もうすぐ仕事辞めます⑥よくあるあるな話

 父の絵を年末に捨てられなかったのは、母と私の間柄の未消化なところにも通じていたかも知れない。

大人になってから母のアラが見えてしまい素直に優しく出来ない時もあった。貯金を父に使われてしまった母は、自己肯定感がほぼどん底だったので仕方ないのだが苛つく私がいた。
子どもの頃は夫婦2人で揉めるのに忙しい様に見えた。親戚も巻き込まれてはいたし、大人達はお金で険悪になっていた。
勿論その揉め事の中心にいたのは父だ。

人は金銭的に困窮すると知能が落ちると聞いた事がある。ものすごいストレスが脳に掛かるらしい。
だから、助けは呼ばないといけないのだ。適切な判断の出来る機関等に立て直しの道を示してもらうのだ。
親戚が助けになるかは疑問だ。

つい最近母と、まだ父のネガティブな影響を受け続ける私達について話をした。根本的に。
きっと母は必死で貯めたお金を父に使われた事は頭から離れないだろう。
しかしこれからは自分がネガティブになる時に(ああ、あのせいなんだな?)と冷静な部分を持てるかも知れない。

母に私は『明日、絵を捨てるよ。化けて出てくると嫌だななんて思ったりしたけどさ。』と笑いながら言った。
その少し前までお互いに意地の張り合いをしていたが、これは変だ、おかしいぞ?と二人で思ったのだ。私は燃えるゴミ用の袋へ父の絵を入れた。そして外へ庭先へ置いた。

翌朝そのゴミ袋を見ると、父の描いた絵として有るのでは無く「ただの絵」になっていた。何というか、何も感じなくなっていた。いつの間にか収集されて消えた。
無いな、としか思わなかった。

母と話したのは、もういない人の影響を保ち、縛られている私達、幸福だと知りながらそれを遠慮がちに受け入れている私達の姿の事だった。

私達親子に限らず、幸せの受け取り方を知らない人がきっと多くいると思う。
今にフォーカスしきれていない。
私はハッとしたのだ。

また続きます。(^_^)






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