ハイヒールはもう必要ない
みなさん、こんにちは。
私は気が付いてしまった。
私には、ハイヒールはもう必要ないということ。
18歳のころから履いてきたハイヒール。
とある地方都市の予備校に通う夏。
違和感を感じた。
なんだか左に傾いている気がする。
左足の外側のヒールが削れていた。
それまでは、運動靴(あえてスニーカーとは言わない)と
ハルタのローファーしか
履いたことのなかった私は、この小さな気づきを無視した。
私の左足は、微妙に左に重心がかかっていて
ヒールの左側を削りながら歩いていた。
乙女心はあえて無視をし、ヒールを愛用した。
大学はとてつもない坂道の上にあったが、
それにもめげずにハイヒールで上り詰めた。
(下りは転がり落ちそうになりながら歩いた。危ない。)
足は外反母趾として親指の下の骨がでっぱってくるし、
痛みもともなう。
サイズがぴったりと合わなければ、踵に靴擦れができる。
人差し指から小指は、知らず知らずのうちに丸まっているのが
デフォルトになるし
小指はたこができて太くなった。
私の足は小さい。
160センチの身長に対して、足のサイズは22センチだ。
そういうわけでバランスが悪くよく転んだ。
通勤中に駅の階段から落ちたこともあるし、
足は無駄に捻挫した。
足に合うハイヒールを探そうとすると2万円以上する。
愛用の靴は、ダイアナから銀座かねまつにランクアップした。
プチプラの靴を買ったら、サイズを合わせるために、
踵に透明のテープを張ったり、前滑り防止のシートを張ったりして
余分な経費がかかる。
靴の修理屋さんには大変にお世話になった。
最初の気づきから20年が経とうとしている。
私は薄々気づいていた。
あんなもの、金持ちの履くものだと。
ハイヒールは、車で送迎してもらえる人が履くものである。
自分で地下鉄に乗って移動する人の履くものではない。
自分で運転する人も論外らしい(社会派ブロガーのちきりんの日記より)
私は、中産階級市民だということを自覚した。
若い頃の私は、稼ぐにつれて、
自分はどこぞの貴族だという気分になってしまったみたいだ。
心の面からは、ハイヒールの高さに合わせて、
自尊心と優越感、
そして、自己顕示欲の強さを表現していたのだと思う。
若いなりの自己防衛心と文字通りの背伸びだった。
身長を10センチ高くして、男性と肩を並べて歩く、その必要はもうない。
だから、ここ数年、私の愛用はスニーカーだ。
サンダルもペタンコだ。
どこへでもスニーカーで歩く。
(運動靴からスニーカーには変化した。)
立派に歩いていく。
等身大の私がいる。
今は、地に足をつけて歩いていく。
少しだけ、送迎される身分になるまで稼ぐのだ、
そういう野望も少し抱いて。
(まだあきらめてはいない。)
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