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「原風景」

言葉という炎で焼き尽くされた野には
黒こげの屍体が散乱し、

言葉という炎で焼き尽くされた野は
雨あがった今もまだ細く長く
灰燻を吐き続け、

ただひとつ
焼け残ったのは
記憶という椅子
脚が一本折れて立つ
記憶という椅子

この原野の只中に

椅子は 在り続ける
昨日も今日も明日も

この原野の只中に
椅子は 在り続ける

この椅子に座る者がもはや
ここにはいなくとも

―――詩集「胎動」より

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