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「ツリー型キャリア」をクリエイティブ職とマネジメント職に薦める理由

santas代表の宮崎です。
 今回は、キャリア・デザインについてお話しします。

ありがたいことに、近頃は弊社で働きたいと言ってくれる方が増えてきました。入社希望の方が弊社で働くこととなった場合、「どんなキャリアを積むことになるのか?」と妄想していたら、昨今は様々なキャリア・デザインの考え方があるらしく、複数選択肢のある中で、クリエイティブ職+マネジメント職は何故ツリー型キャリアが良いと思ったのか、自身の経験も踏まえて、お話しします。


キャリア・デザインを考える上で話題となる3つのキーワード

人生100年時代において、キャリア形成は、「1.川下り型/山登り型」「2.キャリアアンカー」「3.カリヨン・ツリー型」のキーワードが注目されています。次章より、詳しく解説していきます。

1.川下り型/山登り型

川下り型キャリアは、初めて仕事に就いて間もない頃、全体像が見えていない時期のため、会社や周囲の影響を受けながら、目の前の課題を一つづつ解決し、経験を積み、レビューすることで成長することを指します。
一方で山登り型キャリアは、一定のキャリアを積んだ方が、自ら次の目標と実現までのプロセスを明確にし、進んでいくことを指します。ここには当然自身の責任が強く圧し掛かってきます。
 

2.キャリアアンカー

山登り型キャリアで自身の目標を定める時に、軸となる価値観や能力を元に決めますが、この軸をアンカーと呼びます。会社側はこれを尊重することで、働き甲斐のある組織になると言われています。マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・H・シャイン博士によって提唱されたキャリア理論の概念として有名です。パーパスと近い概念かもしれません。
キャリアアンカーは環境や年齢の影響を受けづらく、生涯にわたってその方のキャリアを決定づける要因となりますので、キャリア形成が出来ていない方が先にアンカーを決めてしまうことは、適切ではない様です。
 

3.カリヨン・ツリー(Carillon tree)型

リンダ・グラッドソンが提唱するキャリア形成論で、仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事へのペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていく方法です。こちらは仕事や家族、趣味などを等価とし、自身のライフスタイルに合わせて複数のキャリアを経験し、結果として様々な専門性を持つキャリアを形成することができます。
 

大切なのは経験の深さ?種類の多さ?

少し脱線しますが、「理想の人材像」に関する議論はこれまでもたくさんなされてきて、I型、一型、T型、Π型、△型、H型、W型など、何が何だかよく分からない状況にある気がします。当然、それぞれの職種に合う型があると思いますが、いずれの型も「専門性の高い職能をいくつ持つのか?」の違いな気がします。理想の人材像は個人の特性や性格も関係しますので、適性の見極めはキャリアアンカーを決める前に必要です。
 

カリヨン・ツリー型のメリット

話を戻して、何故クリエイティブ職はツリー型が良いと思うのかをお話しします。今後、私がクリエイティブ職に求められる職能は以下の3つだと考えています。

・社会情勢を理解する分析力
・様々なステークホルダーの意見を反映するためのコミュニケーション能力
・当然ながら、質の高いアウトプット能力

 これらの経験を積むためには、様々な立場で社会に関わることが必須であり、仕事での経験を重ねると同等に、家族や地域で過ごす経験が自身の能力を磨く上で重要になると思います。例えば、家族や地域のイベントに積極的に関わる等の経験を積むことが、巡り巡って業務に活かされてくると考えます。

クリエイティブ職は作曲家 マネジメント職は指揮者

メタファーですが、カリオン・ツリーはそれぞれの音色が素晴らしくても、鳴らすタイミングを間違えれば不協和音となってしまいます。様々な立場の気持ちや社会情勢を深く理解し、適切に鳴らすことで共感されるメロディが生まれます。クリエイティブ職とマネジメント職の違いは、アウトプットの方法だと考えます。クリエイティブ職は最後にひとつのデザインや企画として落とし込む必要があるので、一人で演奏するアーティストに近く、一方でマネジメント職のアウトプットは複数人を調整することなので、指揮者に近いと思います。 

santasの採用プロセス

弊社では一緒に働きたいと思った方に対して「キャリアアンカーチェックシート」を元にヒアリングを行い、その上で契約条件を提示します。そして、定期的に1 on 1を行い、チェックシートを更新していきます。その狙いは、個人にとって働きやすい環境を提供することで公私ともに充実した充実した人生を送ってもらう、それが会社にとっても利益になると考えているからです。
そもそも、キャリアデザインが活発に議論されるきっかけとなったのは、就職形態や働き方の変化が主な理由ですが、その背景には、企業と家族のありたい姿が変化していることが前提だと思います。キャリアデザインを考える上で、個人の想いを尊重しつつ、関係する企業、家族にとってもより良い方針を探るために、お互いに寄り添って対話を重ねることが重要だと考えます。
弊社では、社員の成長と会社の成長の2つを実現するための制度設計を進めていきます。

■筆者
宮﨑 敦史 / Atsushi Miyazaki
慶應義塾大学大学院修了後、Speac、日建設計、Arupを経て2022年にsantas Inc.を設立。「クリエイティブ」「マネジメント」をコアスキルとして、主に建築・都市における企画、設計、プロジェクトマネジメント業務に従事。さらに、コミュニティ・エンゲージメント活動、環境建築に関する書籍の出版など、幅広く活動中。様々な専門家と協働し、社会に新しい価値を生み出すことを信念としている。

https://santas-inc.jp/


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