「好きなことを仕事にしたい人へ贈る ”一歩”を踏み出す思考法」【ippo② moo_mooさん】
一歩を踏み出したいけどなかなか前に進めない。
そんな、悩めるビジネスパーソンの背中を押すために、既に一歩を踏み出した先輩からのヒントをお届けする『ippo』編集長の増田です。
今回は、「好きなことを仕事にする」というテーマで、現在Webサービスを展開する事業会社で企画・制作業務をされているmoo_mooさんにお話を伺ってきました。
※moo_mooさんとのWeb面談
やりたい事を求めて転職した先で、思っていた仕事ができなかった等、紆余曲折もありながら目標に向かって進むmoo_mooさんの話からは、たくさんのヒントを頂きました。
「今の会社にこのまま残ることに疑問を感じる」
「好きなことを仕事にしたいけど、キャリアは失敗したくない」
「自分の好きなことが何か分からない」
そんな思いを抱える人にとっては、「一歩」を踏み出すヒントが満載です!
まずは、自己紹介!
Q. まずは簡単な自己紹介と、どんなお仕事をされているのかを教えてください。
moo_mooと申します。
今は、Webサービスを展開する事業会社で事業開発部に所属していて、企画・戦略・制作を一気通貫して担当しています。
もう少し具体的にお話すると、「企画」でWebサービスの内容を一から考えて、「戦略」でお客さんにサービスをどう広めるかを考えて、必要になったものを「制作」で作るという流れです。
事業開発部と名前がついているくらいなので、社内で新しい試みをすることが多く、スピード感を持って仕事をしています。
業務上、他事業のやりとりをすることもあるので、退屈することはありませんね(笑)
どうしても、「モノづくり」を仕事にしたかった
Q. それは楽しそうですね(笑)今のお仕事は、ずっとされているんですか?
いえ、以前は全く違う仕事をしていました。
大手食品会社に勤めていて、製造を3年、製造物の品質保証を1年ほどやっていました。
Q. そうなんですね。かなり畑違いな仕事ですが、転職の「一歩」を踏み出したきっかけは何だったのでしょうか?
正直、前の仕事に不満は無かったです。
元々モノを作ることは好きだったので製造は楽しかったですし、品質保証もたくさんの方と折衝して最終決定をくだすやりがいのある仕事でした。
ただ、日々の業務を行う中で「自分が直接作り出したモノが誰かの役に立つ仕事をしたい」という思いが強くなっていき、転職を考え始めました。
小さい頃から工作や技術の時間など、”手を動かすこと”が好きだったんです。
業界選びも迷いましたが、最終的には①手に職をつけたい、②業界の枠を飛び越えてできる仕事がしたい、③試行錯誤を繰り返す仕事がしたい、という3つの判断軸で「Web業界」を選択しました。
Q. 自分が好きな「モノづくり」を軸に考えていったわけですね。ちなみに、3つ目の「試行錯誤を繰り返す仕事」という基準はちょっと気になりました。
これは、前職の経験が影響しています。
多くの場合は、過去の事例や物理化学の原理原則に則って品質保証の判断をするのですが、私はそれに加えて毎日のようにラボで試作をしていました。
実際に製造現場で行われていることを小さいスケールで試すことで、再現性の確認や製品の違いを確かめていました。
すると自分の中にデータが貯まっていくので、いざという時にも、試作の結果も考慮して多角的な判断ができるようになりました。
このような試行錯誤を繰り返すことが好きだったので、Web業界特有の仮説・検証を高速で回していく文化にも惹かれましたね。
努力は好きに比例する!?科学的な”好き”の見つけ方
Q. 試行錯誤することも、昔から好きだったんですか?
これに関しては、前職の環境が影響しています。
そもそも、品質保証は急な仕事が舞い込むことも多く書類にも追われる仕事だったので、自ら進んで実験をしようという人は、ほとんどいなかったです。
ただ、その時の上司が研究畑の出身ということもあり、声を上げれば「いいよ!やってみなよ」と言ってくれる人でした。
当時は同部署に3人しかいなかったこともあり、とにかくやれる事は何でもやるという意識も強かったですね。
それから、品質保証は敬遠されがちな部署だったことも関係しています。
トラブルが起こると製造との間に入るので、どうしても悪い印象を持たれがちなんです。
だからこそ、何もない日でもコミュニケーションを取りに行くことを意識していました。
そこで会話をする口実として、試作に必要なサンプルを貰いに行っていたんです。
作った試作品を製造の人に見せに行くと驚いてくれることもあって、ちょっとした成功体験を得ていた感じですね。
科学的にも証明されている「努力」と「好き」の関係性
ちなみに、2015年にミシガン州立大学が行った「好きなことを仕事にする者は本当に幸せか?」というテーマの大規模調査が、私の体験談ともリンクしているので紹介します。
この調査では、「好きなことを仕事にするのが幸せだ」と考えるタイプよりも、「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考えるタイプの方が幸せを感じやすいという結果が出ました。
私の場合はまさしく、仕事を続けていくうちに好きになっていったパターンなのですが、実は科学的にも「情熱は努力の量に比例する」ことが証明されているようです。
大企業から中小企業への転職に葛藤は?周囲の反対は?
Q. 夢のある話ですね。ちなみに、大企業から中小企業に転職するにあたって葛藤はなかったですか?
よく聞かれる質問なのですが、葛藤は全くありませんでした。
正直、当時は「どこに行っても大丈夫だろう」と調子に乗っていましたね(笑)
元々いた会社では新卒ということもあって大切にされていましたし、周りも仕事ができる人が多かったので助けてもらっている感覚はありましたが、「まぁ、できるだろう」と思っていました。
給料面に関しては未経験で新しい業界へのチャレンジでもあったので、やりたい事ができるということで特に気にならなかったです。
年齢的にも、その時は26歳でまだ若かったということもありますね。
当時つき合っていた彼女(今の奥さん)や両親に対しても、日ごろからコミュニケーションを取っていたので、特に止められることはなかったです。
ただし、根回しは大切だと思います。
いきなり転職するとか言い出したら、誰だってビックリしますから(笑)
「もしかして、転職しくじった!?」と思ったけど
Q. 日ごろのコミュニケーションは大切ですよね。実際、新しい「一歩」を踏み出してみていかがでしたか?
ぶっちゃけ、大変でした・・・(笑)
まず、中途で入ると何も教えてくれないんですね。
新卒の時みたいな研修はなかったので、業界特有の一般常識や作法的なものは先輩を見ながら学ばなければいけませんでした。
それから、自分で仕事を見つけなければいけないのも大変でした。
というのも、前職は黙っていても仕事が舞い込んできたので、自ら仕事を作り出す必要がなかったからです。
「何したらいいの?」と悩む日もありましたし、「何かヒマだな~」という日もありましたね。
そんな状況の中で、ふと「あれ?そもそも何でこの会社に入ったんだっけ?」と考える機会がありました。
そしたら、当初やりたいと思っていた「モノづくり」が、全くできていないことに気づいたんです。
入社前に企画課への配属が決まっていたので、てっきり制作するチャンスもあると思っていたのですが、実際には皆無でしたね。
Q. えぇ!?あんなに「モノづくり」がやりたかったのにですか?
「やべっ!しくじった!?」と思いましたね(笑)
※照れくさそうな、moo_mooさん
ただ、「見方を変えれば、全体を俯瞰して見れる立場だな」と切り替えることにしました。
そして日々の業務の中で、何とか自分がやりたい「モノづくり」ができないかを考えていったんです。
例えば、今まで外注していた広告用のバナーを自ら作って提案したり、ブログのサムネを作ってみたりと、意識的に自分がやりたい仕事を増やしていきました。
少しでも「モノづくり」ができそうなチャンスがあれば、「できます!」と飛び込んでましたね。
時間はかかりましたが、「こういうことだったら、次からはmoo_mooさんに頼もう」みたいに徐々に信用が積み重なっていった気がします。
任せてもらえる範囲もジワジワ広がって、今ではサイトのコーディングまでやらせて貰えるようになりました。
Q. まさに、自らチャンスを掴みとった感じですね!
そうですね。
一般的には、デザイン会社や制作会社に入って、作り手として技術を磨いていくのが王道のキャリアかとは思います。
ただ、一見遠回りしているように思える自分のやり方も、振り返ってみると近道なんじゃないかなと思います。
というのも、いくらキレイなものを作れたとしても、会社として望む効果が出せないのであれば意味のない制作物になってしまうからです。
結局、ただ作るだけじゃダメなんですよね。
自分は企画自体を作ったり、作ったものを分析するところから入っているので、その点に関しては他のクリエイターさんには負けない気がします。
やってみないと、好きかどうかも分からない
Q. 物事は捉え方次第とも言えますね。moo_mooさんの前向きな姿勢はすごく参考になります。
ありがとうございます。
ちなみに、今は副業でロゴ作成やWebサイト制作のお手伝いもしています。
どうしても本業だけだとやれる領域が偏るので、副業をしながら力をつけてる感覚ですね。
自分が作ったものが人の役に立つ瞬間を楽しみながらやっています。
今は本業でやっている事、副業でやっている事がお互いに融合しあって、全てがつながっています。
例えば、副業で映像制作をやり始めた直後に本業で動画を作るチャンスが巡ってきたり、映像制作の時に覚えたモーショングラフィックスの動きをHP制作に活かしたり、今は続けていない仕事でも、後になって役立ったことはたくさんあります。
私の場合は「モノづくり」という軸があったので、そこに当てはまるものは色々なことをやりました。
結果、今も楽しくて続けているものもあれば、途中で止めたものもありますが、その過程の中で同じ「モノづくり」でも向くもの、向かないものがあることに気づけました。
ただ、向かないと思っていたものが後になって役立つこともあるので、やはり何事もやってみないと分からないですね。
大切なのは、自分にとって大切な1本の軸を見つけることです。
moo_moo流『好きなことを仕事にする思考法』
Q. 「好きなことを仕事にする」ということは、多くの方が望みながらも悩むテーマかと思います。ぜひ、これから「一歩」を踏み出そうと悩まれている方に向けて、moo_mooさんご自身の経験から得られた教訓を教えていただけますか?
はい。
私なりに「好きなことを仕事にする思考法」をまとめると、こんな感じでしょうか。
①自分の”好き”を探す
まずは、自分の中で1つ軸を見つけてみてください。
「人と話すのが好き」「絵を描くのが好き」「目立ちたがり」など、自分が好きと思えるものなら何でも良いです。
私の場合は、それが「モノづくり」でした。
ぜひ、自分と向き合ってみてください。
・好きが分からない人へ
中には、「自分は何が好きか分からない」という方もいるかと思います。
そんな時におすすめなのが、子どもの頃に何をしていたか思い出してみることです。
なぜなら、子どもは好きじゃなければやらないからです。
小さい頃に自然とやっていたことは、本能レベルで好きなことだと言えます。
例えば私の場合、小さい頃はよく絵を描いていたそうです。
ただ、描くのは好きでも職業にするほどの情熱は無かったです。
他には、レゴブロックをずっとやっていたと言われました。
たしかに、小中学校の時はレゴにハマっていて、やはり当時から何かを作ることは好きだったようです。
ぜひ、「小さい時、何してた?」と周りの人に聞いてみてください。
②「好きなことは仕事にできない」という思い込みを止める
次に、「好きなことは仕事にできない」という思い込みを止めることです。
そう思っている間は、絶対にできないからです。
もし、好きなことはやりたいけど、どうやって仕事にすれば良いか分からなければ、人に聞くのがおすすめです。
実際、私も前職の同僚に色々と話を聞いていました。
「うちの会社で、こういう事ができる仕事ってありますか?」とか聞いてましたね。
③選択肢を並べてみる
自分で調べたり人に聞いたりして情報を集めたら、いったん選択肢を並べてみてください。
ちなみに、今の職場で好きなことができるなら、無理して転職する必要はありません。
私の場合は同僚に話を聞いてみて、社内ではやりたいことができないと分かったので、転職することにしました。
どれが正解でどれが不正解というのはないので、まずは選択肢を並べてみてください。
④優先順位を決めて、リスク許容範囲の中でトライ
選択肢を並べて優先順位が決まったら、あとはリスク許容範囲の中で挑戦あるのみです。
私もそうでしたが、やはりやってみないと分からないからです。
私の場合は副業で色々なチャレンジをしてみましたが、続くものもあれば、続かないものもたくさんありました。
ただ、結果的には無駄なことは無かったと、今では思います。
続けるのもOK!続けないのもOK!
自分が好きなものは意識しなくても残るものなので、向かないものが分かっただけでも成功です。
Q. ちなみに、moo_mooさんご自身は、次はどんな「一歩」を踏み出しますか?
フロントエンド開発もできるWebデザイナーとして、社内の開発部に異動することを目標にしています。
本格的なコーディングを扱う部署になるので高いレベルは求められますが、チャンスを狙って挑戦していきます。
ゆくゆくは、業界の中でも発信力がある人材を目指していますが、目の前のお客さんを大切に、一歩ずつ進んでいきたいですね。
読者の皆さんへ!「焦らず、一歩ずつ、前に」
Q. ありがとうございます。最後に、読者の皆さんに一言お願いします!
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
新しい挑戦をしようとすると、年齢が理由で焦りを感じる方もいるかと思います。
ただし、大事なことは目の前のお客さんが喜ぶモノを提供できるかどうかだけです。
ですから、焦らずに自分自身の力をつけることに集中することが大切です。
自信がないという方もいるかと思いますが、やってみないと分かりません。
手を動かして技術を習得しようとすると時間がかかるので、「こんなことしてて大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、近道はありません。
今より少しでも前に進んでいたらOKなので、ぜひ焦らずに進んでください。
【編集長のツブヤキ】
今回、moo_mooさんに取材をしてみて感じたのは、自分の心の声にとても素直な方だなということです。
そして、その素直な気持ちをすぐに行動に移せるところが、moo_mooさんの強みであり、結果が出ている要因でもあることが分かりました。
「小さい時、何してた?」
私も、両親に聞いてみよっと♪
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