壬生乃サル MiBU NO SARU

漫画読んだり、ラクガキしたり、短いお話を書く事が好きなオッサン。ショートショートガーデ…

壬生乃サル MiBU NO SARU

漫画読んだり、ラクガキしたり、短いお話を書く事が好きなオッサン。ショートショートガーデン(400字)や54字の物語を細々と。そるとばたあ@ことばの遊び人( https://note.com/wondermaker54 )ファン。

最近の記事

ネコクインテット【毎週ショートショートnote】※1日遅れ

 都内某所でスーパー戦隊シリーズ「弦楽戦隊ネコクインテット(仮)」の5人目を決める最終オーディションが行われていた。 「では自己アピールをお願いします」 「私は自然環境保全について、高い関心と意識を持っています!」 「エコ!」 「僕は弱い力で重たいものを動かす、そういう役割を担いたいです」 「テコ!」 「わしゃこう見えて一滴も呑めないんじゃ。迷惑だけはかけんぞ!」 「ゲコ!」 「わたしの三日月は単なる柄じゃないの。第三の眼というやつよ!」 「デコ!」 「ニャー」 「ネコ!」

    • 2次会デミグラスソース【ショートショートnote】

       宇宙ハンバーグ会。各星から選ばれし代表者が集っていた。 「オリーブオイル湯の準備ができました」  料理人として呼ばれていた地球人の宣言にハンバーグ星人がほくそ笑む。 「2次会参加者だけ入れ」  入ったのは玉葱星人、人参星人、セロリ星人。ブイヨンキューブを噛りながら、赤ワインを嗜む。 「最高だ」 「少し熱いね」 「水を足そう」  3人の表情はとろりとしている。 「やはりデキあがるのは2次会よな。今宵の2次会は我が船で行う」  料理人である地球人を含めた5人がハンバーグ星人の宇

      • 逆さ富士七転八倒【毎週ショートショートnote】

         日本一美しい逆さ富士が拝めるという地で、僕は立ち尽くしていた。逆さ富士が見えない。 「なんで?」 「くっくっく」  背後から薄気味悪い笑い声。振り返ると仙人のような老人が立っていた。 「そう簡単に拝めるわけなかろう。自ら切り拓くのじゃ」  早朝からここまで来てそそくさと帰る選択肢はない。意地でも逆さ富士を拝んでやる。  夜が明けようとしていた。丸一日這いずり回った僕は全身傷だらけになっていた。  獣に襲われ、空腹を満たすため食した木の実で腹を壊し、方角を見失い不安に押し潰

        • 宝くじ魔法学校【毎週ショートショートnote】

           卒業すれば【魔法使い】としての地位と名声が得られるロッタリー魔法学校。年齢制限、入学試験なし、入学金は300円。老若男女幅広い世代から絶大なる人気を博している学校だ。 『送信済みの入学認証QRコードを表示のうえ、端末を宙におかざし下さい』  本日は入学式。指定された場所は、あたり一面なにもなかった。  私はどこからともなく流れてきた電子音声の言う通り、スマホをかざす。 『認証完了。ゲートが開かれます。あなたのIDは端末に送信しました』  目の前の空間が歪み、不思議な

        ネコクインテット【毎週ショートショートnote】※1日遅れ

          株式会社のおと

           会社説明会にて学生の質問が社長にとんだ。 「前株と後株の違いって何ですか?」 「良い質問だ。ずばり、救急車のサイレンである」 「サイ、レン?」  社長が耳に手をあてて言った。 「ほら、耳をすませて。救急車が来たぞ。音は?」 「ピーポー、ピーポー」 「その救急車が通過していったぞ。音は?」 「ファーホー、ファーホー?」 「うむ。つまり、そういう事だ」  社長は満足げな顔をしている。 「それって、ドップラー効果の話では?」 「周波数の話はしていない。私が言いたいのは初志貫徹の話

          サラダバス【毎週ショートショートnote】

           現場にはダイイング・メッセージが残されていた。ふたりの刑事が解読を試みる。 「字、汚いですね」 「達筆なダイイング・メッセージも嫌だろう」 「そうですか? で、なんと書いて?」 「サ、ラ、ダ、バ、ス……だな」 「サラダバス? なんですかね?」 「マダバ地図、みたいなものじゃないか?」 「マダ……?」 「マダバ地図だ」 「何ですか、それ」 「ググれ」 「カス!」 「誰に言ってんだ!」  そこにもうひとり刑事がやってきた。 「死因はなんらかのガスによるものらしい」 「毒ガ

          サラダバス【毎週ショートショートnote】

          カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】

           街でデイリーヤマザキ怪人が暴れていた。そこに街の平和を守る戦隊ヒーローがやってきた。 「セブンイレブン・レッド!」 「ローソン・ブルー!」 「ファミリーマート・グリーン!」 「ミニストップ・イエロー!」 「セイコーマート・オレンジ!」 『社会インフラ戦隊・コンビニレンジャー!』  デイリーヤマザキ怪人は、怪人役にまわされた恨みを晴らすべく、ネチネチと五人を追い詰めていく。思わぬ苦戦に五人は自己進化形態技を繰り出した。 『ビルドアップ・カラーチェンジ!』 「セブンイレブ

          カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】

          涙鉛筆【毎週ショートショートnote】

           人間は、鉛筆だ。  これはディスイズペンソー師匠の言葉である。師匠は鉛筆教の教祖だ。 「どういう事ですか?」 「君たちは若い。つまり頭が柔らかく、生み出すものは非常に濃い」 「良い事では?」 「それは芯の柔らかさを表している。その柔らかさは時にブレる。つまり未熟という事だ」  師匠が手でくるっくる回していた鉛筆を握り直すと、私たちに先端を向けた。 「良いか? 濃さ、というものは時に線を誤魔化す。そして時に汚してしまうものだ。芯は強くあれ。それが洗練されたものを生み出

          涙鉛筆【毎週ショートショートnote】

          ショートショート王様【毎週ショートショートnote】

           ここはショートショート王国。ショートショートで溢れた国だ。そんなショートショート王国がショートショートに侵された。ショートショートウイルスによるショートショート症である。  ショートショート症で面倒臭いのは、もともとショートだったものだ。ショートケーキはショートショートショートケーキに、ショートヘアはショートショートショートヘアになる。 「ふん、まだショートショートショートなど可愛いわ」  ショートショート王国の王様はショートショート症最大の被害者である。 「ショート

          ショートショート王様【毎週ショートショートnote】

          動かないボーナス【毎週ショートショートnote】

           某所で四者会談が行われていた。 「ボーナスありは一位だけだ」 「どうも」 「二位じゃダメなんすか!」 「一位は不動ですもんねぇ」 「それなりの理由があるのだよ」 「まぁね」 「頭四角いじゃないすか!」 「でも柔らかいんですよねぇ」 「この界隈は世知辛いからな」 「ヒーヒーね」 「二位じゃダメなんすか!」 「不動の二位ですもんねぇ。でも、それはそれで凄い事では?」 「確かに」 「安定していますよね」 「二位じゃダメなんすか!」 「しかも頻繁に『ぼけなす!』『おたんこなす!』

          動かないボーナス【毎週ショートショートnote】

          寛大協会

           パソコンがフリーズしてイライラしていると、肩を叩かれた。振り返るとオッサンがいた。 「ちいさな事でプリプリ怒りなさんな」 「誰だ?」 「わたくし寛大協会会長、出海心(でかいこころ)です」  胡散臭さ満点だ。 「宗教の勧誘ならお断りだよ」 「そういうところです」オッサンが人差し指をぼくに向けて決め顔を作った。「心の器がちいさい。そこで我が寛大協会のビッグ法です」 「ビッグ法?」 「例えば“粗大”ゴミ。彼らはただ捨てられたわけではありません。それはそれは“壮大”な冒険の末、行き

          シャイキューブ

          「1、2、3、4、5、6。このマスは『詐欺に成功、億万長者。対戦相手は借金地獄』だ! ダイス鬼(き)、大好きだぜ!」  これはリアル双六バトル。マス目に書かれている内容が現実となるゲームだ。  ルールは簡単。サイコロ型AIロボ・サイコロイドを操り、双六を行う。サイコロイドとの親愛度が高いほど、狙い通りの賽の目を出し、有利に進む事が可能だ。  対戦相手のサイコロイド・ダイス鬼は巧みに賽の目を操り、着実にゴールへ向かっていた。かなり愛を注がれているらしい。  一方、僕のサイコロイ

          サルのイラスト【2021年1月】

           1月に描いたイラストまとめ。 その① 謹賀新年 (SASASA POP) その② A HAPPY NEW YEAR (ベリちゃん) その③ ことのは もも その④ モーさささ その⑤ たけながーでぃあん (New ver.) その⑥ マーさささン (2021 ver.) その⑦ はくさささ  インスタでイラスト置場アカウント作りました。https://www.instagram.com/saru_32rine/

          サルのイラスト【2021年1月】

          サルのショートショート3【とある機長の航空日誌】

           今にも潰れそうな古本屋で、古びた一冊のノートを見つけた。  表紙には「機長の航空日誌」と丁寧な文字で書かれている。パイロットを夢見ていた時期のある僕はワクワクしながら、そのノートを開いた。  4月10日「始動の日」  はじめまして、機長です。本日、初フライトであります。緊張しますね。このノートには私の飛行記録を記帳していこうと思います。それでは宜しくお願いします。  7月16日「七色の輝き」  こんにちは、機長です。本日は離陸前に虹を見る事が出来きました。素晴らしい、の

          サルのショートショート3【とある機長の航空日誌】

          サルのショートショート2【イカの宅配便】

           玄関のチャイムがなった。  ちょうど外出しようとしていたところで、玄関にいた僕は何の確認もせずにドアを開けた。 「宅急便でーす」  目の前には真っ白で、いかつい姿をした異形の者が立っていた。頭は尖っている。荷物を持っている触手的なものが複数本、ウネウネしていた。 「う、宇宙人?」 「宇宙人とは失礼ですね」人間の言葉を巧みに操り、その者は言った。 「私はイカです。それ以上でも以下でもございません」  なんだ、イカか。確かに触手的なものが十本あるな。いやいや、まてまて! イカが

          サルのショートショート2【イカの宅配便】

          サルのエッセイ4【SUPER BLUE BLOOD MOON】

           スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン。  漫画やアニメ、ゲームキャラクターの必殺技ではない。れっきとした天体現象である。  しかもただの天体現象ではない。スーパームーン、ブルームーン、ブラッドムーン、月に関する三つの珍しい現象が同時に起きる珍しい天体現象なのだ。  この際、必殺技でも良いかもしれない。 「くらえ! 天体必殺・スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン!」  すみません。脱線しました。  さて、もう少しスーパー・ブルース・ブラッド・ムーンについて詳しく説明しよう。

          サルのエッセイ4【SUPER BLUE BLOOD MOON】