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色彩を持たない多崎つくる

ものすごく久しぶりに、村上春樹さんの小説を読みました。大学生の頃に読んだ「ノルウェイの森」以来。その時の感想は「なんかよくわかんないや」。

1年前にたまたま映画「ドライブ・マイ・カー」を見て、「ふむ。よくわからないところはあるものの、悪くはない」と思った私は、村上春樹さんの小説を読んでみることにしました。

推しさんが以前noteで、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を紹介していたのを思い出し、同じ本を買いました。その後1年積読しましたが、読み始めるとあっという間にするする読めました。

いやー、「銃・病原菌・鉄」(和訳が悪文)を読んだ後だと、村上春樹さんの文章の美しいこと。素晴らしい。簡潔にして、無駄がない。これは、英訳がしやすそう。

内容は、主人公多崎つくるの大いなる喪失と、回復の途上を描いた物語。

この読後感は確かに、他の誰かと「ねー、あれどういうこと?」「ねーねー、これどう思う?」と論を闘わせたくなります。熱狂的なファンがいるのも納得。

「ノルウェイの森」「ドライブ・マイ・カー」にも感じましたが、村上春樹作品に出てくる女性たちって記号的と言うか、人間味が無いというか…とても不思議。

彼女たちの内面の描写が少なくて、私は彼女たちに対して好きとか嫌いとかの感情が持てません。裸体や乳房や性器についての描写は細かいのに。

逆に言えば、容姿の情報だけで十分、男性は女性に好き嫌いの感情が持てるってことなのかな。

その反面、変にドラマチックな女性もいない。物語を感情で捻じ曲げるような人がいない分、「現実ってこんなもんよね」「セラヴィよね」「ライフゴーズオンよね」となりました。

読んでから1日が経っても「何だったんだろ、あれは」と思ってしまうのだから、私は十分感情が揺さぶられたようです。一度読んだ本は読み直さない私ですが、これはまた読んでみてもいいかもしれない。

余談

村上春樹作品にちょくちょく出てくる音楽も、今はサブスクがあるのですぐ検索して聴けました。登場する地名も検索して、画像で風景を観たりして。便利。それらを知るのと知らないのとでは、たぶん大違い。

「ノルウェイの森」の頃は曲を知らなかったから勝手に想像していて、後で聴いてイメージが全然違っていて驚いたのでした。

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