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間違いだらけの読書備忘録

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「感じる乱読家」を自称するわたしが、読書スタイルを変えて「人生を考えたい」というテーマの元、読書についての考えや読んだ本について書いた記事のまとめです。
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#エッセイ

好きを仕事にしても、幸せになれるとは限らない:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(1)【間違いだらけの読書備忘録(14)】

こんにちは、さらばです。 備忘録4冊目です。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 要約サイトで本書の要約を読み、非常に興味深い内容だったので手に取りました。 本書のターゲットは就職・転職活動をするひと、あるいはキャリアプランに悩むひとだと思いますが、キャリア(≒生き方)に一片の迷いもないひとのほうが珍しいのでは? と考えると、ほとんど全てのひとにとって興味のあるテーマじゃないでしょうか。 わたしも例に漏れず、「趣味:戦略」を標榜し

伝える前に、伝える内容を顧みよ:『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』(2/2)【間違いだらけの読書備忘録(13)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 上念 司『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』 1はこちら。 言葉が通じない相手への対処法本書でわたしが一番面白く読ませていただいたのは、最終第五章"言葉が通じない相手は「距離感」を見極めろ!"です。 世の中にはどんなにテクニックを駆使しても話の通じない人間がいる、というところから、そういうひとへの対処法を書いておられます。 そしてそういうひとの傾向として、このような記載があります。 そうい

伝える前に、伝える内容を顧みよ:『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』(1/2)【間違いだらけの読書備忘録(12)】

こんにちは、さらばです。 備忘録3冊目です。 上念 司『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』 2022年11月初版と、珍しく(?)わりと最近の本です。 著者は経済評論家の上念 司さん。Webでこの方の記事を幾つか読んで面白いと思ったのと、「伝える」ということには並々ならぬ興味があるので、タイトルに惹かれて手に取りました。 思てたんと、ちょっとちがうまず読み始めてすぐに「んん? 思てたんとちょっとちがう」と思いました。ただし、いい意味で。 どう違っていたのかを説明

センスのない努力を続けてきた:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(3/3)【間違いだらけの読書備忘録(11)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建 山口 周『「仕事ができる」とはどういうことか?』 1、2はこちら。 芸人は努力するなさて、この備忘録の結びの項として、物語をつくるひととしての視点で書きます。 本書でわたしが最も惹き付けられたエピソードは、2011年に芸能界を引退された島田紳助さんについて語られるくだりです。楠木さんの発言にこのような記述があります(該当部分がこちらで記事化されています)。 実はこのくだりをWebの記事

センスのない努力を続けてきた:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(1/3)【間違いだらけの読書備忘録(9)】

こんにちは、さらばです。 前回1冊目の読書備忘録を全6回、2万字超書いたことで、 「このままだと、読む速度に全然追い付けないぞ?」 と焦燥に襲われつつ今回が2冊目です。 とはいえ単に文字を追ってなにも身に付けられないまま冊数を重ねたところで無駄になってしまうので、しばらくバランスを模索したいところ。 さて今回はこちらです。 楠木 建 山口 周『「仕事ができる」とはどういうことか?』 1冊目に引き続き、著者は経営学者である楠木 建さん……ただし本書は独立研究者の山口

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(6/6)【間違いだらけの読書備忘録(8)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~5はこちら。 非合理な合理性を組み込む第5章"「キラーパス」を組み込む"では、ストーリー上の「起承転結」の「転」にあたる「クリティカル・コア」について書かれています。 この耳慣れない言葉である「クリティカル・コア」を、筆者はこう定義しています。 そして「クリティカル・コア」が「クリティカル・コア」として機能するための条件を二つ挙げていま

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(5/6)【間違いだらけの読書備忘録(7)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~4はこちら。 誰になにを提供するのか第4章"始まりはコンセプト"では、ストーリーをつくるときの起点である「コンセプト」についての説明が行われます。 前回触れた「高く売るか、安く作るか、ニッチを狙うか」という点についても最初に考えるべき点なのですが、これはどちらかというとビジネスとしての「方針」に近いと思います。 誤解を恐れず俗っぽい言い

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(4/6)【間違いだらけの読書備忘録(6)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~3はこちら。 三種類のシュートでゴールを狙う第3章"静止画から動画へ"から、筆者のいう競争優位性として絶大な価値を発揮する「戦略ストーリー」についての話が本格的に始まります。 第2章で語られたSPやOCという競争優位性そのものは単なる静止画であり、これに対して優れた戦略ストーリーは動画である、という話です。 個別のSPやOCといった静止

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(3/6)【間違いだらけの読書備忘録(5)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1、2はこちら。 競争優位性を語る上での前段第1章は「戦略とはなにか?」について書かれていたのですが、第2章"競争戦略の基本原理"は、「競争優位性とはなにか?」について書かれています。 本書のタイトルにもある本題は第3章からです。そこまでに166ページを費やすあたりが、この本の文脈の豊富さを物語っています。 第2章の内容について、まずはざっ

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(2/6)【間違いだらけの読書備忘録(4)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1はこちら。 戦略はバズワード本書の第1章、"戦略は「ストーリー」"を読んだ時点でわたしがしみじみ思ったのは、 「"戦略"というのはつくづくバズワードなんだなあ……」 ということです。 バズワードとは「もっともらしく使われるが、定義が曖昧な言葉」で、流行り言葉の大半がそうだったりします。例えば昔で言うとIT化とかCloudとか。IoTとか

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(1/6)【間違いだらけの読書備忘録(3)】

こんにちは、さらばです。 なんとここ2週間以上、自己紹介に類する記事しか書かなかったせいで、この「間違いだらけの読書備忘録」というテーマの記事はほとんど1ヶ月ぶりです。 しかもこれまで書いたのは「読書をする理由」「備忘録を書こうと思った理由」「書くスタンス」なので、実際に読書備忘録を書くのは今回が初めてです。 あ、もし前段にご興味のある方がいらっしゃいましたらこちらからどうぞ。 さて、1冊目として取り上げさせていただくのはこちらです。 楠木 建『ストーリーとしての競争

感じる乱読家は変わりたい(2/2)【間違いだらけの読書備忘録(2)】

(1)はこちら。 読書の吸収率大学の終わりごろ、卒制も終わって大分時間があったので、図書館に通う生活をおくっていた時期があります。十冊借りて一週間程度で返してまた借りて……という生活をしていました。そのときは小説なども含めて借りていましたが、確か半分くらいは実用書だったと思います。 わたしの場合、日常的に通年なにかを読むという生活があまり続いたことがありません(漫画を除く)。年に何度か「読書しよう」と思い立って、十数冊を集中して読むという感じでした。 そのころ親しくして

感じる乱読家は変わりたい(1/2)【間違いだらけの読書備忘録(1)】

近ごろ、にわかに読書づいています。 具体的に言うと年末年始からなので、本当ににわかです。 ここでいう"書"は文学以外を指しています。ビジネス書が多いです。 最初は目当ての本を二、三冊読もうとしただけなのですが、もっと読みたくなってオンラインの古本屋を巡り、十冊ほど追加。しばらくはこれを読み進めようとして半分ほどに差し掛かったところ、先日たまたま大きめのブックオフに立ち寄る機会があり……気付いたら入店から三時間経過、カゴには誰のしわざか二十五冊入ってました。あ、ついでに言う