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いとおしさを右手に。

残業続きのとある日。
仕事終わりにふとiPhoneの画面を見ると、こんな通知が届いていた。

「ひまわりの花を見たら
思わずsanmariちゃんを思い出しちゃった」

いつも太陽に向かって咲く
キラキラとしたひまわり。
大好きなその花を見て
わたしを思い出してもらえた。

それだけで、残業の疲れなんて一気に吹っ飛んでしまった。
ことばって、すごい。

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わたしの卒業した小学校は
毎年その学年に花の名前を付けていた。
さくら学年、たんぽぽ学年……。

小学校に入学したその日
「今日からあなたたちは、ひまわり学年です」
そう担任の先生だか校長先生だかに宣言されてから、わたし達は6年間を通してことあるごとに「ひまわり学年」と呼ばれ続けた。

学年通信のタイトルも6年間「ひまわり」
文集も、総合の集録も「ひまわり」
夏だけでなく一年中その文字とイラストを見続けたわたしにとって
ひまわりの花はあまりにも身近すぎるものになっていった。

自分の名前にある一定の愛着をもつように
わたしは「ひまわり」という花に
愛着というか、もはや一種のアイデンティティのようなものを感じるようになっていったのだろう。

小学校を卒業した後も
夏になると、太陽に向かって真っ直ぐに伸びるあの凛々しい花を見ては
「きれい」とか「かわいい」とかではなく

なつかしい

そんな感情をもつようになっていった。

春先のステイホームですっかり花のある生活が定着しつつあったわたしは、二度ほどフラワーリースのオンラインワークショップに参加させていただいていた。
そのワークショップをしてくださったお花屋さん、BOTANICさんが新しい試みをはじめたとの噂をききつけたわたしは、中目黒のブルーボトルコーヒーとコラボをしたLifft Concept Shopへお邪魔した。

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コーヒーとお菓子

なんていう味覚と味覚のペアリングはよく目にするけれど

コーヒーと花

という、味覚と視覚のペアリングが実現してしまったこのお店は
ガラス張りの窓から気持ち良い光が入ってくる都会の中のオアシスなような場所で。

ここ最近の近況を楽しそうに話す相手の口元を読みながら、その周囲に飾られる花たちを眺める。
ふと息をつく瞬間に、コーヒーを口に運ぶ。

視覚と味覚でその場を楽しみながら
心が癒されていくのを感じる。

この日はオープンから日が浅かったこともあり、ブルーボトルコーヒーでコーヒーを飲むと、2階のLifft Concept Shopでお花をいただけるとのこと。

夏まっさかり。
「こちらから選んでください」
と言われたその先には、色とりどりのひまわりの花が並んでいた。

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見慣れた太陽に向かって大きく花開くひまわりと
写真でしか見たことがなかった、ちょっと憧れのたんぽぽのように小さな花びらがいくつも重なったひまわり。

二輪のひまわりを手に、お店を後にする。

数歩歩いては、ふと右手のひまわりに視線が向かい思わず顔が綻んでしまう。
中目黒の駅に着くまで、なんどひまわりを見つめただろう。

いつもは
なつかしい
と感じるそのひまわり。
それを手にした瞬間
いとおしさ
がこみ上げてくる。

なんて幸せなんだろう。

また来年、花屋の店先にひまわりが並ぶ季節をたのしみに
「ひまわりといえばsanmari」
と思ってもらえるよう
わたしなりにまっすぐと、成長していきたいな。

気付いたら立秋を超えてしまったけれど、あんまりにも暑い熱中症警報が発令された夏の終わり。
まだ、ひまわりのお話を呟いても許されるかな、なんて思いながら。

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