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「嫉妬の貌」

己の貌が、
鏡に映る己の貌が、見るも無残に爛れ、

その貌に
影のように寄り添い、知りもしない女の顔が
あらはれ、

透き通るように白い 滑らかな肌に
まだ 何の穢れも知らぬ気の、黒き瞳を湛える女の貌が
あらはれ、

私は
為す術もなく、鏡に映る その
二つの貌から 眼を逸らすこともできず、

ああ、

鏡には今夜も 二つの貌があらはれ、

あらはれ、

―――詩集「十三夜」より

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