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間違いだらけの読書備忘録

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「感じる乱読家」を自称するわたしが、読書スタイルを変えて「人生を考えたい」というテーマの元、読書についての考えや読んだ本について書いた記事のまとめです。
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記事一覧

バイアスクソ野郎にならないために:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(6/6)【間違いだらけの読書備忘録(19)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 1~5はこちら。 バイアスを取り除くための技法本書の構成は、 ステップ1:幸福度に関係しない職業選択における7つの要素 ステップ2:仕事の幸福度を決める7つの徳目 ステップ3:仕事の幸福度を下げる8つの要素 という感じで、これまでこのステップ1-3について書きました。 残るは、 ステップ4:バイアスを取り除くための技法

意外といい職場に勤めてるのかもしれない:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(5/6)【間違いだらけの読書備忘録(18)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 1~4はこちら。 仕事の幸福度を下げる8つの要素「ステップ3 悪を取り除く」では、最悪の職場に共通する8つの悪というテーマが展開されます。 この8つは「時間の乱れ」「職務の乱れ」のふたつに大別され、これらによって働くひとは心身の健康を損なうリスクが上がるとのこと。 「職場におけるストレスは受動喫煙よりも身体に悪い」そうで、

「好きな仕事」より「自由で、仲間がいる職場」が最高:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(4/6)【間違いだらけの読書備忘録(17)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 1~3はこちら。 仕事を選ぶときに重視すべき7要素前回までは幸福度に"関係のない"仕事選びの要素について書きましたが、今度は”関連する"要素を書きます。本書では、7つが挙げられています。 「自由」 ひとつ目は自由です。これほど仕事において幸福度を左右する要素はないとのこと。不自由な職場はタバコより身体に悪いそうです。 労

年収で仕事を選ぶな:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(3/6)【間違いだらけの読書備忘録(16)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 1、2はこちら。 お金と幸福度本書の備忘録、2回を費やしてまだ5分の1の内容のさらに7分の1(つまり3%くらい?)にしか触れられていないので内心おののいていますが、前回の内容が一番記憶に刻みたいところだったので、ここからはライトにいきたいと思います(努力目標)。 仕事における幸福度に"関係のない"要素として、「好き」以外に

時間と手間をかければ、好きになる:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(2)【間違いだらけの読書備忘録(15)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 1はこちら。 「仕事」⇒「好き(情熱)」前回「好きなことを仕事にする」というのは、幸福度を上げることに関係がない、という話を書きました。 この「好き」と似た方向の話として「情熱を傾ける」という話があります。例えば「情熱を傾けられることを仕事にすると頑張れる。そのためには好きなことを仕事にすべきだ」といった主張です。 しかし

好きを仕事にしても、幸せになれるとは限らない:『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』(1)【間違いだらけの読書備忘録(14)】

こんにちは、さらばです。 備忘録4冊目です。 鈴木祐『科学的な適職 4021の研究データが導き出す最高の職業の選び方』 要約サイトで本書の要約を読み、非常に興味深い内容だったので手に取りました。 本書のターゲットは就職・転職活動をするひと、あるいはキャリアプランに悩むひとだと思いますが、キャリア(≒生き方)に一片の迷いもないひとのほうが珍しいのでは? と考えると、ほとんど全てのひとにとって興味のあるテーマじゃないでしょうか。 わたしも例に漏れず、「趣味:戦略」を標榜し

伝える前に、伝える内容を顧みよ:『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』(2/2)【間違いだらけの読書備忘録(13)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 上念 司『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』 1はこちら。 言葉が通じない相手への対処法本書でわたしが一番面白く読ませていただいたのは、最終第五章"言葉が通じない相手は「距離感」を見極めろ!"です。 世の中にはどんなにテクニックを駆使しても話の通じない人間がいる、というところから、そういうひとへの対処法を書いておられます。 そしてそういうひとの傾向として、このような記載があります。 そうい

伝える前に、伝える内容を顧みよ:『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』(1/2)【間違いだらけの読書備忘録(12)】

こんにちは、さらばです。 備忘録3冊目です。 上念 司『論破力より伝達力 人を動かす、最強の話法』 2022年11月初版と、珍しく(?)わりと最近の本です。 著者は経済評論家の上念 司さん。Webでこの方の記事を幾つか読んで面白いと思ったのと、「伝える」ということには並々ならぬ興味があるので、タイトルに惹かれて手に取りました。 思てたんと、ちょっとちがうまず読み始めてすぐに「んん? 思てたんとちょっとちがう」と思いました。ただし、いい意味で。 どう違っていたのかを説明

センスのない努力を続けてきた:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(3/3)【間違いだらけの読書備忘録(11)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建 山口 周『「仕事ができる」とはどういうことか?』 1、2はこちら。 芸人は努力するなさて、この備忘録の結びの項として、物語をつくるひととしての視点で書きます。 本書でわたしが最も惹き付けられたエピソードは、2011年に芸能界を引退された島田紳助さんについて語られるくだりです。楠木さんの発言にこのような記述があります(該当部分がこちらで記事化されています)。 実はこのくだりをWebの記事

センスのない努力を続けてきた:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(2/3)【間違いだらけの読書備忘録(10)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建 山口 周『「仕事ができる」とはどういうことか?』 1はこちら。 センスがあるひとの特徴楠木さんは"はじめに"で、以下のように語られています。 この"はじめに"には、本書の趣旨がこれでもかというほど端的にまとめられています。『ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件』を読んだときにも思いましたが、楠木さんの本はこの冒頭の文章が実質的に本の端的な「まとめ」になっており、内容を振り返る

センスのない努力を続けてきた:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(1/3)【間違いだらけの読書備忘録(9)】

こんにちは、さらばです。 前回1冊目の読書備忘録を全6回、2万字超書いたことで、 「このままだと、読む速度に全然追い付けないぞ?」 と焦燥に襲われつつ今回が2冊目です。 とはいえ単に文字を追ってなにも身に付けられないまま冊数を重ねたところで無駄になってしまうので、しばらくバランスを模索したいところ。 さて今回はこちらです。 楠木 建 山口 周『「仕事ができる」とはどういうことか?』 1冊目に引き続き、著者は経営学者である楠木 建さん……ただし本書は独立研究者の山口

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(6/6)【間違いだらけの読書備忘録(8)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~5はこちら。 非合理な合理性を組み込む第5章"「キラーパス」を組み込む"では、ストーリー上の「起承転結」の「転」にあたる「クリティカル・コア」について書かれています。 この耳慣れない言葉である「クリティカル・コア」を、筆者はこう定義しています。 そして「クリティカル・コア」が「クリティカル・コア」として機能するための条件を二つ挙げていま

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(5/6)【間違いだらけの読書備忘録(7)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~4はこちら。 誰になにを提供するのか第4章"始まりはコンセプト"では、ストーリーをつくるときの起点である「コンセプト」についての説明が行われます。 前回触れた「高く売るか、安く作るか、ニッチを狙うか」という点についても最初に考えるべき点なのですが、これはどちらかというとビジネスとしての「方針」に近いと思います。 誤解を恐れず俗っぽい言い

わたしを「趣味:戦略」に駆り立てた1冊:『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』(4/6)【間違いだらけの読書備忘録(6)】

こんにちは、さらばです。 現在、以下の本について備忘録を書いています。 楠木 建『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』 1~3はこちら。 三種類のシュートでゴールを狙う第3章"静止画から動画へ"から、筆者のいう競争優位性として絶大な価値を発揮する「戦略ストーリー」についての話が本格的に始まります。 第2章で語られたSPやOCという競争優位性そのものは単なる静止画であり、これに対して優れた戦略ストーリーは動画である、という話です。 個別のSPやOCといった静止