、綱引き、シンクロナイズドスイミング、新体操、何らかのダンス、高飛び込み、フィギュアスケートなどです。

また「分」を覚える事による効果は、例えば制限時間のあるスポーツでは役に立つ事があります。例えばボクシングは1ラウンド3分、レスリングは1ピリオド2分、柔道は1試合4分、剣道は1試合5分です。試合中に審判が止めたり、途中で時計を見れる場合もあるので、そこまでして覚える必要はないかもしれませんが、「時間感覚」を覚える意味はないとは言えません。

ちなみにスポーツ以外では、実は音楽でも役に立ったりします。例えばベースやドラム、あるいは和太鼓なんかは、常に一定のリズムで刻まなければいけません。まぁわざわざ「全身を使ったアイソキネティック」である必要はない思いますが、そうして全身で覚えた方が良い場合もあるので、一応紹介しました。



以上です。何かのお役に立てれば幸いです。

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