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紅茶一杯分の物語☕

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400字小説『赤信号と猫』

400字小説『赤信号と猫』

「ゆうくんのすごいところって、青信号が点滅してたら絶対に渡らないところだよね」

点滅する青信号にあわててかけだすひとたちを横目に見ながら、ぼくはふと彼女のことばを思い出した。そしてその直後、道路に突然飛び出してきた猫を助けるために赤信号を無視し、冷や汗をかいたことも──。なにも気がつかなかった運転手にひどく怒鳴られたけれど、「猫ちゃんが無事でよかった」と笑う彼女を見て、心がほんのりと軽くなった。

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400字小説『好きの小論文』

400字小説『好きの小論文』

「あなたとあなたの大切なひととの日常で感じる幸せを、400字以内で伝えなさい」

妻とケンカした翌朝。リビングへ行くと、テーブルの上には原稿用紙一枚と、かわいらしい字でそう書かれた手紙が置かれていた。すみのほうには、「怒っているので今日は一日ショッピングしてきます。怒」とちいさくつけ足してある。ぼくはつい頬をゆるめながら、すこし考えたあと、かたわらに置いてあったペンを原稿用紙にすべらせた。

「大

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400字小説『日曜日の朝、きみとふたり』

400字小説『日曜日の朝、きみとふたり』

日曜日の午前中。太陽の光にやわらかく照らされながら、大好きな彼と、大好きな本を読む。

──パラ。──パラ。

静寂のなか、それぞれがめくるページの音と互いの呼吸音が重なり合っていく。その音と空気と温度すべてが心地よくて、“この時がずっとつづきますように”、とひそかに願ってしまう。

「コーヒーのおかわり、淹れようか」

時計の針が一周したころ、彼が顔をあげた。彼のことばを栞にして、わたしは本をぱ

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