見出し画像

職場のすべらせ屋おじさん

僕の正体は、山奥に暮らす徘徊系物書きおじいちゃん。
まず僕の文章、面白いですか。つまんないですよね(泣)というくらいで終わらせたいと思っているのですが、今回ご紹介する商品は、間違い、お話は職場の一風景ですので、お里が知れない程度に自己紹介しなくては話が何のこっちゃで終わってしまいます。
ざっくりとお話しますと、日本中の人がみな知っているあの大きな会社、その地方支社の、そのまた山奥の事業所に勤務させていただいております。以前は技術管理などというカッコいい職場で、日本の経済の一端を背負ったようなフリしていたこともありましたが、現在は事業所の現業職場の隅でいじけております。
毎朝始業時に朝礼があり、その後、各作業グループに分かれて「危険予知トレーニング」を実施、作業に内包される危険を作業前に仲間で共有するのが目的です。毎日交代で当番を務め、彼がその日担当する作業で発生しそうな危険を考え皆に話し、続いて考えた対策を述べ、一言にまとめ、その後メンバー全員で復唱します。
その日はSさんの番、Sさんは中途採用で、ここにくる前はヤ○ザの一歩手前から教材の訪問販売まで幅広い就業経験をもった、不思議おじさん。

Sさん「きょうは重量物を取り扱う作業があります」
  おれ「ふむふむ」
Sさん「重量物を持ち上げる際、誤って落とすと、足に当たりケガをするおそれがあります」
  おれ「そうそう、よしよし」
Sさん「思いものを持ちあげるときは、十分に足もとに気をつけたいと思います」
  おれ「ふむふむ、大変よろしい」
Sさん「それではコールおねがいします」
  おれ「なるほど、足下注意よし、とくるんだな」
Sさん「手もと注意よし!!!

思わず、口に入れた牛乳ぶーーーーーーっ!「おーーーい」

確かにこの不思議おじさんのSさん、かまっておじさんなんですよ、ツッコミ入れられると喜ぶタイプ。
でもね、その日のKYT(危険予知トレーニング)の自然な流れってあるでしょ。

  おれ「はあ?」
Sさん、慌てて説明「落としたときに足下に当たる危険を想定したんじゃなくて、まずは落とさないぞ、という、そこです、そこ!!」

  おれ「そこかいな」 

このおっさん、かまっておじさんというより、すべらせ屋。その日のおいらの仕事は、調子狂っちゃった勢で、ぐちゃぐちゃだったのは言うまでもありません、何のこっちゃ。

追伸 写真は「月影や 四問四宗も 只一つ」芭蕉 (幾多の宗派も向かうところは一つという意味)
この句碑が某宗派の寺院にあるというのも粋な計らい。

この記事が参加している募集