めんどくさがりのハンバーグ
ハンバーグとは、挽肉をこねて丸めて焼いた食べ物である。
文字に起こすと簡単に作れそうな印象を受けるが、私にとってハンバーグとは、調理が面倒臭い食べ物である。
まずは玉ねぎのみじん切り。
これがめっぽうめんどくさい。
簡単にみじん切りができる調理器具がこの世に存在することは、私も知っている。そしてそれを私は持っている。しかし、わざわざみじん切りのために、その調理器具を取り出すのがめんどくさい。さらには使った後、刃に詰まった玉ねぎをキレイに洗うのもめんどくさい。だから、使わない。仕方がないから自分で包丁でみじん切りにするしかない。
こねるのも正直面倒だ。
手がベタベタするし、手についた肉の脂が落ちないし。
焼くのも鬱陶しい。
ハンバーグは中までしっかり焼けているかがわからない。生焼けだった時のガッカリ感ときたら、半端ない。表面はしっかり焼けている風なのに、焼けていないとはこれ如何に。全くもってガッカリさせてくれる。やきもきしながら焼く鬱陶しさよ。
そんなにめんどくさくても、私は自分で作ったハンバーグが食べたい。
しかも息子たちも夫も、私が作るハンバーグが大好きだ。うまいうまいと食べてくれる。だから私は、どれだけめんどくさくてもハンバーグを作るのだ。これは、愛だ。間違いなく、愛。
しかし、私は私自身も愛でたい。
ストレスを感じながら料理をしたくない。そんなわがままでめんどくさがりな私がたどり着いたハンバーグの調理法はこれだ。
ハンバーーーーーーーーーーーーーグ!
放置プレイで完全に焼き上がったハンバーグを、私はトンっとダイニングテーブルの上に置いた。
「ごはんできたよ〜!」
家中に響き渡る声で、家族全員に声をかける。
ハンバーグは出来立てがうまい。早く食べてほしい。そんな思いをはっきりと口に出しながら、さっさと食べに来いよと声をかけた。
「ハンバーグ? やったー!」
とテンションが上がる息子たち。
手作りのソースをたっぷりとかける。箸でハンバーグを切ると中からは、とろりとチーズが溢れてくる。肉汁の海に浮かんでいるチーズ入りのハンバーグを口に運んだ瞬間、「うまっ!」の声。
私は思わずにんまりと笑った。
「おいしいやろ〜? おかんのハンバーグ」
「うまい!」
私たちはあっという間にハンバーグを平らげた。
ハンバーグとは、みんなを笑顔にする食べ物である。
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