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My here:花のある生活。

小学4年生になる年に、父の単身赴任が決まった。それまで住んでいた家は、父の会社の借り上げ住宅。そんなわたしたちが新たな住まいに選んだ家のベランダからは、ぽつんと佇む一軒の花屋が見えた。

花屋さんは、店長のばばを含めて3人で切り盛りしている小さなお店。
学校から帰ってくると
「おかえり」
と迎えてくれ、お出かけのときには
「いってらっしゃい」
と見送ってくれる。
いつの間にか家族ぐるみで仲良くなって、一緒にドライブにもいった。

母が花を愛する人だということも、この花屋さんと仲良くなった大きなきっかけだと思う。

あの家に引っ越して、我が家のベランダは花であふれるようになった。そんなわたしは当然、母の誕生日に花束を贈りたいと思うようになって、いつものようにばばへと相談に行った。

あのね。来週、ママの誕生日なの。
花束をあげたいんだけど。

500円玉を握りしめて、うきうきと花を選ぶわたしを花屋のみんなが優しく見守ってくれた。

かすみ草と母の好きなピンクのバラ。

500円で作れるのって、こんなに小さな花束なんだ。ちょっぴりがっかりするわたしがそこにはいた。

でもね、今ならわかる。小さな小さな花束だけれど、あれは500円では買えない。顔なじみの花屋さんのにじみ出る愛があの花束にはこもっていたんだと。

大きな満足感と、想定より大幅に小さい花束を抱えて家路に着くと、目を丸くした母がいた。

お誕生日、おめでとう

そう言って花束を差し出したわたしを、目に涙をいっぱいに溜めて抱きしめた母は、

「ありがとう。ばばたちにもありがとうを言わないとね」

そう言って、あの花束を大事に大事に生けて、その後ドライフラワーにしてくれた。

わたしの懐具合を一番知っているはずの母は、花屋さんのみんなの優しさが身に染みた、とのちに語った。

あのときわたしは、わたしのやりたいを全力で掬い上げてくれる大人たちに守られていたんだ。

愛情溢れる花屋さんと花が好きな母に育てられたわたしは、いつまで経っても身近に「花のある生活」が続いていくと信じて疑わなかった。
でも、いざ一人暮らしを始めると花は生活の優先順位の上位にはなかなか食い込まない。いつの間にか、花のない生活が当たり前になっていっていた今日この頃。

今年の誕生日は、お誕生日に花束を母と大事な友人からひとつずつ。ふたつもいただいて、一気に花のある生活がリスタートした。

毎日花の水換えをしながらふぅとひと息つく時間が、わたしの毎日を彩るようになってきたここ1ヶ月。
やっぱり、花のある生活が好きだなぁ。そんなことを考えながら、今日もお花に話しかけながら水換えをするのです。

今週もお疲れ様でした。
明日からは、三連休!わくわく☺︎


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