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ひよこと暮らす日常

ひよこが生まれ、
わたしたちはひよこと暮らし始めた。

ひよこがいる日常ってどんなものか
紹介しておきたい。


5羽のひよこたち

孵卵器で卵をあたためて21日後

ピキリと殻にヒビが入る。
グラグラと揺れて、パキッとヒナが飛び出してきた。
結構勢いよく生まれた一羽目の雛。なまえは「たまご」ちゃん。ヒーターの下で体を乾かすとふわふわのひよこになった。

あとの卵は、シーンとしている。
ヒビが入ったまま、身をひそめる卵。
心配した夫が「手助け」のために2つ殻を割る。
雛が出てきたが、孵卵器の中でぐったりしていて動かない。

これはもうダメだ
そう思いながらも祈るように見守ると、半日ほどかけて、だんだん動けるようになってきた。もう死んでしまうと思った雛が、しっかりと立ち上がり歩いたのを見ると感動してしまう。

あとの2つの卵も少し遅れて殻が割れ雛がかえる。
結局6つの卵のうち、5つからひよこが生まれた。
わりとすごい確率だと思う。
残りの1つは、いつまで待っても生まれない。割ってみたら中身が液状の普通の卵で、無精卵だったのかもしれない。

たまごちゃんの他のひよこも、生まれて1日経つと見分けがつかないくらい元気になった。
ぴよぴよと鳴いて動き回り、かたまってヒーターの下で眠る。

生まれたての「たまご」ちゃん
生まれてしばらくした、ふわふわのひよこたち。
ダンボールとヒーターで過ごす

「丸くてふわふわした非力なもの」
の魅力たるやすごい。
眺めはじめると、一日中ずっとひよこを見ていたい、と思うくらい魅入られてしまう。

そんな余裕もない仕事なのだけど
ひよこ部屋の隣が仕事部屋なので、たまに横を通るとき、ついついひよこを覗き込んでは癒されている。

お腹を空かせてぴよぴよと鳴くひよこの声をバックにテレワーク。
「なんかぴよぴよ言ってますね」と上司に指摘されるが、ひよこの声がするオンライン会議なんて滅多にない経験で面白い。

ひよこたちは、ダンボールの中をみな小さな足でヨチヨチと歩き回り、ぎゅうぎゅう押し合ってエサがくるのを待っている。

4羽のひよこたち

ある日出掛け先から帰ると、ひよこ部屋へ通じるドアが開いていて、5羽のひよこが4羽になっていた。
何度数えても一羽足りない。

同居の猫が何食わぬ顔で通り過ぎ、そそくさと寝床に向かうのを見て、もしや、と思う。
もしや、このお腹の中に入っちゃったか。

と、台所に足を踏み入れて、血まみれで倒れる一羽を発見。
思わず うわーーー!!と叫んでしまう。

事件現場は、今思い出してもめちゃくちゃ怖い。

状況を見るに、猫がひよこ部屋に忍び込み、一羽をくわえて台所まで連れてきたらしい。2、3箇所咬まれているから、食べずに遊んだのだろう。わかるところに置いているのは、獲物を捕まえたよ、褒めて、の習性らしい。

猫は本能なのでどうしようもないが、咬まれて血を流したひよこは翌朝死んだ。生まれてから1週間くらい経ったある日のことだ。

頑張れ頑張れと誕生を見守ったひよこが、あっという間に一羽いなくなる。他の四羽は、何事もなくぴよぴよと元気に動き回っているというのに。
ひよこの喪失感に、わたしは一日立ち直れず。息子はあっさりしていたが、娘は一晩泣いていた。

ごめん、ひよこちゃん。
亡くなったひよこは庭に埋めお墓を野花で飾った。

成長するひよこ

それ以来、ひよこ部屋への猫の警備を強化して
残りの4羽は無事にすくすくと育った。

今は、少しだけ白い羽が生えてきている。
ごはんは、まだぬかや米粒しか食べられないが、人が近づくと、一生懸命に飛んでくる。
お水をかえるとおいしそうに飲む。
エサをすごい勢いで食べる。ミミズも食べるしバッタも食べる。
嬉しそうに飛んでくるのに、与えられたエサをすぐ見失ってしまう、ちょっとドジなひよこたち。

最近は、胸の辺りに肉がぷっくりとついてきた。抱き上げると、ここに鳥肉がある、と感じるくらい。
食べて太るために作られたブロイラーだから、と夫が悲しげに言う。

2ヶ月もすれば、立派な若鶏になる。そういうふうに作られた品種。
一心不乱にえさをついばみ、日々太っていく姿を見ると、そんなふうに生きるために生まれたひよこたちがなんだか不憫だ。

スーパーに行ったとき、ひとパック700円くらいで並んでいる鶏肉をみて
あの子たちの命って安いなと夫が呟いた。
確かに安すぎる。
こんなに一生懸命生きているのにね。
いつか食べるために育ててはいるのだけれど、
大事に食べてあげたいなと思う。

一方で、普段食べている鶏肉パックになった鳥たちにも、同じように生きた命があるのだ。
それを数百円で買い、消費しちゃっているわたしたち。

チキンは元からチキンではなく
卵からかえり、一生懸命にエサをついばんで太っっていった鳥たちのお肉だ。
普段動物と食べ物がなかなか結びつかないが、
ひよこを飼うことで、あまり気づきたくない事実にも気づくことになる。
気づきたくないが、知っておかなければならない事実。

庭に出るひよこ

ひよこのお世話は息子の仕事。
最近朝早く起きて世話をしている。
なかなか起きれない日があっても、
「ひよこのお世話は?ぴよぴよぴよ。」
と耳元で言ってみたら、ガバッと飛び起きた。

眠い目を擦りながらダンボールの新聞紙を取り替える。
最近は、大きくなってきたひよこたちを朝庭に出してあげるのが日課。
にわとりを飼いたい、と言い出した息子は、しっかりとお世話もできるようになっていた。


畑の一角に夫お手製のにわとりスペースが作られて、ひよこたちは日中、ぴよぴよと庭に出て走り回っている。
テレワークの合間、昼に庭に出てみると、エサをもらえるとばかりにぴよぴよと飛んでくるのが愛らしい。

忙しい合間でもひよこを眺めると無心になれる。

こんなふうに働くのもいい。 

庭にはギリギリWi-Fi電波も届いているから、天気のいい日には、キャンプ椅子を出してテレワークしてみようかと思っている。

ひよこを飼うきっかけについては前回の記事で



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