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アイノとアルヴァ 二人のアアルト展

久しぶりの日曜日の休日。
今にも雨が降り出しそうな花曇りの午後、NHK日曜美術館で紹介されていた『アイノとアルヴァ 二人のアアルト』展に出かけました。
北欧インテリアを語る上で、絶対に外すことのできないフィンランドの建築家、都市計画家、デザイナーのアルヴァ・アアルト。
彼がデザインした家具や照明器具は、インテリアブランド「Artek(アルテック)」で今も販売されています。

企画展は、世田谷美術館で3月20日から6月20日までの開催です。
東京都世田谷区にある新緑の美しい砧公園の中に位置する美術館。
ひっそりとその存在を主張することなく、緑の中に佇む様は、今回企画展でも紹介されていたアアルト夫妻の自宅や彼らの思想に寄り添い、素晴らしい企画だと感じました。

勉強不足を露呈するようですが、私自身が妻であるアイノ・アアルトの存在を知ったのは、つい最近のことでした。
NHK Eテレで放送された名作照明ドラマ「ハルカの光」第一話で取り上げられた照明器具が、アアルトがデザインした「ゴールデンベル」でした。

ゴールデンベルが、アルヴァ・アアルトと妻アイノの共同制作であることを知ったのは、ドラマ「ハルカの光」で主人公ハルカが、この照明に目を止めた寿司屋の大将に説明をする場面でした。

ドラマの真の主人公だった「ゴールデンベル」、今回会場ではコードの長さを変え、飾り台の上に3灯設置されていました。シンプルなデザインですが、光が丸く、優しく、グレア(まぶしさ)カットされている機能性にも優れたペンダントライトです。

寿司屋のカウンター、その真上に付いていたダウンライトの1つが切れたため、店全体が暗くて仕方ないとこぼしていた大将。
電球を求めにやってきた大将にハルカはこのゴールデンベルを勧めます。
寿司屋の白木カウンターの上に?と。
私も大将の気持ちをトレースしてしまいました。

寿司屋のカウンターに吊るされたゴールデンベル。そのペンダントから落ちる柔らかい光を手のひらに受けながら微笑む大将。光も温もりも照明器具ではなく、一緒にお店を切り盛りしていた奥様が放っていたものだったことに気付きます。
もう二度と見ることのできないあたたかみに満ちた風景。

電球を交換しただけでは、決して受け取ることの出来なかった豊かな光と奥様への深い想いが心に染み入るドラマでした。

アルヴァ・アアルトを公私両面から支え続けたアイノ・アアルト。
決して表舞台に出ることなく、地味な存在だったと説明されていました。
華やかで20世紀を代表する世界的建築家の夫。彼を寡黙に支え続けた妻もまた、豊かな才能に満ち溢れた女性でした。そんな彼女も、病のため夫を残して旅立ってしまいます。

ビーハイブペンダント
スリットから漏れる光が印象に残ります。

今回、美術館で受け止めたものは、
感性を刺激する華やかなものではなく、静かな心の揺れでした。
私もいつか夫の手のひらに丸く、優しい光を落とせる存在になりたいと思いました。


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Sarah(さら)。 大学卒業後、大手住宅メーカーに入社。 インテリアコーディネーター職に従事。 基本理念は、『住空間を通して人を幸せにする』。インテリアはセオリーを理解することで、プロレベルの成果を得ることができます。「センス」を手に入れる「セオリー」の積み重ね方を紹介します。