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ことばの入力と出力

1歳10ヶ月の子どもが、音の出る絵本を2冊使って「ぞうさん」の輪唱をセルフでやっている。このボタンを押すと「ぞうさん」が流れて、違う本のこのボタンも同じ「ぞうさん」が流れると認識していなければできないことだ。すごい。

年季が入ってきた本なので、押してもならない曲がある。「ゴンベさんの赤ちゃん」のボタンを押したのに音が鳴らず、何度も押しているうちに一つ下の「女々しくて」が流れ出すと、地団駄を踏んで怒り出した。このボタンを押すと「ゴンベさんの赤ちゃん」が鳴るはずで、今鳴っている曲は「ゴンベさんの赤ちゃん」ではない、ということがわかっているということだ。すごい。

保育園の先生が、0歳終わりから1歳の頃に「ことばの爆発期」があると教えてくれたが、ことばの理解が進むと一気に色々なことの理解も進んでいると感じる。

大人の言葉のリピートの精度も上がってきている。上手に言えると嬉しいし、上手に言えなくて謎のことばに変換されて返ってくるのもおもしろい。何なら上手に入力と出力が一致して、何ならこう変換されちゃうのだろう。法則がわからないからおもしろい。

ちょっと前に、夫と私の間で流行った遊びが、ボイスメモの逆再生だ。例えば、「シュークリーム」と言うことばをボイスメモに録り、逆再生して聞くと、ムーリクーシュ……ではもちろんなく、全く違う音が聞こえてくる。思いも寄らない音を予測し、それを真似して逆再生して上手に思った通りのことばを言うのがおもしろく、夫と爆笑しながら1週間ほどことば遊びを楽しんでいた。

子どもの音の習得、ことばの習得も、きっとこんな感じなのだろう。聞きざわりがよくてスーッと入ってくることばならば上手にリピートできるけれど、自分の守備範囲を超える方向からやってきた未知の音だと、そこで自分なりにアレンジが加わり、もにゃっとした聞いたことのないことばが出来上がる。

アンパンマンを連発していた子が、ある日からサブキャラも呼ぶようになった。チーズと、ブンブンマンだ。ブンブンマンは、バイキンマンのようだ。何度「バイキンマンだよ」と言い直しても、断固としてブンブンマンだったのが、1ヶ月後の今、いつの間にかバイキンマンと言うようになっていた。もにゃっとした聞き慣れないことばこそ、子どもの世界のことばで、これこそ記録に値する。すぐ忘れてしまうけれど、消えゆく子どもの未知のことばを書き留めておきたい。(1歳10ヶ月)

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