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winwinを考えるのではなくno dealを選べるようになれ【短編シナリオ×1日1プット#4】


win-winの話はよく聞くとは思いますが、No Dealの話をあまり聞いたことがないのではないでしょうか。

今回はWin-WinやNo Dealについての定義に触れた後、Win-Winを考える前にNo Dealを考える方が重要だということについて触れていきます。




■閑話 これはWin-Win?

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「さっき自販機で水買ったら、なんか知らんけど大当たりでコーヒー当たっちゃって……。俺、これ以上飲めないからあげるわ」

ドアを開けて入ってきた友人Cは意気揚々とコーヒーの缶を俺の方に投げてきた。

戸惑う俺をしり目に、

「まぁまぁ、遠慮すんなって! 俺は荷物が増えずに済む、お前は水分補給ができる。Win-Winってことよ、じゃあなー!」

と言い残して彼はドアを開けて部屋から去っていった。

——サウナで渡してくるか、ホットのコーヒーを。



1.7つの習慣の第4の習慣 Win-Winについて考える

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Win-Winという言葉を聞いて、どのような意味を想像しますか?

文字通り、「両方勝っている状態」です。

この世の中はどうしても白黒付けたいような仕組みになっています。

論破とかマウントとか――そういう言葉が生まれているのも、この世の中が勝ち負けで支配されているからです。


そんな中で登場したのがWin-Winの考え方です。

Win-Winの基になったかは定かではありませんが、最も全面に出している著書として挙げられるのが「7つの習慣」という有名な本ではないでしょうか。


この項目では、「人間関係の6パターン」について触れられています。

ⅰ)Win-Win:自分も相手も欲しい結果を得ること(第三の案)

ⅱ)Lose-Lose:相手も自分も結果を得られないこと

ⅲ)Win-Lose:自分が勝ち相手が負ける

ⅳ)Win:自分だけが勝つ

ⅴ)Lose-Win:自分が負けて相手が勝つ

ⅵ)Win-WinまたはNo Deal:Win-Winにならなければ取引をしない


このNo Dealの考え方は、Win-Winの状態にならなければ引き分け(現状維持)で無理に考えを妥協しないようにするための動きです。

無理やり関係を成立させることで、片方もしくは両方が負けた状態になるほどなら、今はこのままでいいんじゃないかって状態です。



2.できているようで全くできていないWin-Winの現状

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結構普通の会話でもWin-Winという言葉が出てくると思いますが、実際のところ、この条件のWin-Winになっているのでしょうか?

いってみれば、AさんもBさんも喉から手が出るほど欲しいレベルの条件がwin-winです。

似た言葉で妥協がありますが、似て異なる状態であり、放置しておくと高い確率で綻びが生じます。


私がWin-Winだと思ってとった行動の中に、最終的にこの関係が成立したケースはありませんでした。

どれだけ善意を持って模索しても、ほぼ全部がⅱ)~ⅴ)のどれかになってしまう――。

結局のところ、相手のことを理解しようとしてもなかなか真意が分からないんです。

その結果、微妙なズレが発生し、Win-Winが成立しなくなります。


7つの習慣のお話を読んでみて、ここまでできる奴いたら逆に気持ち悪いと思った人も中にはいるかもしれません。

あながちその感覚は間違いではなくて、一般の人同士でWin-Winの関係は現実的にはほぼ成り立ちません。

マウントや論破などのような言葉が出回っている地点で無理なんです。


もしこのようなことを完璧にできるのであれば、そもそも争いなんて起きません。

誰も苦しまず、大きな争いもなく、何もかもが平和な世界です。


ただ、ここまで読んでいただいたあなたならなんとなく気付いているでしょう。

「——それは無理だろ」と。


3.Win-Winを言う前にNo Dealをとれる人を目指すべし

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根気よくWin-Winの関係までにするには、粘り強く相手と接する必要があります。

当然、その中には100%譲れない考え方がぶつかるケースがあります。

無理やり結論を出そうとしたところで、win-winになることが100%あり得ない状態で結論を出そうとする人も少なくありません。

その結果が、論破やマウントといった攻撃的な手法で自分を優位にする動きか、妥協という形で自分から負けにいくかのどちらかです。


そうならないために、勝ち負けではなく、引き分けの選択肢「No Deal」のを常に持っておく方が大事なのではないかと考えます。

いわゆる「争い事の回避行動」です。

「それだと問題は解決しない」という意見も出てくるかもしれません。

確かにそうなのですが、結論を行き急いだことで完全に亀裂が入ってしまうと、Win-Winどころではありません。

将来的な可能性のためにも、No Dealの選択肢を持つのは決して悪手ではないのです。


4.まとめ

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・Win-Winとは、相手も自分も欲しい結果を得られている状態のことを指し、妥協はこれに当てはまらない

Win-Winの状態にするのは双方が互いのメリットを真に理解する必要があり、非常に難しい

・勝ち負けに支配されずに、No Deal(引き分け)について理解して自身の選択肢に入れる事ができれば、Win-Winを追求する第一歩となる。


正直なところ、この「7つの習慣」に書いている内容を100%できるとは思えません。

著者が無理って言っているほどなので……。

ただ、仮にこの内容が皆に理解される日が来るとすれば、他人を傷つけるような争い事は無くなるだろうなとは思っています。(終)




最後までご覧いただきましてありがとうございます! これからも「読んでよかった」と思ってもらえるような記事を書けるように努めて参ります。