見出し画像

「月」

それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が

夜の闇に ぽっかり 浮かぶ。

男が 思う。重なり合いながらもひどく
冷たい女の唇によく似ている、
と。
女が 呻く。抱き合いながら見下ろして来る
冷めた男の眼にそっくりだ、
と。

それ以上欠けることも 満ちることも知らぬ月が

夜の闇に 浮かぶ。
ぽっかり、

ぽっかり

―――詩集「十三夜」より

よかったらサポートお願いいたします。いただいたサポートは、写真家および言葉紡ぎ屋としての活動費あるいは私の一息つくための珈琲代として使わせていただきます・・・!