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遺書を拾う


手紙を拾った。ポストの傍だから、郵便局員が落としたのかもしれない。白い封筒。つい開いた。自死を告げる遺書だった。淡々としたもの。文面から私と同じ16歳と知れた。古い友達に宛てたものらしい。その日はもう遅かったから、翌日に投函するか郵便局に届けるかしようと思ったが、朝になって忘れていた。帰宅すると、母が私の部屋を掃除して、手紙は散乱するごみと一緒に処理されたようだった。母には何も言わなかった。すっきりした部屋。開け放たれた窓、夕日。もし自分も遺書を書き、それが誰にも届かなかったら、と思う。うれしくなる。

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