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Kick Japan Ranking Virtual Jan. 2023 Vol. 007 Ver. 1.20

Ver. 1.20:  那須川天心 vs 武尊後の勢力図を数字で見るを修正。
Ver. 1.10:  ONEChampionshipで活躍するヴィクトリア・リー選手が亡くなりました。
Ver. 1.00:  4団体統一キックボクシングランキング≦ 57.5 kg新設
1ヶ月間のみ、Vol. 005を無料公開します。

ONEChampionshipの日本の組織から正式に Victoria Lee 選手の逝去が発表されました。2022年12月26日、18歳で亡くなりました。死因についての正式な発表が有り次第、お知らせしたいと思います。

ご冥福をお祈り申し上げます。

Kick Japan Ranking Virtualとは?

日本国内で、キックボクシングルール(ヒジ無し、ほぼ掴み無し)の試合をする選手のランクです。原則、RISE、新生K-1、KNOCK OUT、シュートボクシング等に参戦する選手のランキングを発表しています。継続参戦が期待される外国人選手も含めました。判定結果だけに拠らず、選手の実力ベースで評価したものです。

ヒジ無し、掴み制限有りルールを採用する団体の選手の強さを相対的に理解出来るランキングを目指しています。今回より、57.5 kg以下級を設置しました。選手の充実状況と人気によって階級を増設する予定です。

新号リリースと同時に前々号のランキングを1ヶ月間無料公開します。
新号は月初頃にリリースする予定で、ランキング以外の記事は無料です。

Topics

キックボクシングの未来

日本には多くの空手道場や剣道、柔道を教える道場があります。そこからプロのキックボクサーやMMAファイターを志すファイターが現れる。アマチュアの大会も各競技とも盛んに行われている。

世界に目を移すと、プロ競技として盛り上がっているのはキックボクシングではありません。MMAがトップで次にプロボクシング。種目ごとの正確な興行収入などは不明ですが、日本の場合にはここにキックボクシングが入ってくる。新生K-1やRISEのAbema配信がそこそこの人気を保っています。昔はリングスや旧K-1で盛り上がっていましたが、完全な真剣勝負とは言えない面もあった。今よりももっとエンタメ色が強く、それをファンが理解していなかったが、その方がかえってファンは喜んでいました。

現在は世界的に人気なのは真剣勝負のMMAであり、キックボクシングはその出身競技程度の二軍扱いされていると言うのが現実でしょう。アデサニヤにしろ鈴木千裕にしろ。世界でも日本でもキックボクシング出身者がMMAを目指している(鈴木は厳密にはMMA出身者)。これは強さへの憧れも否定しませんが、純粋に金の面が桁違いだと言う現実があります。

MMA総合格闘技は、その名の通り立ち技も寝技もある。より喧嘩や実戦に近いイメージで強さを求めるファンには憧れがあります。ただ多くのファンはそう言いながら、派手なKOや演出を知らず知らず求めている部分があります。難しい技術を知らないとつまらなく感じてしまう面がMMAにはどうしてもあります。初期のグレイシー柔術の頃のアルティメットと呼ばれだ時代のMMAはグラウンドの膠着ブレイクをせず、より実戦に近いものでしたが、つまらないのでブレイクしてスタンドの展開を多くしました。これでは実戦性を求めているつもりでも、実際には現実とはほど遠い格闘になってしまっているのです。

その点、キックボクシングは分かりやすいルールで、誰が見ても勝敗がシンプルに分かる。ボクシングより派手な技も使用できて、より実戦に近い。だから筆者はやり方によっては、もっとキックボクシングが注目を浴びても良いし、今後盛り上がるチャンスはあると思っているのです。

ただし、改善しなければならない問題点がいくつかある。一つはアマチュアのアスリートレベルが低い点です。

キックボクシングに関して言えば、アマチュアの空手がそのバックグラウンドにあるが、柔道やボクシングに比べてオリンピックでそのフィジカルを競うようなレベルでなく、アマチュアの護身術程度のレベルの場合が殆ど。否、極真の世界大会レベルであればプロと言える、そんな意見も聞く。では実際にリングに上がればどうだったでしょう。先ごろの極真空手出身のベイノア選手の秒殺やこのところの成績はどう理解すれば良いのでしょう?

それに比較して柔道はどうでしょう。空手などより中学、高校でもレベルは高く、アマチュアの競技会でも将来はオリンピックを目指すレベルの児童が全国に控えている。オリンピック代表クラスになれば立派なアスリートで、アマチュアの空手家など全く相手にならないようなフィジカルを備えている。初期に柔術大会に出場していた者でコムロックの小室宏二さんを知らぬ者はいないだろう。彼のフィジカルに敵うアマチュア柔術家など同階級付近には誰もいなかった。

そこに目を付けたのが青木真也でした。彼は柔道でそこそこの成績を収め、寝技にも凝っていました。しかし彼のスタイルではオリンピックで活躍する事は見込めませんでした。そこでアマチュアの柔術大会を荒らした。柔術的な寝技でありませんでしたが、そのレベル違いのフィジカルでアマチュア柔術家など全く寄せ付けなかった。その頃の日本の柔術家のフィジカルはアマチュア丸出しのものでしたので、剛術で柔術を簡単に破壊して見せた。一般には中井祐樹氏の弟子と言う事になって柔術家を名乗っていますが(中井のバックグラウンドも北大の高専柔道)、彼の寝技はブラジリアン柔術ではなく、柔道のものです。筆者が言いたいのはフィジカルレベルが一定に達していないと、体重を合わせて行われるプロ競技では土俵に上がれない、と言う事。技術を競うレベルに達していないと言う事。その証拠として、青木真也のMMAは体格体力差があると全く機能していない。だから筆者は青木真也選手はアジアレベルと評価しているのです。世界レベルにはフィジカルが達していないのです。ともあれ、段違いのフィジカルの持ち主が、今はMMAに向かっていると言う事。先日のベイノア選手の負けも同じ事が言えます。

余談になりますが、本来のブラジリアン柔術は体格差を想定しており、実戦で体格差があって、下にされても負けない戦い方ができる技術体系です。つまり、ヒクソン・グレイシーではなく、エリオやホイスの柔術がブラジリアン柔術なのです。競技ではヒクソンタイプがもて囃されるが、実戦では体格差があるのが当たり前ですからね。

不思議に思っている事を一つ。青木真也はある時期からドーピングについて口にしなくなった。昔はかなり急先鋒的に否定的意見を言っていた。それが突然言わなくなったのはなぜだろう。まさか、黙って世界標準に合わせているって事はないですよね?

今後、キックボクシングにオリンピック級のアスリートが集まってくる事はあるのでしょうか?少なくとも現状のように、強くもないのに世界だ世界だ、弱い外人にKO勝ちさせて喜んでいるような事をしていてはお先真っ暗でしょう。古い時代には実際にそんな事をしてきました。もう観るほうも昔のような情弱なファンばかりではありません。調べれば相手の外国人選手はほとんど試合にも出場していない、元王者やランカーばかり。実際に戦ってみてがっかりさせられるのはもうやめにしませんか?

朝倉未来氏は不良の中に優れた運動神経や能力を持っている者が多い事を知っており、そこに光を当てました。家庭環境などの影響で能力を活かせなかった者を見出しました。たしかに筆者の中学の同級生の不良のトップはバスケもマラソンもぶっちぎりの才能を持っていました。キックボクシングにもまだ成功の可能性は残されているでしょう。誰も何も考えていないだけなのだと思います。

キックボクシングの人気を上げる方法を一つ提案させていただきます。MMAではUFCが層の厚さでは群を抜いています。そして多くの外国人がそのレベルを体感しにアメリカを訪れます。そして違いを感じ取った者は成功しています。確実に違いが有るのを行けばすぐに感じられるでしょう。それはこれまで述べてきた、世界レベルのフィジカルを備えるための設備とノウハウを持っているのです。

筆者はキックボクシングの予想をすれば大体当たります。簡単な事です。フレームと経験を見れば大体結果が分かるからです。しかし中には予想を覆す結果になることがしばしばあります。それは常人を超えた特殊なトレーニングをした選手の場合です。那須川天心選手を筆頭に何人かの選手がいます。

やたらにウェイトトレーニングして、余分な筋肉をつけるのはどんな競技でも得策ではありません。そうした筋トレ一つにしても、何をすべきかがアメリカでは科学的にプログラムされているのです。その競技、ルール、時間に合わせて最適なメニューが当然のように用意されているのです。

ただ古い伝統のまま、先生に言われるがままの練習をしていたのでは勝てない時代になっているのです。世界を口にするなら、世界を知らずして勝てるはずが無いのです。

こんな長い文章を読む人はほとんどいないと思います。キックボクシングを本当に愛している人に読んでいただけたなら幸いです。


那須川天心 vs 武尊後の勢力図を数字で見る

当ランキングでの新生K-1選手とそれ以外の団体選手の人数の割合は、
≦ 55.0 kg
新生:RISE他=3:13
≦ 57.5 kg
新生:RISE他=4:6
≦ 60.0 kg
新生:RISE他=6:5
≦ 65.0 kg
新生:RISE他=4:9
≦ 70.0 kg
新生:RISE他=2:10
合計(2023年1月)
新生:RISE他=19:43  新生K-1の割合は30.6%(新設階級を除くと28.8%)
合計(2022年6月)
新生:RISE他=14:25  新生K-1の割合は35.8%

ここ半年で5%ダウンしている事が数字からも読み取れます。

上記は男子だけですが、女子を入れればもっと差は開く。新生K-1は1団体で、RISEで戦うのはKNOCK OUTやシュートボクシング等3団体ですが、実力者が多く集まっているのは、もはや新生K-1ではないと言えます。
明らかに実力、勢力は新生K-1からRISE勢に移った。これを武尊や芦澤竜誠の責任にするのは可哀想ですが、そのように見るファンも少なくないのではないでしょうか。

こうなると、新生K-1も何か手を打たなければジリ貧が進むでしょう。ここに来て安保瑠輝也と城戸がも新生K-1を去りました。理由はどうであれ、知名度の高い選手が減った事は大きな痛手でしかない。SNS等を見れば新生K-1にしろ、その他にしろ、外国の政治や宗教などの影響が皆無とは言えない世界で、純粋に商売だけを考えて済むものでは無いようにも見えます。実際にはどうかしらないが、そのように見える事だけでも問題でしょう。

格闘技界は反社と密接に関係しており、南北朝鮮、活動家、政治家などの関与が一般的な世界。空手団体主催者やそれを広めた梶原一騎なども、それ自体、或いはそれと同等に見えた。Breaking Downも反社チェックは怠っていないでしょうが、それに準ずる、指定暴力団ではない半グレ或いは元半グレに相当する者達がゴロゴロしています。いずれ重大な問題を起こすに違いない。最近は彫り物はファッションと言う者も多いが、これらの周辺の彫り物率は高すぎます。

だから逆にRISEや新生K-1は競技色を一層強くし、ドーピングチェックを厳正に行う事で、怪しい団体と一線を画す事で価値を持たせる。半グレは暗い所に集まる。真っ当であろうとするものには明るい脚光を浴びる場を作りましょう。棲み分けをする。新生K-1のように彫り物を隠すのは良い試みだと思います。彼らとの差別化を進めましょう。

有望なアスリートが集まれば試合の質も上がる。スポンサーも付く。クリーンスポーツの方が圧倒的にメジャー企業に応援してもらえる。選手のファイトマネーもMMA並みになり、それを超える。

そんなに簡単な事ではありませんが、現状のままでは萎んで行くだけでしょう。
那須川天心選手や武尊選手がせっかく引き上げてくれたステータスを尊敬の念を持って、引き続き上昇させて行きましょう!


ランキングに影響する大会

当ランキング1位と5位の対戦は滅多にない好カード!
そろそろカード発表しないと。

KNOCK OUTは良い選手に恵まれていたのに、完全にマッチメイクを失敗してきた。スター選手をプロテクトし過ぎて、好カードを逸してきた。訳の分からない選手と龍聖を組んで連勝させる昔のやり方は全く面白くない。何をしているんだと言いたい。安本対龍聖、兼田対安本、兼田対龍聖、栗秋対龍聖、どんどんやっていれば全く景色が変わっていただろう。



トップ選手の登場が四半期に一度しかないのはいかがなものか?ONEルンピニーへの出場があるからなのだろうか。そちらに期待するしかない。

KJコラム

●堀口選手のカーフキックは技術が違う!

もうキックボクサーでもMMAファイターでも知らぬものはいない「カーフキック」。日本人ファイターの中でも研究が進み、蹴るほうも、蹴られるほうも危険な技である事が認知されました。そして最近では骨折など蹴ったほうが怪我をする例も多くなり、あまり積極的に用いられていないようにも見える。しかしさすがに一流選手は違う。簡単にブロックされるような蹴り方をすればカウンターブロックを受けて負傷させられるので、コンビネーションの中に組み込んで蹴る。キックボクシングの試合でも若手の注目選手、RISEの有井渚海選手がシュートボクシングの山田虎矢太選手のカーフキックをブロックせず、効いたところにカウンターのパンチを受けてKO負けを喫しました。山田選手はRISEルールで有井を破り、見事4団体統一ランキングの8位にランクインしました。3ラウンドのRISEルールではブロックせず、パンチを合わせる手もあるように思えます。しかし相手のカーフキックが一流であれば、3ラウンドノーガードでは耐えられません。カーフキックについてはいくつかの蹴り方がある事は他noteでも述べました。やはり堀口選手のカーフキックを見ると他の選手の技術とは違うものを感じます。最近武尊選手の練習でも見られたものと共通する蹴り方のように見えます。詳細はnoteで研究してください。


注目選手

≦ 53.0 kg

≦ 55.0 kg


≦ 57.5 kg

今号から≦ 57.5 kgのランキングを設置しました。非常に選手層が充実してきており、対戦の期待が膨らむ選手がむしろ≦ 60.0 kgよりも増えて来たからです。今回は仮のランキングと言う事で順位は付けていますが、今後の対戦で激変される事が予想されます。新生K-1もRISEもへたな外国人との対戦より、充実してきた日本人選手同士の対戦を惜しみなく展開していただきたいものです。以下にランクインメンバーを列記します。敢えてここでは順不同にしておきます。

Taito Gunji, Shoki Kaneda, Haruto Yasumoto, Keisuke Monguchi, Shogo Kuriaki, Ryusei, Taisei Umei, Toma, Takashi Niimi, Daiki Toida


≦ 60.0 kg

≦ 65.0 kg

≦ 70.0 kg

≦ 46.0 kg Female

≦ 49.0 kg Female

≦ 52.0 kg Female


今月の注目カード

≦ 53.0 kg

≦ 55.0 kg

≦ 60.0 kg

RISE 164ではムエタイ選手を招いて大﨑一貴、田丸辰らが戦う。確かにムエタイ選手は強い。ただしムエタイルールなら。ムエタイにおいてもどの程度の選手か不明な選手を連れてきて世界と戦うと言われても誰もピンと来ないのではないだろうか?その中で一際目を引くカードがメインに組まれた。この3年半負けなしの常陸飛雄馬選手と、60.0 kg以下級では圧倒的な実力を持つチャンヒョン・リー選手の対戦がある。当ランキングの1位と5位の対戦です。実際には2位から5位までの実力差は僅差であり、1位と2位の対戦と言っても過言ではありません。チャンヒョン選手は先日も階級上の中村寛と対戦し、ダウンを喫するも完膚なきまでに叩きのめし、底しれぬ強さを見せつけたばかりです。常陸選手も最近人気のYA-MAN選手の練習パートナーとして注目されており、笠原友希選手からもKO勝利を奪う実力者です。二人の間に実力差があるのか無いのか、注目の好カードです。

≦ 65.0 kg

≦ 70.0 kg

≦ 46.0 kg Female

≦ 49.0 kg Female

4団体統一キックボクシングランキング

(RISE 新生K-1 シュートボクシング KNOCK OUT)

≦ 55.0 kg

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