見出し画像

人を動かすのはストレスだったりする

20代の前半頃に胃がんと診断されてしまい、一命は取り留めたものの、胃を全摘出したことから食事がほとんどできない時期を過ごしていました。学生の頃は飲酒も喫煙もしていたので、一気に禁酒禁煙生活が始まり、飲食もほとんどしない時期を過ごすことになります。

もちろん少しずつ食事量は増えていき、今では一般成人並みに食事をすることも酒を飲むこともできるようになっています。

しかし、あの時の数年間は、しばらく食事をしない質素な暮らしをせざるを得なかったことを強く覚えています。

それでも社会復帰はしなければならないし、20代の男性として他者とコミュニケーションを取りながら生きていかなければなりません。

そうすると、まだまだ若くて多感な時期なので、ストレスを感じることもたくさんあるものです。仕事のことから、友人のことから、恋愛のことまで、ストレスが生じない生き方をするのは非常に難しいものです。

ストレスが生じたとしても、発散することができればいいのですが、当時の僕は禁酒禁煙であるうえに食事も摂れず、暴飲暴食なんぞもってのほかの状況でした。わかりやすいストレス発散方法が全て取り上げられた状態だったのです。

仕事でストレスを感じたとしてもその日の夜に酒を飲むことで、そのストレスは発散できます。友人関係でイライラしたとしても、タバコを吸って心を落ち着けることができます。

恋人に振られてしまっても、暴飲暴食をしてストレス発散を何日か続ければ、ショックな気持ちも少しずつ落ち着いていくものです。

こういったストレス発散方法を実施できない状況でも、容赦なくストレスは僕のもとに降りかかってきます。この、日々降りかかってくるストレスをどうすればいいのか、当時の僕は強く悩んでいたのです。

しかし、人は追い込まれると変わるもので、その当時の僕は本来は運動嫌いであったにも関わらず、ジョギングをしたり筋トレをしたり、運動を通してストレスを発散するように少しずつ変化していったのです。

実際にジョギングや筋トレを続けていると、身体には適度な負荷がかかりながら、自分と向き合う時間を過ごすこととなり、日頃のストレスを忘れさせてくれる素晴らしいものだったと気づくことになります。

病気になる前の僕は根っからの文化系な趣味嗜好をしていて、音楽を聴きながら酒を飲んでストレスを発散させており、太陽の下で健康的に汗をかきながら運動をすることなど全くもって興味がありませんでした。僕がジョギングや筋トレをしていることを知った学生時代の友人は非常に驚いていたようです。

この様に考えてみると、運動嫌いだった僕がジョギングや筋トレをするようになったのは、元を辿ればストレスが原因だったように思えてきます。

発生したストレスを解消するために、何かできることはないかと当時の僕は必死に探し求め、運動をするようになったのです。

人は何事も、現状に何か不満が生じた時に行動をするようになるもので、経済的に恵まれない家庭で育った子が、その反発心で将来は起業家となることも多くあります。会社に行くのが嫌でしょうがなく、独立できるだけのスキルを身に付けて転身する人もいます。

どれも元の状況に感じた一種の「ストレス」が原因で、その対処としてアクションを起こしているのです。

現状を変えなければいけない。その気持ちが行動に繋がっているように思えます。

こうして考えると、日々降りかかってくるストレスというのは、見方を変えると自分を新しい行動に仕向けるための、貴重なきっかけになり得るのかもしれません。

降りかかってくるストレスを単に毛嫌いするのではなく、自分を変えるきっかけと捉えてみてはいかがでしょうか。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?