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まえがき(17)

 職場であるデイサービスでは独自の認知症対応を行っており、TV取材や雑誌の取材がくることもあった。
 対応法としてはフランスのユマニチュードと似た部分があった。とにかく穏やかに傾聴して受け入れる。その部分は共通していた。
 私はその職場で働けることを誇りに思っていた。
 デイサービスは普段、穏やかで楽しそうな雰囲気を醸し出していた。スタッフの努力の成果だった。私も必死でついて行こうとしたが心は徐々に疲弊していた。例えれば訳のわからないクレームや暴言ばかりを言われるサービス業で働いているのと同じだった。
 一日中、狭い空間で転倒リスクや異食リスク、盗み癖、物盗られ妄想のある利用者様を見守りながら、飽きさせないように音楽や映像を変えたり、塗り絵や手作業を常に用意するのは大変だった。
 辞めたかったが三年働くと介護福祉士試験の受験資格が得られるのでなんとかしがみついた。

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