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二日酔いの昼下がり、ペ〇ングに想いを寄せて.......。
反省と後悔と共に起きる朝。
そんな朝に私がやることが必ずある。リビングに行き、放置している鞄を開け、財布が入っているかを確認するのだ。
その日の朝も、私は起き上がるとリビングへ行き、鞄を開けて財布が入っていることを確認した。なぜ、そんなことをするのか。起き抜けの私には、昨晩帰宅後の記憶が全くない。帰宅前もはっきり覚えているかと聞かれれば非常に怪しい。そんなもんだから私は酔っ払ってどこかに財布を放置していないかと心配になる。
そんな心配をしておいてなんだが、私はこれまでの人生において財布をどこかに置き忘れて帰ったことなど、一度たりともない。おもしろサザエエピソードを探そうにも出てこない。案外用心深い人間かもしれないので心配するだけ杞憂だとはわかっているが、千が一、万が一があるかもしれないと私は考える。用心深さ故の思考回路である。人生には突如として想像できないことが起きるかもしれないと、普通の人生を歩きながら、私はそんなことを考えている。
鞄の中の財布を確認し一息つく。そんな中、反省は私の頭をガンガンと殴り続け、後悔は胸焼けを起こすほどに私の体内に渦を巻いて鎮座している。よろよろと冷蔵庫を開けて、レモン味の炭酸飲料を飲み干す。母の漬けてくれた梅干しを一つ摘んで口に放りこむ。ジュワッと口の中に唾液が満ちてきて、「もっかい寝よ」と独りごちた。
楽しいお酒では悪酔いすることは少ないが、仕事の付き合いの飲み会となるとどういうわけか悪酔いすることも少なくない。愚痴とか悪口とか、口当たりの悪い会話を酒で洗い流そうとしてしまう浅はかな自分がいるからだろう。楽しい会話だけしておきたいよ〜と思ったりもするのだが、共通点が仕事しかないのだから仕方あるまい。金と時間の無駄だな、と思いつつ、これ一つをこなすのとこなさないのとでは、昼間の仕事の進み方が変わってきたりもするので、やむを得まいとも思う。
その後も私はぐだぐだと起きたり寝たりを繰り返す。「我ハ沖田総司ナリ」と自分を鼓舞し、起きては掃除をし、掃除をしては眠り、起きては掃除をし、息も絶え絶えに部屋の掃除をなんとかこなした。
すやすやと昼寝をしている愛犬ポッキーを見ながら私は思う。
生まれ変わったら犬になりたい。お金持ちのイケメンの犬になりたい。上司の犬なんか嫌だよう。うわーん。もふもふになりたいよう。モップかクッションに間違えられたいよう。次の飲み会は絶対に断るもん。ううう。なんてことを考えては切ない気持ちになる。
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ぐうぐう
腹が減っては戦はできぬ!
ぐうぐうと寝るポッキーを横目にぐうぐうと鳴る腹の虫を治めなければならない。簡単で美味しいもの。そして一気に家族の腹が満たされるものを、ということで、私はあの存在を思い出した。ペヤングだ!
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いやっほ〜い。ペヤング、みんなで食べようぜ〜と息子を部屋から誘い出した。
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ドッカーン
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まあ、想像どーり
まつざかとーり
予想どおり
ヒゲソーリー
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ペヤングはどんな時でもおいしい。そしてノーマルは間違いなく美味しい。豚骨は味薄め。多分、最初に食べるべきやったやつ。ガーリックはガーリックがすごい。ものすごいガーリック。その名に恥じないガーリック。激辛は辛い。その名に恥じない辛さ。食べれんこともない。
みんなで、あーだこーだいいながら、結局ノーマルが一番うめえな、ということで落ち着いた。
とはいえ、私はペヤングよりペヨング派。
ペヤングはペヨングのバッタもんかと思われがちだが、実は同じメーカーが作っている廉価版ペヤングである。肉が入っておらず、かやくが少なめ。
ペヤングとペヨングの差については上のガチ検証の通り、ほとんど変わらない気がしている。ペヤングのあの謎肉はいらない派なので、お安いペヨングの方が私的には好みである。ペヤングとペヨングの差は、私にとっては安藤サクラと江口のりこくらいの違いであり、どちらも素晴らしい大女優さんである。ただし、味は双子ほどに同じ味であるものの、やはりトッピングが違うということで、主戦場が異なるのは仕方がないことだ。とはいえここまで書いておきながら、例えが適切だったかどうかという疑問が青のりのように私の前歯の隙間にくっついている。正直なところ、この大女優おふたりの主戦場がどこなのかを私は知らないし、似ているか似ていないかもよく分からない。ここ数年、ドラマも映画も気が向いたやつをごく稀に見る程度なので、自分の書いていることが正しいのかもよく分からない。根拠もなく雰囲気だけで文章を書いていることをここにお詫びいたします。
よく知りもしない大女優さんのことを考えながら腹に食べ物を入れると、私はやっと落ち着きを取り戻した。少しだけ昨日の酒も抜けてきたので、私はうずまきソフトかうますぎソフトかよくわからないアイスを食べた。
間違いなくうずまきソフトであったはずなのに、パッケージにいきなりうますぎソフトという名前をぶっ込んできたあいつだ。
お前は一体何者なんだ!
もうお前はう○○○ソフトだ!
と伏字にしてみたら、一気に食欲がうせそうソフトになってしまった。
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食べようとしてソフト部分が折れるという失態を犯してしまったが、なんとか突貫工事でソフトを再びカップの上に乗せて、ゆっくりとうずまきソフトをいただくことができた。
うずまきソフトを食べながら体に渦巻く後悔を宥めるように私は己に誓いを立てる。
もう酒は飲むまい、と。
無駄だと知りつつも、私は幾度となくこの誓いを立て続けていることを私自身がいちばんよく知っており、うずまきのような螺旋階段を上っては降り、降りては上り続けている。私はいまだに自分のことも、自分がどこに向かうのか、そしてどこに行こうとしているかも何もわからないままだ。
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