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退職代行業者と社会貢献ベンチャーの企業理念

先日、入社したばかりの新入社員が入社して数日で退職することになりました。退職代行業者を経由して突然の通知だったため、社内は騒然とし採用計画や人員配置に関わる急な対応が複数の部署に渡って繰り広げられることとなりました。

人にはそれぞれの人生があり、会社との相性もあるものなので、入社してすぐに「やはり辞めよう」と判断した結果なのだと思います。

しかし、この件では何よりも退職代行という聞き慣れない業界への興味が湧きました。

退職代行という存在は、社員に退職された会社側から見るとどうしても良い印象のものには映りません。何せ苦労して採用まで導いてこれから向かい入れる仲間を退職させられてしまうわけなので当然の感情です。

そこで、休日に時間がある時を利用して複数の退職代行会社のホームページを調べ、それらの会社の企業理念などに目を通してみました。

すると、退職代行の企業理念はいずれも「人生をやり直す」や「もう一度チャレンジできるように」といった、非常に好感の持てる理念ばかりだったのです。

確かに日本企業では「石の上にも三年」の様な、継続することが美徳とされる風潮が未だに根強く残っており、それに縛られてミスマッチが起こったまま無理に働き続けている人が多くいます。

そういった社会課題を解決するために存在するのが退職代行業者だとしたら、それは社会にとって意義のある事業だと思えたのです。

しかし、ここでひとつ皮肉に感じたことは、僕が勤めている企業と理念が似ていたことです。

教育福祉事業を行っており、過去に学習で困難を抱えた経験がある人の学び直しをサポートしたり、就労に問題を抱えた人の就労移行支援をしたり、顧客に対しては「やり直せる」というメッセージのもとサービスを届けています。

退職代行業者も労働者に「やり直せる」というメッセージを送っているわけですから、「やり直せる」を顧客に届ける会社の労働者に「やり直せる」というメッセージを届けて退職を代行したのです。

人は消費者でありながら労働者でもあります。サービスを届ける人に別の企業がまたサービスを届け、これらは延々と続き複雑に絡まりあっているようです。

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