見出し画像

【UWC体験記㉖】UWC Day(2年目)主催ー初めての大規模イベント企画・実行での試練の連続

2年目に私が企画・運営した全校規模の大イベントは3つ、その中の一番最初のUWC Dayについて。その名の通り、UWCの創立記念を祝い、UWCのミッションや多様性を再認識する日です。

未読の方はまず1年目に私が参加した時のUWC Dayについて読んでいただきたいです!


去年よりも良いものに!

1年目の5月、私たちの試験が終わったタイミングから9月のUWC Dayを企画し始めました。私が応募したいと思った理由である、「こんなに素晴らしいイベントなのに改善点があるから自分がもっと良くしたい!」という思いは主催者に選ばれた他の2人も全く一緒でした。

昨年のUWC Dayは、その前の1週間でFocus WeekとしてCouncilセッションを先生方にやってもらった上で、当日の土曜日にセレモニーで有志のパフォーマンス、その後はNational Groupによるワークショップといったものでした。

昨年はオープニングとクロージングで1日の中で2回もセレモニーがあったことでそれぞれの参加者がかなり少なくなってしまっていたので、今回はセレモニーは1つにして、ぎゅっと内容を詰め込もうということに。

そしてその中での文化パフォーマンスも、去年はパフォーマーの出身地域に偏りがあったため、今年は全てのNational Group(東アジア等の地域グループ)に均等に時間を割り振り、参加必須としました。

昨年のNational Groupの準備不足を防ぐため、夏休み前の6月で全ての新National Leaderたちとミーティングを行い、用意してもらうパフォーマンスと昨年と同じくワークショップについて説明を行います。

そして今年はUWC60周年。私が実現したかった新しいアイデアもいくつか。1つは、世界中のUWC17校でコラボしみんなで1つのビデオを作ること。そしてもう1つは最初に出来たUWCであるAC(イギリス校)の60年間の歴史を冊子とすること。

ただし、生徒のイベントサポートを担当する先生に相談したところ、今年はUWC Dayとは別にUWC60周年のイベントがあるからそれはあなたたちがやることではないと思う、とあえなく却下されてしまいました。ただ、結局UWC60周年の別イベントでは結局どちらのようなものも見れず、あの時にやってしまっていれば良かったなと今は思います。


“Peace Begins With Us”

夏休み中にUWC国際本部から伝えられた今年のUWC Dayのテーマは

“Peace Begins with Us”(平和は私たちから始まる)

おそらくロシア・ウクライナなどの世界情勢を考慮してのことでしょう。

テーマが決定したらそれに関連した何かをやりたいと考えていたのですが、正直このテ―マには戸惑います。とてもUWCらしいテーマである一方で、言うのは簡単でもいかに現実では難しいか、1年間のUWC生活で経験していたから。

イスラエル人の同級生と口げんかになったというパレスチナ人の同級生の「教育で平和なんて、そんな簡単なものじゃないんだよ」と言っていた言葉が頭から離れません。

もちろん、出身国が対立していてもほとんどの生徒同士は関係なく仲良いのですが、確かに戦争相手国の高校生1人と仲良くしたところで争いや殺し合いが止まるわけ無いんです。

UWCに来る前であれば堂々とこのテーマを掲げられていたかもしれないけど、今は世界的に見た日本の立場も分かっているし、私がいかに恵まれた環境で育ったかも分かっている。

それでも、いくら今は現実的でなくても、小さな規模でも、PeaceはどこからかBeginしなくてはいけない。このUWC(United World Colleges)という場所でこのテーマを信じること、そしてその意識を多くの生徒が持って外の社会に出ていくことには価値があると思い直します。

作成して当日に配布したシール

私たちはなるべく多くの言語話者を集め、それぞれに「平和」もしくは「Peace Begins With Us」を自分の言語で言ってもらい、平和に関する詩も合わせて1つのビデオに編集しました。このビデオは当日のオープニングセレモニーで流すことにしました。

そして、小さなおもちゃの木と葉形の付箋を買い、「あなたにとっての平和は何か?」というテーマで当日生徒たちに自分の考えを付箋に書いてもらい、「Peace Tree」を作ることにしました。かなり多くの生徒が記入をしてくれ、これは大成功でした。

当日のPeace Tree

Human Libraryコラボ

9月にいつものように主催者3人でミーティングしていたところ、1人が、「Sara、UWYとコラボでHuman Libraryとかやるのどうかな?」と。

UWYとは、私含め同級生5人で立ち上げた、UWC生の人生ストーリーを世界に広め社会貢献を目標としたプロジェクトで、1年目の終わりに£10,000(約150万円)の賞金をもらい、Youtubeに投稿したのビデオも学内で話題になったことでその頃にはかなり知名度が上がっていました。

未読の方はこちらをお読みください↓

この頃、UWYでは次のステップを踏まなければいけないのは分かっているものの年度初めからイベント等が多く、なかなか止まってしまっていた時期でした。メンバーと相談すると、「すごい良いチャンスだね!」と皆が乗り気になります。

今年のUWC Dayからはコロナ前のように近隣の一般客も学校に招待することができるということで、UWC Day主催者とも話し合い、生徒向けの文化ワークショップの時間帯に一般客が代わりに参加するイベントとしてのHuman LibraryをUWY主催で開催することにしました。

Human Libraryとは、もとは障害のある方やマイノリティの方々を「本」とし、小グループの観客がそれらの本を読むようにその方々の経験を聞いたり、質問したりできるイベントのこと。私たちも前回の大人数でのイベントの経験から、一回当たりの観客は少人数の方がスピーカーと観客の双方にとって良いことを実感していました。

そしてUWYで手探りながらまずはスピーカー(登壇者)の募集。なんとか10名ほど応募してくれ、その1人ずつと面談し、まずは自分のストーリーを話してもらい、私たちも可能な限り色んな角度からの質問をさせてもらいます。

その詳細なメモをこちらで取り、時系列を整えたりより大切な箇所を伝え、本番での約10分のストーリーの構成を一緒に行います。最終的には本番直前に最終リハーサルとして1人で10分間話してもらい、その様子を録音させてもらいます。

1人ずつのストーリーの完成度、そしてスピーカーの話し方が上手くなるまで私たちが付きっ切りで補助するので正直私もかなりの時間をこちらで費やしました。

UWYのメンバーたちはUWC Dayの全体運営で忙しいだろうからこっちに来れなくても大丈夫だよ、と言ってくれるし、UWC Day主催者の2人はHuman Library以外のことはあまりやらなくて大丈夫だよ、と言ってくれるのですが、どちらも私の大きな責任であることは間違いないので可能な限り、両方で他のメンバーと同様の仕事量をこなすようにしていました。

一般客用の予約サイトでは、事前に最低でも60名ほどの一般の方の予約が入っていました。Human Libraryの観客キャパシティを満たすため、生徒の中でも数名は通常のワークショップの代わりにこちらにサインアップできるようにしました。

Focus Week

UWC Dayを日曜日に控えた週は、UWC Day Focus Weekとし、全てのCouncilで誰か1人の先生にご自身の経験や何か詳しい内容でのセッションをしてもらいました。

そして本来のUWC創立記念日である9月21日、水曜日には毎年恒例のFlag Photoという全校写真を撮影します。事前に声かけを頑張ったことで前年よりも多くの生徒、そして多くの旗が写真に収まることができました。

Flag Photo

UWC Dayの前日には、特別写真展をオープン。これは私たちの提案を受け、同級生の1人である写真家の生徒が他の生徒をモデルに彼らの国の民族衣装を撮影したもの。本格的な紙で写真をプリントアウトし、図書館内で丁寧にセットアップを行った写真展は圧巻でした。

写真展の一部

表に出ない仕事がこんなにも…

ハプニングだらけだったUWC Day当日の話の前に、初めて生徒だけでのイベント主催に携わったことで経験できた、今まで高校生として生活している中では想像も出来なかった裏方の仕事の数々を。

1.プレスリリース作成
一般の方に公開するイベントということで、予約ページの設定は学校がやってくれるものの、「プレスリリースを書いてほしい」と言われます。そもそもプレスリリースとは??から始まり、何を書いたら良いのかも全然わからない。いつも目にする、ついつい自動で出来上がるような文章も絶対に「誰かが」書いているんだ、それをさらに人の目を引き付ける書き方なんて難しすぎる!と苦戦しました。

2.安全管理
いくら完全に生徒主催とはいえ、未成年の生徒たちがいる高校での学校行事であるため、最終的な監督責任がある学校側は主催者である私たちとコミュニケーションを取りその責任を果たそうとします。Safeguarding(安全管理)の主任とミーティングを行い、全ての計画を説明し、チェックしてもらいます。すると、このワークショップでこの危険がある、この時に一般客との接触は抑えなさい、など本当に私たちが見落としていた数々のリスクが浮かび上がります。やりたいことが多少制限されたり、正直少しうっとおしく思うこともあったのですが、当日での事故や防げるハプニング防止のために、本当に感謝しています。

その上で私たち主催者が全てのワークショップ、セレモニー、Human Libraryなどのリスクアセスメントを1つずつ行います。リスクアセスメントとは、可能性のあるリスクを全て特定、その確率と重度、そして対策方法を検討するものです。

3.生徒の対応
UWC DayはConferenceなどのカリキュラム内の公式行事では無いので、やる気の無い生徒たちは正直来ても来なくても出席率への影響はありません。UWC Day前日に全校のグループチャットでそれを知らない生徒が「明日のイベントって出欠取られるの?」と私たち宛てに聞いてきました。本当のことを答えたら来る生徒の数は減るけど、嘘はつけない。3人で相談した結果、「出欠は取らないもののどれほど多くの人の努力が詰まっているかを考えて来てください!」と返信しました。

そしてNational Groupのリーダーたちとのコミュニケーションでも問題は多発します。リーダーでも皆が意識高いわけではもちろんなく、ワークショップの提案書、パフォーマンスの音源などで半分ほどのグループが提出期限を守りません。その度にその生徒たちにテキスト、もしくは対面で催促をしなければいけないのですが、それが友達でもあったりするととても気まずい。中には同じ授業で会う度に合計4,5回催促をしなければいけなかったこともあり、その度に面倒くさそうな顔をされるとかなりメンタルを強く持たなければいけませんでした。

4.ワークショップ配置
生徒たちのワークショップへのサインアップが終わった後、それぞれのワークショップにも定員数があるのでどのワークショップにどの生徒を配置するかを考えなければいけません。350人の生徒のうちサインアップしない生徒もいたり、ワークショップの人気に偏りがあったりするため、手動で1人ずつ配置していきます。地味ですが間違いがあると余計面倒になるので、何回も確認しながら時間をかけて行いました。

5.来客準備
コロナ後初の生徒イベントへの一般客来場ということで、安全管理の面でも学校のイメージという意味でも学校側からはきちんとした対応をするようにと念を押されていました。ただ私たち3人には当日その余裕は無いので、生徒の中でスタッフを募集します。1年生中心に30人弱も応募してくれ、駐車場整備や誘導、入口対応などに振り分けて仕事内容を説明します。仕事が無い人はいないようにしたいし、負担が偏らないようにしたいけど、何より第一優先はやるべきことがきっちりと行われること。私の考えすぎもあり、このスタッフ管理にかなりの労力を費やしました。

また、ACのイベントでは基本的に全ての情報が全校メールで送られるのですが、メールでの情報伝達が出来ない一般客の方々用に、急遽2日前に思い付いてプログラムを作成し、印刷しました。あるのと無いのでは分かりやすさに大きく差が出たと思うので気付いて良かったです。

プログラム表紙
オープニングセレモニーの式次第

6.予算の管理
UWC Dayの予算としてFood Fairの材料費、ワークショップの道具、装飾などに充てるように学校から予算が渡されています。ほとんどはFood Fairに行くのですが、その他残りでシール、写真印刷、Peace Treeの購入などができるように初めの時点で計画を立てることが必要でした。そしてNational Groupからの必要なものをまとめてオーダーしたり、各自で買ってきたものに関しても返金が行われるようにレシートを取るよう注意したり、とお金を稼いでいない学生の身であるからこそとても神経を使いました。

7.場所の確保
5月に計画を始め、昨年のように9月21日に一番近い土曜日にUWC Dayを設置しようと思っていたところ、学校から「その日はもう結婚式の予定が入ってるから」と日曜日にせざるを得ませんでした。お城である私たちの校舎は一般の方の結婚式に使われることが度々あるのですが、この日にUWC Dayのイベントが行われそうなことは事前に分かりそうなもの。すると「そっちが先に学校のスケジュールに入れてなかったから」と言われてしまいました。確かに、それはそうなのですが…その後は慌てて教員と生徒共用の予約ツールで日曜日の体育館、教室、ホールなどほぼ全ての学校施設の予約を入れました。確かに当たり前のようなことでもそれをやっていなかったら後から問題が起きたときにこちらの立場がありません。

8.クオリティ管理
パフォーマンス・ワークショップなどは完全にそれぞれのNational Groupに任せると昨年のように必要なものが無かったり、クオリティがかなり低くなってしまうことは分かっているので、私たちがそれを管理しようと決めました。パフォーマンスは事前にリハーサルを行い、あまりクオリティの高くないものの場合はやり直しを何度でも行い、最後には私たちの見ているところで練習してもらいます。そしてワークショップでも事前に必要なものを列記してもらった上で、すでに持っていないものはこちらで何とか用意できないかと学校中聞きまわりました。


UWC DAY 2023 当日

ついにやってきた当日!午後からイベント開始のため私たち3人は朝の9時に体育館集合にしていましたが6時に起き、私自身が自分の浴衣を着たり、全校メールを送ったりと準備をします。

そして体育館に着きやり直しだったパフォーマンスのリハーサルを始めます。すると、National Leaderをやっている友達から電話が。「私のNational GroupのFood Fair用の材料が足りないんだけど」と。

実はFood Fairの材料は事前に各National Groupに聞き、私たちの方でオーダーしていたので、まとめて学校に到着していました。ただそれを学校の受付に取りに行かず、それぞれのNational Leaderが自分で取りにいくよう指示したのは私たちのミス。

野菜やチキンなど、複数のNational Groupで使われる材料などは誰がどれをどれだけ取ったのかも分からなくなり、材料が無い!とそのあとも相次いで連絡が入ります。特に私たちにその場でできることは無いものの、かなりパニック。

彼らの怒りの矛先が私たちに向かっている訳ではないものの、やはり罪悪感は強く、焦って全てのNational Leaderたちに電話をかけ、それぞれが申告した材料以上を取っていないか確認。最終的にはFood Fair直前になって奇跡的に全てのGroupの材料が揃い、12時から無事Food Fairを開始できました。

タピオカミルクティー
インドカレー

想像以上の大盛況。みなが既に自分の民族衣装を着ている中、世界中のほぼ全ての地域からの食べものをお互い少しずつ食べ合い、とても和やかな良い雰囲気で初めて笑顔になれました。

友達同士で写真を撮り合う

オープニングセレモニー開始!

そして予定時間からほとんど遅れることなくオープニングセレモニーをPeace Begins With Usのビデオで開始。少し真剣な雰囲気になると同時にがやがやしていた会場も静まり返ります。

Peace Begins With Us ビデオ

そして私たち3人のスピーチで正式に開会し、パフォーマンスへと移っていきます。すると本当に見事にどのグループも今まで私たちが見た中で最高のパフォーマンスをしてくれます。前日のリハーサルではボロボロだったようなNational Groupでも朝体育館前のテニスコートで直前まで練習していた甲斐あってほぼ完璧。

アフリカのダンス
中東の伝統舞踊「ダブケ」
中国の伝統舞踊

クオリティに明らかに大きな差があった昨年と違い、観客側もどのパフォーマンスに対しても最大限の歓声を送り、何よりパフォーマーたちがみなとても嬉しそう。そしてちょうどオープニングセレモニーだけたまたま近くで会議をしていた他のUWCの校長たちも数名いらっしゃっていて、クオリティの高さを褒めていただけました。

一般客がいない?!

びっくりしたのは「最低60人」と聞いていた一般客がほぼ見られなかったこと。前の数列を一般客用に空けていたもの、開始時間までほぼ埋まらず、生徒たちが座っていきます。なんで??と少しがっかりだったものの、それほど問題意識はありませんでした。

ただ、オープニングセレモニー直後に私のもとにUWYのメンバーたちがやってきた時、この重大さに気付きます。Human Libraryはほとんどの参加者を一般客で想定しているので、生徒は20名ほどしかいない予定。このままだとせっかく頑張って準備してきたスピーカ―たちのもとにほとんど観客が来ないことになってしまう。

2つの立場で板挟み

どうしよう、と焦りだした私にUWYのメンバーの1人が「観客も確保できないくらいならHuman Libraryは中止するべきだと思う」と。1年目の終わりに実施したイベントの上手くいかなかった時の嫌な記憶は私にも残っているし、あれはもう絶対経験したくないのはとてもよく分かります。

それでも、当然私の立場としてはここで中止することなんてできません。必死に、観客数が少なくてもスピーカーたちが準備を頑張ったからこそやる価値はあるのではないか、と説得を試みます。

すると、「少数の生徒の観客だって来るかどうかは分からない。そしてそれはUWC Day主催者のHuman Libraryの宣伝が足りなかったからだ。」と言われます。

確かに、今回はHuman LibraryについてもUWYからではなくUWC Day主催者としての宣伝をすることになっており、いくつかメールは送ったものの確かに生徒の中でのHuman Libraryの知名度自体が低いことは否めません。

「他にも2人の主催者がいるから、Saraだけが悪いとは言わない。でも、そちら側の責任だから、キャンセルをもし行うならそっちから全校メールを送ってきちんと原因を説明してほしい。」と言われてしまいました。とても悔しいものの、言っていることはもっともです。

「私が観客を集めるからキャンセルはさせないでほしい」と何とかお願いし、他のメンバーが会場へ準備に向かい、体育館に1人残されたときには、今までずっと一緒に取り組んで来て
友達としても親しいUWYのメンバーたちに言われた言葉に涙が出てくる寸前。

「今泣くのは私じゃない」となんとかこらえ、早速Human Libraryにサインアップしてくれた生徒たちにメールで、必ず参加してほしいと念押しをします。そして先生方にも一斉メールを送り、今時間のある人はお願いだから来てほしい、と。そして自分の近い友達にも片っ端から連絡し、自分のワークショップでなくてもHuman Libraryに来てほしいとお願いします。

Human Libraryの会場に着くと、UWYのメンバーやスピーカ―本人たちによりセットアップはほぼ完了。あとは人がどれだけ入るか。

すると開始10分前ぐらいからぽつぽつと人が入り始め、開始時間にはなんと満席。ほとんど生徒や先生方ではあるのですが、20人弱来ていた一般客も全員、生徒の付き添いで来てくれていました。本当にありがたすぎる。

満員!

そして第1ラウンドが始まり、8名のスピーカーがそれぞれ自分の前に小さな円を作った観客に自分のストーリーを話し始めます。質疑応答も含めて15分で観客は別のスピーカ―に移動し、これを4ラウンド繰り返しました。

チベット人のスピーカー

チベット、タイ、グアテマラ、インド、香港、イエメンなどの国での他の環境で育った人には想像もできないようなライフストーリーの数々。第4ラウンドのあと、UWYメンバーそしてUWC Day主催者として最後の挨拶を終えると、涙した同級生たちが寄ってきてくれます。

UWC Day 主催者として最後の挨拶

「こんなに感動したイベントは初めて!」「私たちの同級生でこんなストーリーを持っている人たちがいるなんて知らなかった!」など。一般の方にも、「素晴らしいイベントを開催してくれてありがとう」と言っていただけました。

そしてUWYのメンバーに、「さっきは意地悪なこと言ってごめんね、本当にありがとう」と言われた時、ずっと我慢してきた涙が抑えきれなくなりました。「Saraだったから信頼して実行することにしたけど、他の人だったら絶対キャンセルしちゃってた」とも。

他の同級生たちも「本当によく頑張ったね」と皆がハグしに来てくれ、やっと本当に安心ができました。

その後、片付けが終わりやっと寮に帰る時、イギリス人のNational Leaderとすれ違いました。「お疲れ!」と声をかけられ、「イギリスのパフォーマンス良かったね!」と声をかけると、
「そうだよね、今年すごい頑張って去年の汚名返上したよね!」ととても嬉しそうに返してくれました。

私としては、自分の文化を誇りを持って披露しお互いにそれを讃え合うこと、これを他の生徒たちが達成できたこと以上の喜びはありませんでした。


達成できたこと・自分の過ち

私の目的であった「去年の改善点を直す」という点では概ね上手くいったと思います。それぞれのイベントの参加率は高かったし、全ての生徒に包含的なイベントにすることもできた。そしてHuman Libraryを通してパフォーマンスや食べものなどの表面上の文化よりも深い、個人の経験を浮き上がらせることもできた。

それでも、やっぱり自分が思い描いていた理想とはほど遠い。自分が持っていた新しいアイデアももっと押せば実現できたのではないか。そして今回起こったハプニングも自分たちのせいだけではないとはいえ、事前に予想して防いだり、もっと良い対応ができたのではないか。

そしてやはり1つ致命的な自分のミスとして挙げられるのは、Human Libraryの観客が欲しいばっかりに「参加予定のワークショップを蹴ってでも来てほしい」と生徒たちに頼んでしまったこと。

実際、ほとんどのワークショップにおいて準備時間はおそらくあまり多くなく、Human Libraryのスピーカーたちがかけた時間や私たちUWYの費やした時間とは比べ物にならないでしょう。そしておそらくHuman Libraryの方が、(私の視点ですが)学ぶことや感じ取ることは大きく客観的な行く価値は大きかった。

それでも、準備した人がいて私たちもそのワークショップに参加者を配置した以上、それを下に下げたような物言いで他のものに行くようには言うのは失礼です。ワークショップ1つ1つにそこまでの準備時間が費やされていないことも、ワークショップにそこまでのクオリティを要求する余裕が無かった私たち主催者のせいなのです。

やはり、どう考えてもHuman Libraryは主に一般客だけに向けたものではなく、他に何も開催されていない時間で生徒も誰でも参加できるようにするべきだった。この後悔は次のHuman Libraryに向けて活かすことになります。

その後すぐに来年度の主催者の募集、選考を私たちで行いました。私たちが去年出願した時ほど「今年もイベントから改善できること」の問いには書かれていることが多くなく、「新しいアイデア」の問いに私が去年書いたものと似たアイデアもたくさん見られ、彼らが作る来年UWC Dayがどうなるのか楽しみにしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?