折々の1本 -2021年4月③-
最近『スモーク』という映画を観ました。
タバコ屋の店主が、4000日間1日も欠かさず毎朝同じ時間に同じ場所で写真を撮ること、それを一生をかけた自分のプロジェクトとして取り組んでいたことから何かしらの影響を受けた気がします。
それが彼の街角の記録であったこと、そこが世界の小さな片隅に過ぎなくても色んなことが起こるのを彼が知っていたこと、この2点にとても励まされました。ゆっくりゆっくり生活圏の光景を観察して記録したいと思えたんですよね。
私自身は観光地やスポットに行って撮影するよりも、生活圏内で仕事場/喫茶店/古書店/雑貨屋/パン屋/花屋に行く途中に撮りたくなった時に撮ることが多いです。
観光地やスポットにあまり行かない理由は、自分にとって写真を撮ることは、人びとが見逃している良い瞬間に気づいてそれを記録すること、ときに退屈な現実に抵抗することなんです。この接点にいないと自分を燃え立たせることができず、写真を撮ったり編集したりすることに興味がなくなります。
色んな日があって、立ち止まって考えてみるのも悪くないのですが、それは少しもったいない気がしていて...片耳にイヤホンを差し込んで好きな音楽を流し、歩きながら感傷にひたるほうが得るものが多いんじゃないかなって、部屋で1人悶々と悩むより、歩きながら悩んで街の一部になるのも悪くないんじゃないかなって。
カメラをたずさえて街に身を置き、語りかけてくるのを待つ、近道は探さない。
こんなことを考えながら、同じようなことばかり考えながら街で撮影してます。
今回も最後まで読んで下さってどうもありがとうございます。
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