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時代にあわせたアメとムチ|飴ちゃん舐めときゃええんやで

人のモチベーションを促す動機付けの比喩表現として、「アメとムチ」という言葉が古くから使われています。

報酬を示す「アメ」と、罰を示す「ムチ」は、行動や成果の奨励と期待を満たさなかった場合の制裁を表しており、どちらも人の動機づけとなる点が共通しています。

しかし、現代社会は飴玉よりも手軽にさまざまな褒美を手に入れることができ、ムチを実際に使っている企業や組織もおそらく存在しないでしょう。

また、飴玉を舐めることもムチで叩かれることも、目先の行動へのモチベーションにしか繋がらず、短期的な効果の発揮に焦点をあてた表現と捉えることができます。

現代において必要な行動は、短期的な効果を求めるものではなく、中長期に渡って持続的で、バランスの取れたアプローチが求められているのではないでしょうか。

そのアプローチは「アメとムチ」のどちらなのかを考えてみます。


我慢はせずに制御する|糖質制限の落とし穴

まず、「ムチ」に焦点を当てて考えてみます。

現代では短期的な利益や成功を追求し、それによって、どうしても本質を欠いた対処療法を行ってしまうことがあります。

今回はその例として、ダイエットにおける糖質制限を例に「ムチ」が引き起こすリスクを考えてみましょう。

人間の身体は食事で糖質を摂取することにより血糖値が上がるようになっています。食事により血糖値が上昇すると、上昇した血糖値を抑えるために膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。

このインスリンには血中の糖分を脂肪に換えて体にため込む働きがあり、そのため血糖値が急上昇した場合には、インスリンも過剰に分泌されてしまい、身体に脂肪をため込みやすい状態になってしまうのです。

これが糖質を摂取すると太る理由であり、糖質は主に米、小麦粉、パスタなどの炭水化物に多く含まれています。

これらの情報はダイエット等の健康情報ニーズが高まるとともに世間に流布されていき、広く認知されていった過程を経て、最終的には「糖質制限ブーム」が巻き起こりました。

食料品店には「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の表示が並び、消費者が糖質を抑えることに優先度を置いた商品選択をしている状況も垣間見えます。

糖質と血糖値の関わりについての説明を理解することで、糖質の摂取を避けたくなる気持ちは非常によくわかりますが、ひとつ見落としてしまっている観点があります。

それは血糖値の上昇速度です。脂肪の原因となるインスリンが過剰に分泌されるのは、あくまでも「急激に」血糖値が上昇する場合に限ります。

血糖値が上昇しない状態は単なる低血糖であり、その状態に陥ると頭は働かずに意識も朦朧としてしまいます。

そのため、大切なことは「緩やかに」血糖値を上昇させて、バランスの良い血糖状態に落ち着かせることです。

低血糖になってしまうような糖質制限によるダイエットは、短期的な効果を求めて本質を見失ってしまう「ムチ」の様なアプローチです。

では、緩やかで持続的な血糖値上昇を実現するには、どの様にすればよいのでしょうか。

飴ちゃんの甘くて緩い血糖コントロール

僕は過去に胃を切除する手術をしたこともあり、それによって摂取した食事は直接腸に送られて短時間で吸収されることから、一時的に高血糖になってしまうという、少しやっかいな後遺症を抱えています。

そのため、ダイエットこそしていませんが、血糖値のコントロールには常に気を使って生活をしてきました。低血糖では頭がフラフラしてしまい、高血糖では眩暈がしてしまうのです。

まず、低血糖になってしまう原因は、脳がエネルギーとして使う糖分が不足しているためです。

脳は、体内のブドウ糖からエネルギーを作り出していますが、低血糖の場合は血液中のブドウ糖の量が減少するため、脳へのエネルギー供給が不十分になっています。

脳細胞が正常に機能せず、集中力の低下や注意力散漫などが起こっているのならば、糖質制限はせずに糖分をしっかりと摂取して、低血糖の対策をするべきなのです。

しかし、だからといって、ご飯やパスタをがっつり食べてしまえば、上述のように急激な血糖値の上昇を招き、インスリンが過剰分泌されることとなります。

ここで僕がいつも取り入れているのが「アメ」を舐めることです。

いつでも手軽に食べられるので即効性があり、持ち運びも便利で、そして美味しいところが何よりも良い点です。

しかし上述の通り、アメの様な甘いものを摂取することで、急激な血糖値の上昇を懸念するかもしれません。

それでも、アメを舐めることはご飯やパスタを食べる事とは異なり、舐めながら少しずつ糖分を摂取することになるので、血糖値は非常に緩やかな上昇をすることになります。インスリンが過剰に分泌されてしまうこともありません。

アメを舐めることは、低血糖対策には非常に有効な対応だったのです。

この「アメ」の例から学ぶべきは、「緩やかで持続的なアプローチ」の大切さです。そして手軽に摂取できて美味しいことから、習慣化させやすい点も大きな特徴です。

「ムチ」の様に短期的な効果に焦点を当てたアプローチは、糖質制限の様に少なからず何かの我慢や制限が伴ってしまいますが、手軽に摂取できる甘いアメを舐めることは、簡単に習慣化して長く継続させることができます。

実際のところ、『アメとムチ』の中で、今もなお私たちの日常に根付いているのは「ムチ」ではなく、「アメ」ではないでしょうか。

「ムチ」のような厳しいやり方や自己制限は時代遅れとなりつつあり、一方で、手軽で喜びをもたらす「アメ」のようなバランスの良い本質的なアプローチは、今もなお私たちに受け入れられています。

ちなみに僕が好きなのはカンロ飴で、この考え方のインスピレーションのもとにもなっています。よろしければ、おひとつどうぞ。


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