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「アウトプットイメージをもつ」ことにより、プロダクトマネジメントの生産性を向上させる


はじめに

こんにちは!営業DXサービス「Sansan」のPdMを担当している乙幡です。
本日は、直近私がチャレンジしていた「生産性の向上」についてご紹介します。

背景

生産性とは

「生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」では、生産性は以下のように定義されています。

生産性=得られた成果(アウトプット)÷投入した資源(インプット)

なぜ「生産性の向上」に着目したのか

「生産性の向上」に着目した理由は、私の伸びしろの中でも特にレバレッジの効く部分であることを認識したからです。

Sansanのプロダクトマネジメント組織では、成長するために「基準を上げる」ことが掲げられています。基準は以下の2つです。

  1. リードタイムの短縮

  2. 品質の向上

詳しくは以下の記事で説明されています。

私はこの2つの基準のうち、特にリードタイムを短縮することに改善の余地があるとマネジャーの西場からフィードバックがありました。リードタイムを短縮することは、これまでよりも少ないインプットでアウトプットを出すことであり、まさに生産性を上げることそのものです。

私は日々の業務の中で生まれるアウトプットとして、開発の意思決定が行われるPRD(Product Requirements Document)の数を指標として、改善に取り組みました。

問題点:生産性が低下する原因

過去取り組んだPRDを振り返ったところ、生産性が低下する原因は「論点が整理されていないこと」と、それによる「手戻り」だと考えました。

PRDを書くためには論点を整理する必要があります。しかし、時間をかけて論点を整理するにもかかわらず、そもそも論点整理の仕方が誤っているため、結果として時間をかけても論点を整理できません。

例えば、Aという機能のUIを改善しようとすると、Bという機能のUIとの一貫性が損なわれるため、どう着地点を見つけるかといった論点が生まれます。自分なりに根拠を集めて論点を整理してみるものの、意思決定できる状態にまで整理できず、1からやり直すといった具合です。

また、手戻りが発生しない最適な進め方を知りたいものの、正解がわかりません。同僚のPdMを真似しようとしても、取り組んでいる内容が違いすぎて真似できない状況でした。

解決策

アウトプットイメージをもつ

解決策として行ったことは、「アウトプットイメージ(=仕事のできあがりイメージ)をもつ」ことです。「生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの」にて、資料を作成する際に最も重要なこととして紹介されています。
「アウトプットイメージをもつ」とはすなわち、「ゴールが何であるかを、スタート時点で意識しておく」ということです。これを実践することにより、論点整理の仕方自体を可視化できます。そして、同僚のPdMに壁打ちすることにより正しい論点整理の仕方がわかります。

実際に行ったこと

1つ目は仮説ベースのPRDを作成し、完成までのタスクを洗い出すことです。以下の手順で行います。

  1. まずPRDに必要な以下項目のうち、現状で判明している事実を穴埋めします。

    • Jobs to be done(誰がどんな状況で、何をしたいのか)

    • 現状と課題(誰がどんな状況で、何に困っているのか)

    • 上記に至る論理と根拠

    • プロダクト改善の要件

    • 補足情報や特記事項

  2. 穴埋めされた事実から仮説を立て、その仮説を証明する根拠はブランクにします。

  3. 必要な根拠を集めるためのタスクを洗い出し、各タスクに期日を設けます。

2つ目は上記の進め方で問題ないかを同僚のPdMにフィードバックしてもらうことです。実際に動き始める前にフィードバックをもらい、タスクを最適化することにより、不要なアクションを最小限にします。

行った効果

  • 以前は3カ月で出していた開発の意思決定が行われるPRDの数を、現在は1カ月半の期間で出せるようになった。

  • 正解がわかることにより、回数をこなす毎にアウトプットイメージを持てるようになった。

  • 以前より短い時間でアウトプットを出せることにより他のことに使える時間が生まれるため、より難易度の高い企画に挑戦できるようになった。

おわりに

基本的に、人は経験を積むほど正しい「アウトプットイメージをもつ」ことができるようになります。しかし、PdMの業務範囲は広く、複雑性が高いため、正しい「アウトプットイメージをもつ」までにかなりの経験量を要します。そのため、今回ご紹介した内容は、少しでも効率良く経験を積めるように考えたものです。
私同様に若手のPdMほど同じ悩みを抱えているのではないかと思ったため、ぜひ参考になれば幸いです。

最後に、今度登壇するイベントのご紹介をさせてください!
「ProductZine Day 2024 Summer」というイベントにて、Mixpanelさんと合同で登壇します。
本記事で紹介したような論点整理の際には、データによる根拠が重要です。そこで、Mixpanelを活用したデータ分析について、Sansanの事例をご紹介する予定です。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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