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1分前の話

【1072文字】
多くの場合、成功は大きいものである必要はありません。
1分でも早く、少しでも良い結果を出すだけで、
誰よりも先に成功することが出来るのです。

中国での話です。
ファストフード店の配達をしていた人がいます。
毎回、食べ物をお客さまにお届けする際には、
約束の時間の1分前に到着するという原則を守り、
一度も遅刻することはありませんでした。
ある時、バイクに乗って食べ物を届けに行ったのですが、
突然の大雨で、道があちこちで冠水してしまい、
バイクも故障してしまいました。
その人はタクシーに乗って配達をすることにしました。
壊れたバイクを道端に停めて、予定よりも早く目的地に到着しました。
半分濡れたズボンで、大きな袋に入った食べ物を持って、
息を切らしながらマンションを駆け上がると、
お客様は大雨の中で、時間通りに配達されると思っておらず、
とても驚きましたが、喜んでくれました。
10元(約170円)のタクシー代を差し引くと、
今回の配達では1元(約17円)しか稼げませんでしたが、
お客様の尊敬と信頼を得ることができました。

この人がファストフード店で働くようになってから、
配達の注文が増え、多くのお客様がその人の名前を出して
配達を依頼してくるようになりました。
ファストフード店のマネージャーは考えました。
「普通の出稼ぎ労働者がなぜ多くの人の信頼を得ることが出来たのか?」
答えはシンプルでした。
"オフィスで働くホワイトカラーの人たちは、仕事も生活もスピードが速く、
誰も1分たりとも待ちたくないので、
注文したファストフードを時間通りに食べたいはずだ。"というものでした。

ここでの教訓は、「約束を守ること」「時間を守ること」という
非常にシンプルなものです。
その後何年もの努力の末、この人は自分の不動産屋を開業しました。
その不動産屋では重要なルールがあって、
クライアントとの打ち合わせは1分前に到着しなければなりませんでした。

1分前行動があったからこそ、地味で小さな業務でチャンスを増やし、
多くの顧客を獲得することが出来ました。

時間を守り、信用を得た者だけが、市場を制することが出来ます。
ある人はそのおかげで、
競争の激しい大都市でも確固たる地位を築いています。
社交場であろうと仕事であろうと、時間通りに、約束を守ることに
細心の注意を払い、遅刻はせず、何をするにも1分前には到着します。

1分前行動は、誰にとっても難しいことではありませんが、
どんな状況でも守れる人はとても少ないのです。
些細なことですが、1分でも早くという誠意があってこそ、
一歩一歩成功していけるのだと思います。

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