見出し画像

ONE LOVEを観てきました|勝手に共通点を見つける

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』を観てきました。レゲエの神様ボブ・マーリーの生涯を辿る伝記映画です。

ボブ・マーリーは昔からよく聴いており、ファンと言っても良いかな、と自認しています。

スローなテンポで刻まれるレゲエのリズムに、反抗的でありながらポジティブなメッセージを込めた歌詞が乗り、聞けば聞くほどエネルギーが搔き立てられるような、底知れぬ力を秘めた楽曲ばかりです。

当時のジャマイカの政治情勢は2大政党の対立状態にあり、混沌を極めていました。ボブ・マーリーもライブのリハーサル中に銃撃されるなど、常に命の危険と背中合わせにある状況のなか、カウンターカルチャーとして反抗的なメッセージ、そして愛と平和のメッセージを、レゲエのリズムに乗せて歌い続けていたこととなります。まさにジャマイカのレジェンドと言えます。

映画ではこのあたりの歴史をボブ・マーリーの曲とともに辿ります。個人的にはもっと知りたいことが多かったので消化不良感が否めない内容でしたが、いくつか考えさせられることもあり、観てよかったと思っています。

最も考えさせられたことは、がんの診断を受けたボブ・マーリーが手術を拒否している点です。ボブ・マーリーが受けた診断は悪性度の高い腫瘍であるメラノーマで、基本的な治療は切除です。これをボブ・マーリーは拒否しています。

敬虔なラスタファリアンであるため、身体を傷つけない信仰を守ることがその理由だと考えられます。

僕は20代の前半に胃がんの診断を受け、治療のために胃を全摘出する治療を受けました。そのおかげでがんの治療は成功し、現在も無事に生き続けることができています。特定の信仰は持っていません。

こうした実体験から、現代の医学を信じて標準治療を優先するスタンスを持っているのですが、信仰を理由に手術を拒否するという考え方に、思いを巡らせたことはありませんでした。

もしボブ・マーリーが標準治療を優先させて、がんの手術を受け現在も生きていたとしたら、今も現役で活躍を続けて僕も来日公演を観に行ったりできたかもしれません。そんなことも考えてしまいましたが、彼の信仰心は僕らには想像もできないほど敬虔なものであり、強い信念を持っているはずです。どんなに説得しても手術をする選択はしなかったのでしょう。

そして、そのメラノーマは脳および全身に転移を続け、享年36歳、ボブ・マーリーは帰らぬ人となります。奇しくも現在の僕と同年代、何だか考えさせられてしまったのです。

僕は20代の前半から現在になるまで、がんの治療と闘病、社会復帰と会社員生活を続けていましたが、ボブ・マーリーはその年代を混沌とした社会を音楽の力で変え続けて過ごしていたわけです。36歳で亡くなってからは伝説と化し、今でも世界中に影響を与え続けています。

信念を持ち世界を変えた死せるレジェンドであるボブ・マーリーと、標準治療を素直に受けて生き続ける36歳のサラリーマン。生き方にはいろいろあるものです。

凡人は凡人なりに、何か社会に影響を与えられることはないか、考え続けながらポジティブに生きていこうと思います。

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,565件

#映画が好き

3,120件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?