「選挙に行くか否か」は、深く話し合える友達の基準のひとつなのかもしれない。
苦しいとき、しんどいとき、環境ががらりと変わるとき……そんなちょっぴり誰かの肩にもたれかかりたいときに、ふと声を掛け合い集まる同期がいる
宣言も明けてオリパラ前の、世の中には大きな声では言えないけれど、でも会うとしたら今じゃない?と思ってしまうこのタイミング。わたしたちも、ひっそりと会おうよと声を掛け合っていた。
長い長い平日が終わった夜、グループLINEにポンっと
「日曜日、どうしよっか?
わたし、投票終わり次第合流できる。」
とメッセージを送ると
「それな、投票」
「朝イチで行くから大丈夫ー」
と返ってきたから、みんなが少し寝坊して投票所に行ってから合流できるお昼過ぎに集合することになった。
普段から精力的に政治活動に参加しているわけでもないし、わたしの一票で住んでいる地域や国がガラリと大きく変わるとは思っていない。でも、選挙広報ひとつ読んでも、障害者に関する政策だったり、女性に関する政策だったり、子供に関する政策だったりをウリにする候補者、そうでない候補者がいるのは、事実。
ここ最近、聴覚障害者の間では『難聴児の早期発見・早期療育推進 のための基本方針作成に関する検討会』という政策についてよく話題に上がっている。この検討会が開かれるにあたって、手話を主としたコミュニケーション手段として生活している人は、参考人としてほぼ呼ばれていない。
(かといって、音声が有意な聴覚障害当事者や、普通の学校に通ってよかったと感じている聴覚障害当事者もまた呼ばれていないのは事実であって。どちらにせよ、「キコエルヒト」だけで話が進んでいってしまっているように見える)
ろう(聴覚障害)者抜きに、ろう者の未来を決めないで欲しい。音声言語、補聴器、人工内耳だけでなく手話でのコミュニケーションについても、ろうに生まれた赤ちゃんとその保護者に情報を提供し、手話で育てたい保護者の支援を公に充実させて欲しい。
という趣旨の要望を、文部科学大臣、厚生労働大臣、難聴対策議員連盟に提出するとのこと。これは、日本語よりも手話での情報処理が得意な人に向けて手話動画まで作られている徹底っぷり。
とにかく、必死だ。
一説によると、聴覚・言語障害者は日本の全人口のうち約0.27%いるらしい。(三菱UFJリサーチ,2019)じゃあ、政治家のうち約1000人に3人が聴覚障害者か……というとそうでもない。
多分これは、聴覚障害者に限らず他の障害種でも30代以下の政治家でも、女性やLGBTQの政治家でも、同じようなことが起こっているんじゃないかと思う。(少なくとも、平成になって以降の東京都における20代の推定投票率が50%を上回ったことはない)
わたしたちの知らないところでわたしたちのことが決まりかけてしまうその前に、普段からわたしたちの声を拾ってくれる政治が行われていたならば、防げた署名活動やデモ活動はもっとあったのではないだろうか。
もちろん、それでも防げないことも往往にしてはあるだろうし、当事者自身が声をあげるという行為自体の意義は大きいと思う。でも、「わたしたちのことをわたしたちが、決まりかけるまで知らなかった」という今の状況は、あまり良くないのもまた事実だろう。
だからこそ、わたしたちの言葉を代弁してくれる政治家は誰なのかを見極めることが必要なのではないだろうか。もしそれが仮に「いない」と判断したとしても、自分の投票用紙を白紙にして「いない」ことを訴えて、わたしたちが政治に関心を持っていることを伝えるべきだと思っている。
そういう「選挙」に参加することを放棄している人が、前述のような署名活動に参加するのだとしたら、それはちょっと、都合が良すぎるんじゃないかな。
「わたしが誰に投票したか?」を明かす必要のないのと同じように、「前述の署名に参加したか」についてもわたしはノーコメントでいるけれども。(個人的に、「手話できます!」っていう候補者がいるとつい顔が綻んでしまっているのですけどね)
投票を終わらせて集合したわたしたちは、こんな話をしていた。誰もが、どの候補者に投票したかも、前述の署名に参加したかも明かさなかったけれど、白紙であっても選挙に参加しないと政治について何も言えないよね。という認識はお互いに持っていることを知って、ちょっぴり安堵した。
どこかで、選挙に行かない男と付き合ってはいけないなんて話を、聞いたことがある。それと同じように、選挙に行かないような友達とは深く語り合えないんだろうな、なんてことを考えながらひっそりと乾杯をした。
あと、このnoteを書いてみて、三菱UFJで口座を開設しようかなと思っている。わたしたちの世界の可能性を言語化してくれる企業は、応援したい。
【参考】
・難聴児の早期発見・早期療育推進 のための基本方針作成に関する検討会
・聴覚障がいのある雇用者の活躍に向けて ~データからみた雇用の現状と課題の分析~
・年代別・選挙別推定投票率一覧表
・ろう教育の未来を考える会
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