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ミルクジャムも「蘇」と同様、作り方によって色が変わる

ここまでひたすら、加熱条件によって「蘇」の仕上がりが変わるという話をしてきましたが、ミルクジャムも同じではないか?と思いミルクジャムの作り比べをしてみました。

ミルクジャムの作り方

まずは基本的なミルクジャムのレシピについて。

材料
牛乳 200ml
生クリーム 50ml
砂糖 60g

材料を小鍋に入れて火にかけ、とろみがつくまで煮詰めるだけ。

冷めるととろみが増すため、火にかけた状態でストップのタイミングをはかるのが難しいのですが、冷凍庫でキンキンに冷やした小皿に少量垂らし、冷えた状態のとろみを確認して火を止めるのがわかりやすいと思います。

上記の分量で容量200mlのジャム瓶に6割程度の量なので、ジャム瓶いっぱいに作る場合は倍量にしても良いと思います。

メイラード反応についてのおさらい

メイラード反応を考慮した「蘇」の作り方と加熱条件による味わいの違い」や「平安時代の「蘇」の作り方に関する比較実験」でも触れましたが、牛乳を加熱すると牛乳中に含まれる乳糖とタンパク質とが反応し、褐色に色づいたり独特の風味がついたりする「メイラード反応」という現象がみられます。

蘇を作る過程でもこのメイラード反応が起きることで、焼き菓子のような風味と色合いが付与された蘇が出来上がるのですが、同じことがミルクジャムでも起こっているのではないかと考えました。

今回の比較内容

平安時代の「蘇」の作り方に関する比較実験」から

・ふつふつとする程度の火加減で加熱するとメイラード反応がよく進む。ふつふつとしない程度のごく弱い火加減でじっくり加熱すると、メイラード反応が進まず、白っぽい仕上がりになる。
・同じ火加減であれば、材料を増やすなどして煮詰めるのにかかる時間が長くなるほどメイラード反応がよく進み、色や風味の濃い仕上がりになる

ということが分かっていました。
今回はこれを応用して、以下の3パターンで比較を行ってみました。

①沸騰させないようにとろ火〜弱火で煮詰めたミルクジャム(所要時間:3時間20分)
②ふつふつとした火加減で煮詰めたミルクジャム(所要時間:1時間)
③②と同じ火加減で倍の量を煮詰めたミルクジャム(所要時間:2時間)

使用した器具はいずれもIHヒーターと直径14cmのミルクパンです。

結果

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右から①②③です。

①はほとんどメイラード反応せず、白っぽい見た目に仕上がりました。食べてみると練乳のような味。ミルクの優しい風味で、イチゴにつけて食べるととてもおいしいです。

②はメイラード反応をしてミルクティー程度の色合いに色づきました。③はさらにメイラード反応が進み、生キャラメルくらいの色合い。味わいも生キャラメルに似ていて、③の方がより風味が強く仕上がっています。こちらはトーストに塗って食べるのがおすすめです。

蘇と同様に、ふつふつとする程度の火加減で加熱した方がメイラード反応がよく進み、同じ火加減でも、量が増えて加熱時間が伸びるとその分しっかりとメイラード反応が進むことが確認できました。

蘇よりも短い時間でできるので、蘇を作るのはちょっと面倒だけど興味はある…という人におすすめです。ぜひお試しくださいませ〜


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