見出し画像

「映画感想」ラーゲリより愛を込めて

クリスマス・イブの夜、暇だった私は(寂しい女だ)映画を観ようと思った。何の気なしにAmazonプライムを付けると目の前にこの「ラーゲリより愛を込めて」が映っていた。

「戦争映画か〜」

普段の私は殆ど戦争映画は観ない。
ドンパチが好きではないし、日本の誤った歴史をわざわざ映画で味合わなくてもいいのではないか?と勝手に食わず嫌いを決め込んでいた。
しかし「実話に基づいた物語」と言うフレーズに食指が動いた。しかも主演が二宮和也なら面白くないわけがないだろう(この面白いは、もちろん笑いの方の面白いではない)
実際に二宮和也の祖父もシベリア抑留を経験した方だそうだ。彼はその祖父を思って演じたと語っている。それはそうだ。祖父が無事に帰還しなければ二宮和也自身が存在しなかったのだから。



(ここから若干のあらすじを含みます。ネタばれは殆どないと思います)

物語は戦時中のハルピンでの結婚式のシーンから始まる。一等兵 山本幡男(二宮和也)は一緒に出席している子供達に

「素晴らしい結婚式だ。よく覚えておきなさい」

と言う。
そのハルピンで山本は家族だけを日本へ帰国させ自分はシベリア抑留を余儀なくされる。これが物語の冒頭だ。

松坂桃李、桐谷健太、中島健人など豪華イケメン俳優たちが脇を固めるが、華やかさはまるでない。画面に映るのはたんたんとしたマイナス40度の極寒の地での強制労働だったり、拷問、逃亡者への射殺などだ。その地では日本兵は人間扱いはされていない。
ロシア文学を先攻していた主人公 山本幡男は、通訳も兼任しているが、ユーモアがあり人に好かれ「生きる」ことに情熱を傾ける男だ。

妻(北川景子)と交わした
「日本で会おう」
の約束を果たすために生き抜く。しかし、彼は決して日本人として人間としてのプライドをどんな場面でも捨てない。

二宮和也の圧巻の演技力に彼は天才だと言った映画監督達の言葉は真実だと思った。
泣かせるようなわざとらしい演技ではない。私達の腹の底に「何故、こんな酷い戦争をしたんだ!」と響いてくる。見事に山本 幡男を映画の中で生き切った。

不謹慎を承知で言うとこれは戦争映画ではないと私は思う。確かに舞台の殆どは、ハバロフスク強制収容所だが、この映画は真の人間らしさを説いた「愛」の映画だ。
夫婦の愛、子供への愛、母への愛、そして見守る仲間達兵士達との愛……。
あ、忘れてならないのが「クロ」と言う日本兵が飼っていた犬だ。この犬の話しも実話だそうだ。観たらびっくりすると思う。私はこの忠犬の愛情にも泣かされた。

とにかくお正月にでもご覧になって頂きたい。
そして私のように泣いて欲しい。
こんな戦争があったのか!の怒りの涙ではなく、人間の本質の愛情に触れて涙して欲しい。


まぁ、私は後半、北川景子になってたけどね(おい!)何故かは観たら分かる(笑)





この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?