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【財務・経理】いまこそ手元流動性の重要さを再認識しよう

新型コロナウィルスが日本中に猛威をふるっています。マスクがないとか、デマが流れてついでにトイレットペーパーもないとか、かなり社会が混乱していますが、経営者の端くれとして実感するのは「結局経済は人が動いてナンボ」なんだなぁということです。

人が動かないとなかなかお金を使わない。経済が動かない、ということですね。

海外から日本に人がやって来ない。
感染者を増やさないために、日本人も外出をしない。

という現象が次々に発生していますが、当然全般的に経済活動が低下してしまいます。
観光業・飲食業・小売業などの方々が、その影響をもろに受けてしまっているのは、ご存じの方も多いと思います。

この影響は全国各地に広がり、既にコロナウィルスに関連して倒産などが発生しています。



コロナウィルスに関連する倒産の話などを見ていて、改めて思ったのが「現金(キャッシュ)の大切さ」です。今回の件を踏まえ、現金の重要さと経営指標としての「手元流動性」について簡単にまとめてみます。
(今回はマーケティングの話ではない)



現金は会社のHP(ヒットポイント)

当たり前の話ではあるのですが、会社は現金が尽きると倒産します。ドラゴンクエストのようなロールプレイングであれば、現金は会社というプレイヤーのHP(ヒットポイント)みたいなものでしょう。これが0になるとゲームオーバーです。
この現金・キャッシュが尽きる、というのがよく間違えがちなのですが、これは会社の会計が黒字か赤字かというのは、実はあまり関係ありません。

というのも、帳簿上は黒字であっても、現金が手元にあまりないという会社はけっこうあるからです。例えば、いわゆる雑貨屋さん・洋服屋さんなどの小売業は、いったん「自分の現金を使って商品を仕入れ、商品を販売してからお金が戻ってくる」という流れですから、商売をするだけで一時的に多額の現金が必要となり、黒字であっても手元にお金はあまりない、という状況になりがちです。

商売がうまく行っているときはそれでも何ら問題はないのですが、今回のコロナウィルス騒動のように、大きな問題が発生して顧客が完全にストップするような事態が発生した場合、売上が一時的ではありますが、大きく下がってしまうことがあります。そういった場合、お金は入ってこないのに、仕入れなどの支払いだけがやってくるわけです。そして、そこでお金が払えないと倒産ということになります。


こういったとき、重要なのはなんといっても現金です。手元に現金があれば、社員の給料や光熱費などの必要経費、取引先への支払いなどを払うことが出来ます。ピンチになったら銀行からお金を借りればいいじゃないかと思うかもしれませんが、金融機関は緊急時だからといって、すぐにお金を貸してくれるわけでは有りません。手続きやら審査やら受けている間に、現金が底をつき倒産というのは、実は珍しくありません。


手元流動性とは

普段、どの程度の現金を持っているのか、を示した指標が「手元流動性」です。普段聞き慣れないかもしれませんが、これは手持ちの現金(と、換金性の高い流動資産)が、月の売上に対してどの程度あるのかを計算したものです。

他のサイトに説明している記事があったので、参考までに貼っておきます。


ちょっと単純化して、手元流動性を計算してしょう。

ある会社が月の売上が10億だったとして、20億円の現金を持っていたとします。この場合は

20億÷10億=2倍

となり、手元流動性は2倍ということになります。言い方を変えれば、二ヶ月分の売上を手元も持っているということですね。

商売の内容や会社の事業規模によっても異なるのですが、手元流動性が1.5倍から2倍程度あると、ある程度安全と言えるようです。ですが、取引先が偏っている(今回倒産した旅館のように、収益が中国からの団体客に頼っている など)場合は、もうちょっと多めにあったほうが、個人的には良いような気がしています。

一方この手元流動性、高ければ高いほど良いような気もしますが、あまりに高いと「お金ばかりを貯め込んでいて、成長に投資をしていない」と見なされるので、高けりゃ良いというものでもないようです。

今回の騒動で経営がすぐに苦しくなっている企業は、手元流動性が低いのかもしれません。普段から手元流動性を安全な水準まで高めておく、というのは、経営する上でかなり重要なポイントだなと改めて思います。




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