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オーストラリアで学んだIELTS勉強法

イギリスやオーストラリアでは、英語力の証明としてIELTSという試験が設けられています。日本ではTOEFLやTOEIC、英検などの方が有名ですが、イギリスや旧イギリス領で留学するならIELTSを求められることがあります。IELTSの試験はGeneralとAcademicに分かれていますが、進学などには大抵Academicの方が求められますので、間違わないようにしましょう。

IELTSには他の英語の試験と同じようにSpeaking, Reading, Writing, Listeningの4つの項目があります。オーストラリアの語学学校で学んだ対策方法をご紹介します。もちろん、当然のごとく英語力はスコアに影響を与えますが、ここではそれ以外の部分、「IELTS特有の対策」にフォーカスしています。英語力の上げ方については、以前書いたこちらの記事を参照してください。

Reading

1時間で、900wordsくらいの文章を三つ読んで問題に答えます。大問一つにつき二十分しかかけられませんから、速読が求められます。同じくらいの長さの文章を時間を決めて一気に読んで、細かいことはわからなくても段落ごとの概要を掴む練習をしてください。

この時英文の構造を理解していると役に立ちます。英文の構造について、詳しくはこの記事を参照してください。Sign postingの語句に意識的になったり、段落構造、トピックセンテンスの大まかな位置を把握していると、どこに時間をかけて読めばいいかが分かってきます。ものすごくざっくりいうと、最初の段落、間の段落の第一文目(と最終文)、最後の段落を時間をかけて読み、そのほかを流し読みにするといった形です。

もうひとつのコツは、まず問題文を読んで、どんなことに注目して文章を読まなければならないか理解してから読み始めると随分効率が良かったです。問題文から大体の本文の内容を推測してから読み始めると、興味も湧いていいように思います。

Writing

第一問はグラフを読み解いて説明するというもの、第二問は与えられたトピックに対して簡単な小論形式の文章をかくという形式です。第一問は150-180 words, 第二問は250-300 wordsです。語数は自分で数えなければならないので、ノートに英文を急いで書いていった時に1行何wordsくらいはいるのかを数え、自分の字の大きさでだいたい何行から何行の間におさめる必要が あるのかを知っておくと時短になります。また、1文が長くなりすぎないように気を付けて、何文の段落を幾つ書くことになるかも考えてみてください。

第一問も第二問も、英文の構造を知っておくことが最低限必要です。ざっくり言うと、第一段落で問題文をまとめ、間の段落で1段落1トピックで議論を展開し、最終段落で結論をまとめるという形です。そして、各段落の頭や例を挙げる前などはSign postingを忘れないようにします。(Sign postingのための言い回しを覚えましょう。)各段落の長さはだいたい揃えるようにしましょう。

第一問で気をつけることは、体系的に全ての情報を漏れ無く説明することです。文章だけを読んだ人が、元のグラフがどんなものだったかをおおまかに再現できることを目指しましょう。段落をうまく使って、グラフの違った側面を段落ごとに説明します。

すぐできる対策としては、グラフを説明するための語句を知っておくことです。たとえば、increase, decrease, plateauなどの動詞は線グラフなどの説明に役立ちます。何度も同じ単語を使うのは良くないので、言い換えのレパートリーもなるべく増やします(level off=plateau など)。あとは受動態や能動態を駆使してなるべく同じような言い回しになってしまわないように気を付けます。

また、副詞もとても重要です。例えば、increaseにしてもゆっくりなのか、急になのかは最低限言えるようにしましょう。これも同義語を覚えていればいるほど有利です。いろいろなタイプのグラフが出てくるので、それぞれのグラフを説明するのに便利な語句を知るためにも試験前に最低1パターンずつ実際にといてみるようにしましょう。当然のことながら、異なるグラフがなんと呼ばれるグラフなのかというのも知っておく必要があります。

第二問についてはこちらの記事でより詳しく書いたので読んでみてください。AとBのどちらが良いか論じなさい、というような二項対立がテーマに与えられた場合は、どちらの意見も考察したうえで自分の意見を書くようにします。こちらも第一問と同様、Sign postingの為の語句の他に、小論を書く上で役に立つ動詞や構文があるので、試験対策の際は解答例などを見て使い回せそうな言い回しをストックしておくと良いです。

Speaking

自分語りを求められます。英語圏の人でも、自分語りが得意でなく全く喋らないと、加点できずに低い点になってしまう試験です。具体的には、特定のトピックについて2分間一人で喋り続けなければならなかったりします。

speakingに関してはとてもいい記事を見つけました。ここに大体私が書きたかったことは書いてあるので、読んでみてください。特に、嘘でもいいから話を作り上げること、一見関係のなさそうなトピックでも自分の得意なトピックに結びつけて話すことはその通りです。

私はもともと自分語りが得意でないので、なかなか話をひねり出すのに苦労しました。その中で役に立ったのが、試験の数時間だけ意識的に別人格を作り出すことでした。真面目に「私について話さなきゃ」と考えると言葉に詰まったり、自分の意見に反することが言いづらくなったり、ひいては試験官の意見を気にして顔色を伺ってしまったりします。でも、仮に自分の意見でなくても、英語の試験としては他に何も思いつかなければ言った方が言い訳です。「すごく外向的でおしゃべりな人」が「エンターテイナー」として話している演技をすることで、嘘をつく・自分の感覚と違うことを話すことへの背徳感も薄れますし、試験時間中の違和感がましになった気がしました。

それから、スピーキングの一番の準備になったのが、「英語で話せる友人に自分のことを話すこと」でした。正直、自分のことを聞かれても、自分の中で人に話せるほどまとまっていなかったりすると何から話していいやらわからなかったりします。例えば、仕事のことを聞かれたとして、自分が過去にやってきたこと、それがどう仕事に繋がって、どう言ったところにやりがいを見出しているかというようなストーリーは、他人に話せる程度にわかりやすく纏まるまでに意外と推敲が必要です。

その対策として、オンライン英会話などで、あまり自分のことを知らない人に一定時間自分についてトピック別に喋り続ける練習などをするのは効果的だと思います。2、3回も同じ話を繰り返すと話の要点、行動に対するわかりやすい動機の説明、時間をかけて膨らませるべき場所、飛ばしてもいい場所、面白い箇所などがわかってくるので、話をスムーズに運ぶことができるようになります。プレゼンが上手くなる一番の練習は実際にプレゼンをしてみること、と言った要領です。

Listening

スペルミスに気をつける、解答は全て埋める、リスニング音声が始まるまでの間になるべく問題文を読む、など細かいことはありますが(この記事によくまとめられています)、とにかくリスニング能力が露骨に反映される試験だと思います。リスニング強化にはとにかく何度もたくさん聞いてシャドーイングして慣れることしかありません。また、毎日違うものというよりは、「同じものを何度も繰り返し、時にスクリプトを読み、完璧に音で理解できるようになるまで」というのが個人的にはより効果がありました。受験時代はアルクから出ているキムタツ先生の東大英語シリーズの考え方がしっくりきたのを覚えています。英語の勉強法についてはこちらをどうぞ。

一番重要なのは、わからなかった問題や箇所を「聞き飛ばせる」能力です。聞き取れないことは絶対にあるので、それをいかにポジティブに流して次に集中できるかというところに全てがかかっています。精神論じゃないですが、IELTSのlisteningは特に1回しか流れないからこそ「ポジティブでいること」が、最終的な点を(実力の次に)大きく左右します。



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