ひろし博士で、与太エッセイ。

友達にとっても頭が良くて、たとえば、小学校で野球をしていて、ファールかどうか怪しい打球を審議する際、「オレの身長が152センチくらいで、フェアゾーンから打球が飛んだところが、ここだから。ファール」などと、校庭に這いつくばって、砂まみれで人間ものさししてくれるほど、頭が良い奴がいた。

またある中学生だった日、咳に見せかけた「おっぱい」という発音で、他クラス中の笑い、もとい、迷惑をこうむり、「授業中笑ってはいけない」という我が学年に伝わる鉄の掟と、スレスレの日々を過ごした。

今思えば、「咳風おっぱい」など、コンマ1ミリも面白かないのに、皆がキラキラ、時に殺伐と、笑いに向き合った。

そういうコトの始まりは、決まって「人間ものさしのヒロシ君」であり、やはり頭はいいので、テストでは学年で1、2を争う奴だったし、そういう頭がいい奴が、大変迷惑なことをしたところで、先生らに疾風怒濤で怒られるのは、あまり頭がよろしくない私達であった。

ヒロシ君は頭が良くて、山梨から少し離れた大学で、日夜研究所に籠もっているらしい。後に博士にでもなるのだろうか。

そんなヒロシ君が博士などになったら大騒ぎではあるまいか。

名前がヒロシで肩書きが博士であるなら、もうもはや「ヒロシヒロシ」ですけどなにか?なんていうコンビ名に成り果てる。

安易に博士などと使い勝手の良い肩書きをこしらえたがために、「ヒロシと名づけるなら文系に育てなさい」と条例などが下されている地域もあるとかないとか。

使いやすくて、言い易い肩書きではなく、高貴で雅な「デザイナー」だとか、「webライター」だとか、「クリエイター」「モスコミュール」「エスキモー」などがよろしいとされる肩書きではあるまいか。

博士は、ヒロシではあるまいか。

博士がコンビニでバイトしてるよ。何てことにもならなくてすむのだ。

なにかイイ言い方、日本的な別の博士を、私は探したい。

ここは1つ、開き直って、人間ものさしなどが良いのではないか。

助手のナントカちゃんは、「ヒロシ人間ものさし」と、呼べばいいのだ。時に「ヒさし」と。

安易な肩書きに踊らされてはならん。ということが、このヒロシ博士から、窺える。

私の友人、ヒロシ君はさて本当に博士になるのか、砂まみれで野球した日々が懐かしくてたまらない。まだ5月よ、去らないでおくれ。

季節が、ズンズンと、私を追い越してゆく。

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