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人の数だけ旅立ちの場面がある・・・二つの棺が並んだ葬儀

「納棺師」を目指して就業中です(なぜ?は、以前のnoteをご参照ください)。
頭で覚えるよりも体で覚えることが多いこの仕事。故人さんの移動などで、腰がだいぶやられてきました。しかし、右も左も分からず、年下の先輩方からのダメ出しに挫けそうになった日々を乗り越え、動けるようになってきたことで「続けよう!」と前向きです。

そんな修行の現場は、あちらこちらの葬儀場(たまに自宅も)。
納棺時に立ち合われる家族、立ち合われない家族、いろいろな場合がありますが、まずは喪主さんにご挨拶・・・のはずが、先日は葬儀場の担当者から「喪主さんが変わられて・・・」と。
ん?喪主さんが変わる?どうして?

話を聞いてみると、新しい喪主さんは50代男性。一昨日、お母さんが亡くなり、つれあいであるお父さんが喪主を務めながら準備をして通夜を迎えたのですが、その間際にお父さんが倒れて救急搬送。通夜はストップ。救急搬送されたお父さんは明け方に亡くなられ、息子さんが新しい喪主となって、二人一緒に通夜・告別式を行うことに。出たり入ったり忙しい喪主さんはじめ、ご家族もお疲れ気味です。
 
故人さんの洗体前に行う「逆さ水※」の儀式では、たいていのご家族が「これでいいの?」と一人ずつ確かめながら、そろろそ~っと水をかけていきますが、今回のご家族は昨日経験済み。つつがなく進行するものの、心は悲しみ2倍、カラダの疲れも2倍、といったところでしょうか。
 
お母さんがお気に入りの着物で棺に入っている(お母さんの納棺は別の業者さん)とのことで、お父さんも自前の着物で。一緒に旅立つためにとバタバタの中で準備されたご家族の気持ちでした。
 
2つの棺を前にしての葬儀は、なんともレアケース。お母さんがお父さんを呼んじゃったのかな。一人で逝くのは寂しかったのかな、なんて。人はいつか亡くなり、人の数だけ様々な死の場面がありますが、きれいにして送り出すお手伝いは、故人さんのためというのはもちろんですが、きちんとさよならできるよう、ご家族のためでもある部分が大きいもの。
腰は痛いけれど(!)、あらためていい仕事だなぁ~と思った次第です。
 
まだまだ修行は続きます(続けます)!
 
※葬儀は死を非日常とするため、日常とは逆の方法を用いる「逆さごと」が取り入れられます。「逆さ水」もその一つで、「水に湯を足して」つくったぬるま湯を故人さんのの足元から胸元へと柄杓でかけていくお清めの儀式です。


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