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コミュニティの始まりは、家族。

私には大学生の息子がいる。

今でこそ彼は信頼できる仲間に囲まれ、誠実な明るい性格だけど、幼稚園、小学生時代の彼は全く違っていた。

何か言うと怒られるかもしれないと怯えて、親二人の顔色と空気をいつも伺っていた。

幼稚園の年中さんなのに「ぼく、バカだから。。」と口癖のように言っていた、息子の伏し目がちな表情を今でもよく覚えている。

4歳くらいまでは本当に明るくて物怖じしない子供だったのに、何が彼をそうさせてしまったのか。

言うまでもなく、私たち親の責任だ。

心理的安全性が損なわれた、張り詰めた部屋の片隅で、その空気の原因を自分のせいじゃないかと責めていたのだと思う。

紆余曲折 離婚した後、私と子供たち3人は、広い海に放たれた魚のようにのびのび過ごせるようになった。

もちろん、生活はそれなりに大変で、子供たちに気を配れなかった部分もたくさんあった。

でもこの忙しさと引き換えに手に入れた3人の生活は、完全に守られた場所。

それはかけがえのない、大切なものだ。

そして合わせて大切なこと。
それは、お互いを心から認め合い、尊重しあう時間を作ること。

家で一緒に楽しくご飯を食べ、片付けやお風呂掃除を手伝ってもらう。
手伝ってもらったら、きちんと感謝の言葉を言う。
あなたはかけがえのない存在で、必要なんだと日々シャワーのように伝えること。

忙しくて話をゆっくり聞けない日もあったけれど、話を聞く時は否定しない。自分の意見はきちんと伝えても、押し付けないことを気をつける。

息子が中学2年の時、仕事が忙しく、残業しないと明日までに必要な作業が終わらない日があった。夜10時頃に娘を寝かしつけ、息子には 先に寝ていてね、と言って会社に戻った。

そして仕事中の深夜12時ちょうど、LINEの通知が来たので見ると、息子から。

「お母さん、お誕生日おめでとう。いつもありがとう。」と。

ああ、今日は私の誕生日か、と気付き、息子の気遣いにひとり涙したのは言うまでもなく。。
短い文だけど、これまでの苦労が報われた気がした。

その時に返信もしたけれど、朝改めて「とっても嬉しかったよ!」と伝えると、
「俺、いつも友達にもそうしてるから。お母さんだけじゃないよ。」とはにかむ息子。

どこまで気遣い出来すぎなんだ!と我が子ながら、すごいなあ、と思った出来事だった。

あなたの本当の姿が戻ってきたんだね、おめでとう。

と言いたかったけど、言えなかったな。

一度ぺしゃんこになってしまった自己肯定感を元に戻すには、丁寧な働きかけが必要だったけれど、まだ柔らかな心は、ちゃんと元のふっくらしたかたちを、きちんと覚えていたのだ。

いまも、どこかに行くとお土産を必ず買ってきてくれるので、
「デートなのに、わざわざお土産いらないから」というと
「いや、俺が食べたいから、ついで!」→本人はあまり食べないもの。

そんな訳で彼は反抗期のないまま大学生になった。

家庭は最小のコミュニティだけど、一番子どもに影響のある場所。

そして、そこで健全な自己肯定感を育めば、新しいコミュニティに入っていける。心理的安全性の保たれた場を複数持てることは幸せだ。

今の家庭が子どものこころを育むのに頼りない場所だと思ったら、親は家庭のかたちを変えることが必要かもしれない。

もしあなたが大人だったら、他に本当に自分が安心でき、一緒に熱中できる仲間のいる場所を求める必要があると思う。

これからも大切にコミュニティを育み続けたい。

自分を肯定でき、他人を尊重できる場所を。

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