「月」
それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が
夜の闇に ぽっかり 浮かぶ。
男が 思う。重なり合いながらもひどく
冷たい女の唇によく似ている、
と。
女が 呻く。抱き合いながら見下ろして来る
冷めた男の眼にそっくりだ、
と。
それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が
夜の闇に 浮かぶ。
ぽっかり、
ぽっかり
―――詩集「十三夜」より
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